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医療崩壊とドクターの苦悩

堺 孝明

保健医療経営大学 教授
堺 孝明

 医療費抑制という国策のもとに、多くの医療施設が生き残りに頭を悩ませています。医師の立ち去りによる医師不足に加え、新研修医制度により、地域医療に携わる医師はさらに不足して、医師の負担はますます増えています。救急医療現場の痛ましい報道は、後を絶ちません。産婦人科、小児科にかぎらず、医療崩壊は現実のものとなっています。さらに、患者さんの権利意識の高まりによる医師へのクレーム、医療訴訟の増大等でモチベーションが保てなくなっている環境の下で、すっかり現場は疲弊してしまっている。これが、今の医療の現状です。

 この現場の憂慮すべき現状を改善するには、臨床の現場と経営サイドとの、相互理解と協力が必要です。私は、大学で講義を行いながら、病院で臨床の仕事も続けています。学生たちには、実際の医療現場に触れられる機会を設けながら、医療経営を教えていくつもりです。医療現場を知らずして、医療経営は成立しないと考えるからです。

 最初は、「医療」にこだわらず、日本・世界の経済動向、為替・金利・日経平均の変動を覗いながら、経済の動きを学んでください。一般の市場を知り、消費者のニーズの捉えかた、マーケティングの方法などを学んでください。そして、病院という固定観念から解放されたとき、今までにない「病院におけるサービス」「病院経営のあり方」の展望が開けるはずです。現場の医師は、一般論ではなく、具体的な方法論を求めています。

 卒業までに、経営・戦略面から具体的に問題提議し、解決策を考え、実行に移していく能力を身につけられるよう、私も力を入れて指導していきたいと思っています。現場の医師の一人として、私の片腕となってくれるような人材を育てたいと思っています。

Profile

アメリカ留学中、日本の医療の未来に危機感を覚え、医療経営に関心を持つようになる。医学の研究活動を続けながらカリフォルニア州立アーバイン校MBA修士課程を修了。帰国後は大学病院に内科学分野助教授として務め、08年4月より現職。

担当科目は「保健医療経営学概論」「医療・医学の現代的課題」「病院経営学」。

医学博士、日本内科学会認定内科医 、日本高血圧学会認定専門医、日本動脈硬化学会評議員。