‘みやま市研究’ カテゴリーのアーカイブ

みやま市の医療・介護決算(歳出)

2010 年 2 月 2 日 火曜日

平成20年度みやま市決算書から医療・介護関連歳出を抽出してみます。

 

一般会計から医療介護関連特会への繰入金 11.3億円

(内訳)国保特会へ             3.0億円

老人保健特会へ           0.5億円

後期高齢者医療特会へ        1.7億円

    介護保険特会へ           6.0億円

一般会計歳出のうち医療介護関連歳出    8.8億円

(内訳)自立支援医療給付費         0.4億円

    重度心身障害者医療費        1.3億円

    母子家庭等医療費          0.3億円

    乳幼児医療費            0.5億円

    生活保護医療扶助費         5.1億円

    生活保護介護扶助費         0.1億円

    妊婦健診委託料           0.1億円

    救急医療対策補助金         0.1億円

    予防接種委託料           0.5億円

    がん検診等委託料          0.2億円

    校医報酬              0.2億円

※ 一般会計歳出の1割近くは医療機関へ支出されています。

  介護を併せると12%以上が医療・介護への給付です。

 

国保特別会計歳出のうち保険給付費      36.7億円

国保特別会計歳出のうち保健事業費       0.2億円

老保特別会計歳出のうち医療給付費       5.7億円

介護保険特別会計のうち保険給付費      33.8億円

介護保険特別会計のうち介護予防事業費     0.2億円

※ このほか支払基金からは健康保険の、広域連合からは後期高齢者の医療給付が行われます。それぞれ国保の保険給付費と同規模の額です。すなわち、一般会計予算の規模に迫る額が、医療・介護給付のために使われていることになります。

みやま市の医療・介護決算(歳入)

2010 年 2 月 1 日 月曜日

平成20年度みやま市決算書から医療・介護関連歳入を抽出してみます。

 

一般会計歳入合計(収入済額)     156.5億円

医療介護関連特別会計歳入合計     108.2億円

(内訳)国民健康保険事業特別会計     57.4億円

老人保健特別会計歳入合計      7.0億円

後期高齢者医療特別会計歳入合計   5.1億円

介護保険事業特別会計歳入合計   38.7億円

※ 医療・介護関連特別会計の歳入実績は、一般会計歳入実績の3分の2の規模です。

 

一般会計歳入のうち市民税        15.3億円

特別会計歳入のうち保険料        20.7億円

(内訳)国民健康保険税          11.2億円

後期高齢者医療保険料        3.4億円

介護保険料             6.1億円

※ 市民にとって、市民税負担より保険料負担のほうが大きいのが現実です。

 

一般会計歳入のうち医療・介護関連歳入   4.2億円

(※生活保護医療扶助費を除く)

(内訳)国民健康保険基盤安定国負担金    0.1億円

県負担金    1.1億円

後期高齢者医療保険基盤安定県負担金 1.0億円

民生費医療費県支出金        1.1億円

老人保健特会からの繰入金      0.5億円

介護保険特会からの繰入金      0.4億円

※ 医療・介護関連歳入は特別会計歳入だけではありません。

 

医療介護関連特会へ国庫・県からの支出金 35.1億円

(内訳)国保特会へ国庫支出金       15.1億円

国保特会へ県支出金         2.3億円

老保特会へ国庫支出金        2.5億円

老保特会へ県支出金         0.5億円

介護保険特会へ国庫支出金      9.4億円

介護保険特会へ県支出金       5.3億円

※ 特会への国庫・県からの還流は、市民税と保険料を併せた額(36億円)に匹敵します。

 

医療介護関連特会へ拠出機関からの交付金36.7億円(拠出金 25.9億円)

(内訳)国保療養給付費交付金  3.4億円(退職者医療    拠出金なし)

国保前期高齢者交付金 11.5億円(前期高齢者納付金 0.0億円)

国保共同事業交付金   7.7億円(共同事業拠出金  7.5億円)

老保支払基金交付金   3.3億円(国保から老保拠出金1.2億円)

介護保険支払基金交付金10.8億円(国保から介護納付金2.3億円)

後期高齢者医療制度 交付金なし(国保から後期高齢者支援金5.3億円)

            (後期高齢者医療特会から広域連合納付金4.9億円)

         (一般会計から後期高齢者医療療養給付費負担金4.7億円)

※ 拠出機関からの交付金も市民税と保険料を併せた額に匹敵し、拠出額を上回ります。

地方都市経済と医療費

2009 年 10 月 31 日 土曜日

本日、仙台で日本医療経営学会が開催されます。

http://www.policy.med.tohoku.ac.jp/JAHA2009/

保健医療経営大学からは、私が「地方都市経済における医療費の意義について」と題した発表を行います。

医療費として流通する資金の地方都市経済へ与えるインパクトについて考察しました。

F県南部の地方都市(M市)について、市民に使われる医療費の総額を、国民医療費統計と人口統計により推計しました。

M市民(人口4万2千人)には年間157億円の医療費が使われていると推計しました。

M市の決算(平成19年度)では、国民健康保険事業特別会計のうち保険給付費が39億円、老人保健事業特別会計のうち医療諸費が60億円、一般会計からの公費負担医療費が7億円支出されていますので、医療機関へ支払われた157億円のうち106億円(約3分の2)は市の会計を経由して支払われたことになります。

106億円の財源構成は、市税11億円(うち一般会計から特別会計への操出金が9億円)、国民健康保険料13億円、県税9億円、国税42億円、支払基金交付金31億円でした。

労働力人口に比して高齢者人口が多い地方都市においては、外部(国庫等)からの歳入が厚く、市民が保険料や税金として拠出した総額よりも多い資金が還流します。

医療機関への支出は、ほとんどストックされずに職員給与や業者への支払いに充当されていますので、医療費の市外流出を留めれば、地域経済刺激効果が期待されます。

重症化抑止可能疾患を市内医療機関でコントロールすることで、医療費を適正化し、かつ、医療費の市内還流で地方都市経済を活性化することができます。

ローカルFMに生出演しました

2009 年 10 月 25 日 日曜日

昨夕、午後5時15分から10分余り、ドリームスFMに出演しました。

収録は、久留米市六角堂広場のサテライトスタジオ。

パーソナリティーのダニー・ババさんの「馬場100選」コーナーで、本日の「食の祭典」と「大学祭」のPRをしました。

(筑後スローフードフェスタ2009について)

スローフードとは、生産者の心が見える食材です。

筑後の活力を支えているのは第一次産業です。

筑後地域16市町村で多彩なイベントが行われています。

(みやま市での25日のイベントについて)

40種類のスローフードが食べ放題の「みやまてんこ盛りバイキング」や「みやま田舎んもん市場」が待っています。

スローフードの食材は加工されると別の姿になります。

「食の祭典」では、加工する人の心も見える、こんにゃくづくり体験、まんじゅうづくり体験、うどん打ち体験、ジャムづくり体験、味噌づくり体験などの体験コーナーが盛りだくさんです。

(他の企画について)

ありあけ新世高校生がソーラークッカー(太陽熱調理)の実演をします。

誠修高校生がハンドマッサージによる癒しを演出します。

一日限りのフィットネスクラブもオープンします。

結城登美雄氏の「地域で支え合う食と農」の講演会があります。

保健医療経営大学の大学祭が同時開催です。

音楽サークルのライブがあります。

茶道部による「大学茶屋」もあります。

(コーナーのまとめとして、ダニー・ババさんが一句、川柳「馬場百選柳」を披露)

五七五といえば「連句興行」もあります。

楽しいことばかりですので、皆さん、遊びに来てください。

キャンドルナイト

2009 年 6 月 13 日 土曜日

来週の土曜日(6月20日)は夏至前夜です。

この夜19時半から、保健医療経営大学を会場に「第5回木蝋の里みやまキャンドルナイト」が開催されます。

毎年、夏至の夜と冬至の夜に世界規模で開かれる「100万人のキャンドルナイト」 に合わせて開かれるものです。

みやまのキャンドルナイトは和ろうそくの灯りのみで行われるのが特色です。

今回は、「たかたおはなし会」によるブラックシアター(ブラックライトを使った演劇)が楽しめます。

プレイベントとして、18時からキャンドルナイト開場の19時まで、「市民公開講座(特別授業・やっぱ英語はおもろナイト!)」を開催します。

学習塾講師や予備校講師等の豊富な経験があり、本学では英語/英会話/ビジネス英語を担当している小手川先生が、英語をおもしろく学ぶヒントを伝授します。

扶助費は市財政を破綻させるか(12)

2009 年 6 月 9 日 火曜日

医療費や扶助費が市財政悪化の元凶であるかのように言われるようになって久しく、あちこちで意図的に医療費や扶助費を抑制しようとする動きが顕著になってきました。

歴史的には、もっぱら高額医療費が槍玉に挙げられ、高額医療費の審査はかなり厳格に行われています。

高額医療費は、抑制できる余地は意外に少ないのです。

もとより高額医療費は命にかかわる医療のために支出されることが多いので、抑制するにも限度があります。

従って総医療費を意図的に抑制しようとすれば、皺寄せはむしろ、市内で普通に行われている一般医療に向かうことになってしまいます。

医療機関の経営環境はずいぶん厳しくなってきました。

これ以上厳しくなれば、医療従事者は勤務条件のいい都市部へと逃げてゆき、市内の医療提供体制が貧弱になってゆきます。

市民のお金の一方的流出が加速し、地域経済は疲弊してゆきます。

医療費や扶助費は、意図的に抑制するのではなく、結果として抑制できるような地域経営を行わなければ、地域経済の行く末が危ぶまれます。

みやま市はじめ自治体には、「医療費抑制」を政策目的とせず、結果として、総医療費が抑制できるような政策手段を充実してほしく思います。

扶助費は市財政を破綻させるか(11)

2009 年 6 月 8 日 月曜日

すべての市民が健診を受診して、

健診で病気を発見されたすべての人が市内の医療機関を受診し、

(あるいは保健指導に従い、)

すべての受診者が治療を継続すれば、

市内の医療機関の従事者は安定した収入が確保できて地域経済は活性化し、

高額医療費(の市外流出)が少なくなるので、

結果として、

総医療費は抑制されます。

医療費が抑制されれば保険料は上がりません。

同様に、

扶助費として支出される医療や福祉のための経費も、

効果的に市内の機関で早期治療や介護予防に使われれば、

地域経済の活性化財源となり、

結果として、

扶助費の総額は抑制されます。

 

これが、ここまでの論点の整理です。

しかし現実は、

大半の市民は健診を受診せず、

健診で病気が発見されても受診せず、

症状が軽ければ受診しても治療を中断し、

症状がひどくなって(病気が悪化して)はじめて(市外の)医療機関を受診するので、

市内の医療機関の経営は安定せず、

結果として、

総医療費は増加し、

保険料も上がります。

同様に、

扶助費も増加する高額医療費や介護費にあてがわれ、

結果として、

扶助費の総額も増加します。

 

現実に照らせば、医療費や扶助費の増加は、市民のお金の一方的な流出のあらわれであり、医療費や扶助費が市財政悪化の元凶のように言われるとしても仕方ありません。

扶助費は市財政を破綻させるか(10)

2009 年 6 月 6 日 土曜日

広報みやま6月号に特定健診の案内が掲載されています。

健診対象者は、みやま市国保加入者で40歳以上75歳未満。

集団健診は校区ごとに場所と日時を設定し、がん検診と同時実施。

個別健診は各医療機関で実施。

健診費用は1000円が徴収されます。

特定健診は保険の実施主体の義務として行われますので、国保が国保の加入者を対象に実施します。

75歳以上の人は国保の加入者ではなく後期高齢者医療制度の加入者なので後期高齢者医療制度の健診を受けることになります。

会社の健康保険(被用者保険)の加入者は会社の特定健診の対象者です。

実際は、75歳以上の人や会社の健康保険の家族(被扶養者)は地域で生活している場合が多いので、国保が実施する集団検診(住民健診)を受けることができるような制度運用がなされています。

(費用負担は制度間で調整されます。)

従って、国保の特定健診は、実際の国保加入者の健診数よりも多い受診者数を見積もって健診計画を立てなければなりません。

みやま市の特定健診受診率は、制度が発足した平成20年度は約27%でした。

健診会場に受診者が溢れる、という状況にはほど遠いようです。

健診機会を実態に合わせて縮小すると、さらに受診者が減ってしまいます。

今年度は40%が目標です。

国の目標値は平成24年度までに65%です。

健診の機会を倍増し、どの会場も受診者が溢れるような状況へと持ってこなければ、目標達成は困難です。

扶助費は市財政を破綻させるか(9)

2009 年 6 月 3 日 水曜日

症状がない人を受診させるのは困難です。

健康診断で異常が発見され「要受診」と判定された人の大半が、翌年の健康診断までの間、受診を怠っている実態があります。

これでは何のために健康診断を行っているのかがわかりません。

昨年春から、特定健診(いわゆるメタボ健診)制度が始まりました。

この制度とペアになる制度として特定保健指導制度も始まりました。

特定健診で発見されたメタボリック症候群のリスクが高い人を放置しないために新たに始まった制度です。

このふたつの制度をうまく運用すれば、長期的には、総医療費抑制効果と地域内医療費保留効果(地域経済活性効果)の二つの成果を得ることができるはずです。

しかし、特定健診の受診率が、特に国保加入者において著しく低いという現実があります。

受診率を向上させないことには机上の空論となってしまいます。

扶助費は市財政を破綻させるか(8)

2009 年 6 月 2 日 火曜日

一般的な医療の提供体制を充実させても、肝心の高血圧や高脂肪血症や糖尿病で受診が必要な人が受診しないのでは開店休業です。

これらの病気は、発病の初期は症状となって現れず、症状が出現した頃には病気がかなり進行していたりします。

脳卒中や心筋梗塞になってはじめて受診したり、受診して間もなく人工透析が必要になったりするケースが多いのが実情です。

受診していない間は医療費はまったくかかりませんが、いざ受診したら、それまで節約できたかに思えた分が、その何倍もの負担で圧し掛かってきます。

市町村によっては、受診しないことを美徳として国保保険料を使わなかった人を表彰したりするところもあったようですが、高齢者のほとんどは、何らかの生活習慣病危険因子をはらんでいるものですから、受診は奨励こそすれ抑制してはいけません。

扶助費は市財政を破綻させるか(7)

2009 年 6 月 1 日 月曜日

医療サービスの提供体制を整備するには経費がかかります。

たとえば週に数人しか夜間のお産がないような市町村で独自に24時間産科医療体制を整備すれば、どうしても支出超過となってしまいます。

そもそも各市町村に夜間にくまなく産科医を配属できるほど産科医はいないので、体制を整備しようにも医師確保に難があります。

同一医療圏内の近隣市に24時間産科医療を行う医療機関があれば、そちらに市民の医療を委ねたほうが効率的です。

委ねられた医療機関も、患者数が増えて経営効率が良くなります。

産科に限らず、需要が少ない医療については、医療圏内のどこかの医療機関に医療を集約させるのが、効率的です。

医療は、医療圏内で完結しさえすれば、市町村を越えた分業体制が望ましい、ということができます。

ここまでは前回までに述べた論点とほぼ同じですが、実際の医療需要の大半(8~9割)は、ごくごく一般的な病名への対処であるという事実認識が必要です。

風邪や高血圧や高脂血症や糖尿病の治療まで近隣市の医療機関に委ねるようでは、市民のお金の流出による経済衰退は免れません。

これらの病気が進行すれば市内の医療機関では手に負えなくなってきますが、適切な医療によって病気の進行を止めることができます。

特別な医療サービスの提供体制の充実ではなく、ごく一般的な医療の提供体制を充実させるだけで、市民のお金の流出を食い留めることができます。

扶助費は市財政を破綻させるか(6)

2009 年 5 月 27 日 水曜日

同じ病気であっても、昼間だと市内の医療機関で対処できるが、時間外救急だと市外の医療機関へ行かなければならない、というような事例はよくあります。

たとえばこどもが熱を出したとき、昼間だったら近くの小児科医を受診できますが、夜間だったら遠くの医療機関へ行かなければなりません。

夜まで待たずに受診しよう、という世論を盛り上げるだけで市民のお金の流出はずいぶん防げます。

病気が軽いうちだったら市内の医療機関で対処できるが、病気が進行したら市外の医療機関へ行かなければならない、というような事例もよくあります。

たとえば、高血圧や糖尿病は初期であれば市内の医療機関で対処できますが、進行して脳卒中や人工透析になったら遠くの医療機関の受診が必要になったりします。

この場合、市民のお金が流出するのみならず、進行した病気の医療費はぐんと高くなるので市民の保険料も高くなってしまいます。

早期発見して早期治療しよう、という世論を盛り上げるだけで市民のお金の流出を防ぎ、保険料を安くすることができます。

扶助費は市財政を破綻させるか(5)

2009 年 5 月 22 日 金曜日

市民に必要な医療をすべて市内で完結させる、というのは保護貿易主義的な発想です。

効率的な方法ではありません。

たとえば需要が少ない高額医療機器を、近隣市の医療機関が保有しているにもかかわらず自市内にも配置するというのは、機器導入の採算が見込めません。

夜間救急医療体制にも多くのコストを要します。

夜間の需要が少ない診療科についてまで、すべての診療科について夜間の医療サービスを充実させても、採算の見通しは立ちません。

需要(発生頻度)が少ない、特別な医療サービスを必要とする病態への対応は、地域間分業を推進すべきでしょう。

発生頻度が少なくても、患者が特定の医療機関に集約されれば、不採算性は薄らぎます。

ここで問題となるのは、そのような特別な医療サービスを必要とする病態(合併症を併発している場合、病状が進行して重症化している場合、時間外診療など)であるほど、多くの医療費を要することです。

そのような患者が市外の医療サービスを求めると、ひとりあたり数百万円、数千万円のお金が、毎年、市外へ流出してしまいます。

特別な医療サービス提供体制の整備は採算がとれない、しかし、特別な医療サービスの提供体制をとらなければ市民のお金が一方通行で逃げてゆく、というジレンマを解消する手段はあるのでしょうか?

扶助費は市財政を破綻させるか(4)

2009 年 5 月 20 日 水曜日

医療(や介護)の支出を市内で完結させることができれば、地域内を相当規模のお金が流通し、結果として、地域経済が活性化します。

医療を地域の基幹産業と位置づけることができます。

自治体病院を有している自治体は、より戦略的に、この基幹産業を伸ばすことも可能です。

しかし、多くの自治体では、自治体病院(多くは赤字経営です)を財政のお荷物としてしか認識できていません。

国民医療費は33兆円以上なので、受診しない人も含め、国民ひとりあたり年間30万円の医療費がかかっている計算です。

市民のうち10000人が、病気をした時には市外の医療機関を受診したいような心理であるとすれば、それだけで30億円が市外へ流出してゆきます。

自治体病院の存在が、市民の心理をしっかりと市内受診に留めるのに役だっているのであれば、多少の赤字を抱えていても、自治体病院は財政のお荷物ではないはずです。

近隣市にはあって、みやま市にないものが自治体病院です。

自治体病院がなくても、市内の民間医療機関が市民の医療ニーズの受け皿としてカバーできておれば、みやま市はラッキーです。

しかし、そうでなければ、お金の市外流出による経済停滞を、医療介入によって防止することは困難です。

医療の受け皿

2009 年 5 月 17 日 日曜日

みやま市内には48の医療機関があります。

病院が        2

医科系診療所が   29

歯科系診療所が   17

 

主な標榜診療科別の内訳(重複あり)は次の通りです。

内科        19

歯科        17

外科        10

消化器科      10

小児科        9

リハビリテーション科 8

整形外科       5

肛門科        5

呼吸器科       3

循環器科       3

脳神経外科      2

耳鼻咽喉科      2

皮膚科        2

放射線科       2

麻酔科        2

胃腸科        2

心療内科       2

リウマチ科      2

産婦人科       1

眼科         1

精神科        1

神経科        1

心臓血管外科     1

気管食道科      1

アレルギー科     1

 

近隣市にはあるのにみやま市内では標榜されていない診療科(神経内科、形成外科、泌尿器科など)がいくつかあるものの、おおむね、ほとんどの病気について、みやま市内でカバーできるように思えます。

しかし、時間外で対応できなかったり、手に負えないほど病気が進行していたりした場合、市外の医療機関へ紹介することになります。

扶助費は市財政を破綻させるか(3)

2009 年 5 月 16 日 土曜日

みやま市商工会は、定額給付金事業に合わせて「プレミアム付商品券」を発行しました。

みやま市内の店(加盟店)でのみ使える商品券です。

1万円で500円商品券が22枚購入できます。

すなわち、1万円で1万1千円分の買い物ができます。

さらに、この商品券を購入すると、37型液晶テレビなど豪華商品が多数当たる抽選券ももらえます。

発行総額は、商品券の額面で1億1千万円です。

現金取引の場合より1千万円以上の持ち出しになりますが、1億円が地域内に留まって循環することには1千万円以上の経済効果があります。

国庫からみやま市を介してみやま市民へ届く定額給付金は6億6千6百万円です。

このうちの1億円が商品券に姿を変えて市内で使われます。

 

扶助費では、この十数倍の規模のお金がみやま市民のために支出されます。

国民健康保険では、58億6千万円が支出されます。

老人医療と介護保険では、97億4千万円が支出されます。

これらのお金がみやま市内で支出されたらどうなるか。

逆に、これらのお金がみやま市外で支出されたらどうなるか。

地域経済への影響は自明のことです。

医療支出や介護支出の受け皿がみやま市内に充実しているか否かが、みやま市の経済の運命を左右します。

扶助費は市財政を破綻させるか(2)

2009 年 5 月 14 日 木曜日

市民に対する現金給付は、そのお金がやがて地域を循環し、地域経済の活性化につながります。

現金給付額の一部を市財政が負担するだけで、その数倍もの現金が国庫や県から流入するのであれば、市としては得でしょう。

現物給付(物品またはサービスの給付)であっても同じ事で、物品やサービスの対価が地域の事業者に支払われるのであれば、現金の流入と同じくらいの地域経済活性化効果があります。

扶助費の多くは社会保障サービスの現物給付です。

とりわけ医療の現物給付が多くの割合を占めています。

医療支出の半分近くは人件費(給与など)支出なので、みやま市民に対する医療扶助(7億円)が地域内で完結すれば、医療機関の従業員給与等を通じて3億円以上の現金が地域を還流することになります。

その他の社会保障サービスも人件費の固まりです。

扶助費のために市財政から支出したお金が何割増しにも膨らんで地域を還流します。

地域経済が活性化すれば、市の税収もアップします。

扶助費は市を財政破綻から救う救世主かもしれません。

 

実は、この論点には落とし穴があります。

キーワードは「地域内完結」です。

扶助費は市財政を破綻させるか(1)

2009 年 5 月 11 日 月曜日

扶助費とは、社会保障制度の一環として、現金・物品を問わず、対象者に対して支給される経費です。

いわば、社会保障施策の根幹を成す経費です。

みやま市の平成19年度一般会計歳出決算から、主な扶助費をピックアップしてみます。

 

生活保護費のうち扶助費             7億円

      (うち医療扶助費          4億7千万円)

障害者福祉費のうち扶助費            4億8千万円

児童措置費のうち扶助費             4億円

重度心身障害者医療対策費のうち扶助費(医療費) 1億5千万円

乳幼児医療対策費のうち扶助費(医療費)       4千万円

母子家庭等医療対策費のうち扶助費(医療費)     3千万円

 

たとえば生活保護扶助費には7億円の支出がありますが、そのうち5億2千万円は国庫からの収入で賄われます。

生活保護費の4分の3は国が負担する制度となっているためです。

その他の扶助費についても、国策として法律に基づいて支出される場合、国庫支出金が多くあてがわれます。

これらの扶助費は、みやま市民が現金あるいは物品の形で受け取るもので、財源の多くがみやま市の外から流入してくるものです。

※ 市が単独で行う扶助(例:敬老祭祝金)の場合は全額が市の負担です。

扶助費が多いことは、市にとって非常に得な気がするのですが、現実は、扶助費の増嵩にどの市町村も頭を痛めています。

一般会計に占める割合が高いため、予算額としても扶助費は十数億円のオーダーとなり突出します。

いくら国庫や県からの財源があるといっても、市の財源からの支出も億の単位となります。

国庫支出金と県支出金

2009 年 5 月 7 日 木曜日

みやま市の一般会計歳入には、国庫支出金と県支出金という、両者で25億円(市民ひとりあたり6万円)の大口の収入があります。

これらの支出金の内訳で大きなもの(8千万円以上)をピックアップしてみます。

 

(国庫支出金)

生活保護費負担金      5億2千万円

保育所児童運営費負担金   2億4千万円

障害福祉サービス費負担金  2億円

(県支出金)

活力ある高収益型園芸産地育成事業費補助金

 1億7千万円

国民健康保険基盤安定負担金 1億4千万円

保育所児童運営費負担金   1億2千万円

障害福祉サービス費負担金  1億円

重度心身障害者医療費補助金   8千万円

 

社会保障関連項目での支出金が圧倒的です。

国保特別会計でも、国庫支出金と県支出金が、両者で21億円(市民ひとりあたり5万円)もありましたが、国または県の財政運営の立場からは、これらの支出をなんとか抑制したいところでしょう。

しかし、市の立場では、国保、生活保護、保育所、障害福祉サービス等を充実すればするほど、計算上は、市に資金がどんどん流入してくることになります。

資金流入

2009 年 5 月 6 日 水曜日

みやま市の市税による収入(歳入)は34億5千万円なのに、一般会計支出(歳出)は150億円ということは、他の収入源がないと辻褄が合わないことになります。

市税以外の主なものは次の通りです。

 

地方交付税        59億円

国庫支出金        13億1千万円

県支出金         11億8千万円

市債            8億6千万円

前年度繰越金        4億5千万円

地方消費税交付金      3億6千万円

自動車重量譲与税      2億6千万円

保育所入所児童保護者負担金 2億5千万円

財政調整基金繰入金     2億円

使用料・手数料       2億円

自動車取得税交付金     1億9千万円

地方道路譲与税         9千万円

 

国民健康保険も、国保税による収入(歳入)は13億2千万円なのに、特別会計支出(歳出)は58億6千万円です。

 

国保税以外の主な収入源は次の通りです。

国庫支出金         18億4千万円

退職者等医療療養給付費   11億2千万円

保険財政共同安定化事業交付金 7億円

前年度繰越金         4億4千万円

県支出金           2億6千万円

保険基盤安定繰入金      2億1千万円

財政安定化支援事業繰入金   1億1千万円

 

いずれの会計も、外部(国や県)からの資金流入があります。

みやま市の収入

2009 年 5 月 5 日 火曜日

自治体の収入(歳入)の基幹は市税です。

地方交付税など他の財源が歳入に占める割合も大きいですが、市税の割合が大きいほど自治体は自立度が高いと言うことができます。

みやま市の平成19年度の市税歳入は34億5千万円(市民1人あたり8万1千円)でした。

 

その内訳の主なものは次の通りです。

個人市民税 13億3千万円(1人あたり3万1千円)

法人市民税  1億7千万円(1人あたり4千円)

固定資産税 16億6千万円(1人あたり3万9千円)

軽自動車税  1億円(1人あたり2千円)

市たばこ税  1億9千万円(1人あたり4千円)

 

これ以外に、特別会計として別に徴収しているものがあります。

国民健康保険税 13億2千万円

介護保険料    6億1千万円

計算上、国保税の市民1人あたり負担は市民税と同じくらいですが、国保の加入者数は市民の約半数ですので、加入者1人あたりの負担は市民税の倍ということになります。

地方経済が元気になれば市民税が増加します。

国保加入者が元気になれば国保税は下がります。

みやま市の医療経済

2009 年 4 月 27 日 月曜日

保健医療経営大学の地元のみやま市についての分析です。

新たにカテゴリーを設けて連載してゆこうと思います。

みやま市では、ホームページに予算等の行政情報が迅速に公開されています。

http://www.city.miyama.lg.jp/info/prev.asp?fol_id=776

保健医療の地域経営を概観するにはもう少し詳しい情報が必要となるのですが、そういう情報も、比較的容易に市から入手することができます。

このブログの読者の皆さんも、ご自分の自治体について、私に倣って同様の分析をしてみてください。

保健医療は地域差が大きい分野なので、自治体の抱える課題について、いろんなことに気付くことができると思います。

予算決算情報が得にくくて分析の糸口が得られない自治体、そういう自治体の抱える最大の課題は「行政の透明性」で、保健医療経営以前の問題が立ちはだかっています。

予算決算情報は、開示請求をするまでもなく役所へ問い合わせれば容易に得ることができる公開情報なのですが、その出し惜しみの度合いで行政の基本的姿勢が窺えます。

 

みやま市の平成19年度決算(歳出)ですが、一般会計は150億円でした。

みやま市の人口は42442人(本年3月末日現在)。

緊急経済対策のために投入される定額給付金予算は6億6千6百万円です。

さて、みやま市の国民健康保険事業特別会計の歳出総額は58億6千万円。

定額給付金の約9倍で、久留米市の場合(約8倍)より、ちょうど定額給付金分くらいを上乗せした歳出があります。

みやま市民が余計に医療費を使っているというわけではありません。

みやま市民の国保加入者割合が久留米市民より高いことに起因しています。

保健医療に関連する特別会計としては、国保以外にも、老人保健事業特別会計歳出が61億4千万円、介護保険事業特別会計歳出が36億円あり、三つの特別会計歳出を合計すると156億円で一般会計歳出を上回ります。

なお、特別会計歳入(保険料、国や県からの支出金など)だけでは完結しないため、一般会計から特別会計への操出金が三事業合計で15億6千万円もあります。

みやま市(に限らず多くの自治体)の地域経営は保健医療経営の采配に委ねられていると言っても過言ではありません。