‘保健医療の地域経営’ カテゴリーのアーカイブ

死亡届(戸籍法)

2010 年 8 月 5 日 木曜日

死亡届が提出されずにいる高齢死亡者のニュースが相次いでいます。

死亡届については戸籍法が根拠法です。

死亡届は戸籍削除のための重要な手順です。

この手順が守られないと、戸籍制度に基づく数多くの法規範の根幹が揺らいでしまいます。

死亡の届出は、届出義務者が、死亡の事実を知った日から7日以内(国外での死亡は3か月以内)に行わなければなりません(第86条)。

死亡届には、死亡診断書あるいは死体検案書を添付しなければなりませんので、死亡の事実がないのに届け出ることはできません。

やむを得ず診断書や検案書が得られない場合は、死亡の事実を証明する書面が必要です。

なお、死亡届が受理されない限り市町村長は埋葬、火葬の許可が出せません(墓地、埋葬等に関する法律第5条)ので、死亡届出義務は、通常、遵守されています。

届出義務者は次の順です(第87条)。

第一 同居の親族

第二 その他の同居者

第三 家主、地主又は家屋若しくは土地の管理人

実際は、順序にかかわらず届け出ができますし、同居の親族以外の親族、後見人、保佐人、補助人及び任意後見人も届け出ができますが、誰も届け出をしないということになると、上の順に届出義務違反が問われることになります。

独居老人の場合は、家主、地主、管理人に届出義務があります。

行き倒れなど身元不明者の場合は、警察官が、死亡地の市町村長に死亡の報告をします(第92条)。

身元不明者は失踪届が出されていることもあり、失踪届と照合して身元が判明したら、戸籍から削除されます。

高齢者の失踪が長期に及んだ場合、死亡とみなして戸籍から削除する場合もあります。

「100歳以上の高齢者については、その者の所在が不明で、かつ、その生死及び所在につき調査の資料を求める事ができない場合に限り、戸籍謄本及びその附票の写しのみによって、職権消除の許可をすることができる。」(法務省民事甲第163号回答(s32.1.31) )

「戸籍の附票に住所の記載の無い90歳以上の者で生存の見込みの無いものについては、関係者から戸籍消除の申し出があった場合、監督局長の許可を得て、死亡を原因として除籍して差し支えない。」(法務省民事甲第1358号通達(s32.8.1) )

失踪にかかわらず届け出をしない場合や、戸籍削除の申し出がない場合は、戸籍上は生存していることになります。

高齢者医療制度改革会議(10)

2010 年 8 月 3 日 火曜日

中間とりまとめ(案)

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(5)高齢者の患者負担

○ 高齢者の医療費の増加に伴い、公費、高齢者の保険料、現役世代の保険料はいずれも増加せざるを得ないが、高齢者の患者負担については、負担能力に応じた適切な負担にとどめることを基本とする。

○ 特に、70歳から74歳までの方の患者負担については、現在、2割負担と法定されている中で、予算措置により1割負担に凍結しているが、個々の患者の負担の増加と各保険者の負担の増加の両面に配慮しつつ、そのあり方について引き続き検討する。

○ 高額療養費については、所得再分配機能を強化する観点から、所得の高い方の限度額は引き上げ、所得の低い方の限度額は引き下げる方向で見直すべきであり、現役世代を含む高額療養費全体の見直しの中で引き続き検討する。

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医療の財源は、公費と保険料と患者負担の3つしかありません。

医療費の総額が膨らめば、3つとも膨らまざるを得ませんが、どれかの増加を抑制すれば、他の財源にしわ寄せが行きます。

なお、公費財源に限りがあるのは自明ですので、公費へのしわ寄せは、消費税率を欧州の福祉国家並みにアップしない限り、現実的議論とはなりません。

患者負担を増やすか、保険料を増やすか、という二者択一であれば、リスク分散の観点から、保険料を増やしたほうがいいでしょう。

保険料の議論と患者負担の議論とは、セットで考えなければなりません。

どちらも抑える、というのでは医療の維持ができません。

高齢者医療制度改革会議(9)

2010 年 8 月 2 日 月曜日

中間とりまとめ(案)

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(4)現役世代の保険料による支援

○ 高齢者の医療給付費については、公費と高齢者の保険料に加え、国民全体で支えるという社会連帯の考え方に基づき、国保・被用者保険の現役世代の保険料で支えることが必要である。

○ その際、国保と被用者保険者間は加入者数による按分となるが、被用者保険者間では、財政力の弱い保険者の負担が過重なものとならないよう、負担能力に応じた支え合いにすべきであり、その具体的な按分方法については、引き続き検討する。

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高齢者の医療費を現役世代の保険料で支えることなしには高齢者の医療制度は構築できませんが、被用者保険の「負担能力」は保険者ごとにまちまちです。

これ以上負担を求めたら破綻してしまいそうなところもあります。

比較的人口構成が若い健康保険組合は医療費支出も少ないので「負担能力」が高いということになりますが、「負担能力に応じて」ということになると、若い人の保険料を大幅に引き上げることになってしまいます。

高齢者医療制度改革会議(8)

2010 年 8 月 1 日 日曜日

中間とりまとめ(案)

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(3)高齢者の保険料

○ 国保に加入する75歳以上の方の保険料水準については、現行の後期高齢者医療制度より増加することのないよう、引き続き、医療給付費の1割相当を保険料で賄うこととする。

○ また、都道府県単位の財政運営とする対象年齢を65歳以上とした場合、65歳から74歳までの方にも75歳以上の方と同じ保険料率の水準を適用すべきか、現行の保険料水準を維持すべきか、引き続き検討する。

○ 前者の場合には、65歳から74歳までの方の保険料は、総額としては減少するが、個々の保険料は変化することから、あらかじめ、高齢者の保険料の変化に関する調査を行うことが必要となる。また、急激な負担増が生じないよう、緩和措置を講じることが必要となる。

○ さらに、現行制度では、現役世代の人口の減少による現役世代の保険料の増加分を高齢者と現役世代で折半し、高齢者の保険料の負担割合(後期高齢者負担率)を段階的に引き上げる仕組みになっているが、高齢者と現役世代の保険料規模は大きく異なるため、基本的に高齢者の保険料の伸びが現役世代の保険料の伸びを上回る構造となっている。このため、高齢者人口の増加と現役世代人口の減少に伴う現役世代の保険料の増加分を、高齢者と現役世代とで適切に分担する仕組みを設ける。

○ これにより、高齢者と現役世代の1人当たり医療費の伸びが同じであれば、高齢者と現役世代の保険料の伸びはほぼ均衡することとなるが、1人当たり医療費の伸びに差があった場合に、高齢者の保険料の伸びが現役世代の保険料の伸びよりも大きく乖離することとならないよう、財政安定化基金を活用して高齢者の保険料の伸びを抑制できる仕組みを設けることとし、その具体的なあり方については引き続き検討する。

○ 高齢者の保険料については、同一世帯の他の現役世代の保険料と合算し、世帯主が納付する。

○ これにより、世帯主以外の高齢者は保険料の納付義務が無くなり、こうした高齢者においては年金からの天引きは必要ないものとなるが、高齢者世帯の世帯主で希望される方は、引き続き、年金からの天引きも実施できるようにする。

○ 保険料の上限については、現在、後期高齢者医療制度は50万円(個人単位)、国保63万円(世帯単位)となっているが、国保の世帯単位の上限に一本化した上で、被用者保険の上限額(93万円;協会けんぽの本人負担分)も勘案しつつ、段階的に引き上げる。

○ 現在、75歳以上の方に適用されている低所得者の保険料軽減の特例措置(均等割の9割・8.5割軽減、所得割の5割軽減)については、後期高齢者医療制度施行時の追加的な措置として導入されたものであることや、介護保険との整合性を踏まえつつ、新たな制度の下で合理的な仕組みに改めることとし、その具体的なあり方については引き続き検討する。

○ 一方、被用者保険に加入する高齢者の保険料は、各被用者保険者の算定方法・徴収方法を適用する。

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高齢者の医療費が総医療費の3分の1を占める中、高齢者の保険料は医療給付費の1割程度に抑えられています。

残りの9割は公費の投入と現役世代の保険料です。

今後、高齢者人口割合が急激に増えてゆきますが、まもなく高齢者の医療費が総医療費の半分を占める時代が訪れます。

そのような時代を迎えてもなお、高齢者の保険料負担を1割程度に抑え続けることができるのか、という議論が必要です。

高齢者に優しい社会を実現したいものですが、その社会が財政的に破綻してしまっては元も子もありません。

高齢者医療制度改革会議(7)

2010 年 7 月 31 日 土曜日

中間とりまとめ(案)

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(2)公費

○ 現行の高齢者医療制度は、75歳以上の方の医療給付費に約5割の公費(平成22年度予算ベース;5.5兆円)を投入するとともに、市町村国保・協会けんぽ等が負担する後期高齢者支援金及び前期高齢者納付金等に一定割合の公費(同;2.0兆円)を投入している。

○ 公費については、高齢者や現役世代の保険料負担の増加を抑制するために、効果的な投入を図りつつ、充実させていくことが必要であり、今後の高齢化の進行等に応じた公費の投入のあり方について引き続き検討する。

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医療への公費の投入についてですが、財源の目処がありません。

仮に消費税率を5%から10%に引き上げたとすれば税収は12兆円増えますが、このすべてが医療にあてがわれるはずがありません。

福祉目的税だとしても、多くは年金制度の維持に費やされるでしょうから、10兆円を超える高齢者医療費に対し、インパクトのある公費投入ができるとは思えません。

「保険料負担の増加を抑制するため」の公費投入の財源は見あたりません。

「今後の高齢化の進行等に応じた公費の投入のあり方について」検討が重ねられた結果として後期高齢者医療制度が創設された経緯があります。

高齢者医療制度改革会議(6)

2010 年 7 月 29 日 木曜日

中間とりまとめ(案)
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3.費用負担
(1)支え合いの仕組みの必要性
○ 新たな仕組みの下では、高齢者も、国保や被用者保険にそれぞれ加入することとなるが、65歳以上の方については、一人当たり医療費が高く、国保・被用者保険の制度間で加入者数に大きな偏在が生じることから、引き続き、高齢者の医療費を国民全体で公平に分担する仕組みを設けることが不可欠である。
○ 高齢者が偏在して加入することに対する保険者間の調整の仕組みとしては、
① 現行の後期高齢者医療制度のように、高齢者の保険料と公費を高齢者の医療給付費に充て、これら以外の分を各保険者が現役世代の加入者数等に応じて支援する方法
② 老人保健制度や現行の前期高齢者に係る財政調整のように、充当される公費以外の分を各保険者がその加入者数等に応じて費用負担を行う方法(高齢者の保険料は、加入する各保険者にそれぞれ納められる)
③ 両者を組み合わせる方法
があるが、どのような仕組みが適切か、財政試算を明らかにしつつ、引き続き検討する。
○ また、新たな制度への移行に伴い、高齢者の保険料負担・患者負担や、市町村国保・協会けんぽ・健保組合・共済組合等の各保険者の負担が大幅に増加することのないようにする。
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現行制度は、高齢者の医療費の支え合いの仕組みについて、保険者間で調整に調整を重ねた末の産物として、長年の議論の末に制度設計されたものです。
高齢者のための独立した保険制度を新設して各保険者の高齢者医療支出の負担を軽減することと引き換えに、各保険者から相応の支援金を引き出すルールが定められました。
今回の案では、高齢者をそれぞれの保険者へ戻すことになっています。
支え合いの仕組みの構築は、相当の困難が予想されます。

高齢者医療制度改革会議(5)

2010 年 7 月 28 日 水曜日

中間とりまとめ(案)
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(3)運営主体
○ 現行の後期高齢者医療広域連合については、①都道府県や市町村と比べ、住民から十分に認知されていない、②広域連合長は住民から直接選ばれていないので、責任が明確でない、③市町村に対する調整機能が十分に働いていない、④市町村からの派遣職員を中心に運営しており、組織としてのノウハウの承継が困難である、といった問題点が指摘されている。
○ このような中、「都道府県単位の運営主体」を具体的にどこにすべきかについては、都道府県が担うべきとする意見が多数であったが、慎重な意見もあり、今回の中間とりまとめにより明らかになる新制度の全体像を踏まえ、また、将来的な財政試算等を明らかにしつつ、引き続き検討する。
(4)財政リスクの軽減
○ 保険料の収納不足や給付の増加といった財政リスクを軽減するため、公費と保険料を財源とする財政安定化基金を設置し、安定的な運営を図ることができる仕組みとする。
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都道府県単位の運営については、現行制度のような「広域連合」が行うのか、都道府県みずからが行うのかについては今後の検討課題とされています。
保険料収入で支出(医療費)が賄えない場合に誰が不足分を支出するか、という現実的な問題がありますので、運営主体の決定は市町村や都道府県の財政当局にとっては重要な関心事です。
どこが運営主体となっても、財政リスクの軽減策は必須でしょう。

高齢者医療制度改革会議(4)

2010 年 7 月 27 日 火曜日

中間とりまとめ(案)
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(2)運営の仕組み
○ 市町村国保を都道府県単位の財政運営とする場合においても、すべての事務が「都道府県単位の運営主体」で行われるものではない。被保険者の利便性や保険者機能の発揮といった視点から、窓口サービスや保険料の徴収、健康づくりなどの保健事業は、市町村が行うことが必要である。
○ また、現行の後期高齢者医療制度の利点の一つとして、保険料の算定方式が統一され、都道府県単位で保険料負担の公平が図られた点がある一方で、問題点の一つとして、市町村が徴収できた額を広域連合に納めるだけの仕組みとなっている点がある。
○ このため、収納率の向上が大きな課題となっている市町村国保の現役世代も含めた広域化の実現も視野に入れ、都道府県単位の保険料という考え方は維持しつつ、保険料の収納対策に市町村が積極的に取り組むことを促す仕組みに改めることが必要である。
○ 具体的には次のような仕組みとすることが適当である。
・ 「都道府県単位の運営主体」は、高齢者の給付に要する費用から、均等割と所得割の2方式で標準保険料率を算出し、それを基に、市町村ごとに「都道府県単位の運営主体」に納付すべき額を算定する。
・ これを受け、市町村は、当該市町村の収納状況等を勘案し、当該市町村における高齢者の保険料率を定める。
・ 市町村は、現役世代の被保険者の保険料率を従来どおりの方法で定める。
・ 市町村は、高齢者の保険料と同一世帯の他の現役世代の被保険者の保険料を合算し、世帯主に賦課し、世帯主から徴収する。
○ このような仕組みとすることにより、市町村は収納率を高めるほど当該市町村の被保険者の保険料を安く設定することができ、一般会計からの多額の繰入れを行っている市町村における保険料の急激な増加を回避することもできる。
○ 以上を踏まえ、市町村国保については、新たな制度においては、まずは、①「都道府県単位の運営主体」は、都道府県単位の標準保険料率の算出・会計の処理等の事務を行い、②市町村は、保険料の賦課・徴収、資格管理、保健事業等の事務を行うといった形で、分担と責任を明確にしつつ、国保を地域の総合力により共同運営する仕組みとすることが考えられるが、全年齢を対象とした都道府県単位化の実現までの段階を考慮しつつ、より具体的な設計について引き続き検討する。
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都道府県単位の国保運営といっても、保険料の賦課・徴収は市町村の責務とし、収納率が低ければその市町村の高齢者の保険料は高くする新制度案です。

高齢者医療制度改革会議(3)

2010 年 7 月 26 日 月曜日

中間とりまとめ(案)
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2.国保の運営のあり方
(1)財政運営単位
○ 現在、75歳以上の方々が加入している後期高齢者医療制度は、都道府県単位による財政運営が行われている。
○ 新たな仕組みの下では、多くの高齢者が国保に加入することとなるが、単純に市町村国保に戻ることとなれば、多くの高齢者の保険料が増加し、保険料格差も復活する(国保から後期高齢者医療制度への移行により、約7割の世帯で保険料は減少し、格差は5倍から2倍に縮小したが、この逆のことが起きる)。また、市町村国保の財政基盤を考えれば、再び市町村国保が高齢者医療の財政運営を担うことは不適当である。
○ したがって、市町村国保の中の、少なくとも75歳以上の高齢者医療については、都道府県単位の財政運営とすることが不可欠となる。
○ この場合の都道府県単位の財政運営とする高齢者医療の対象年齢は、75歳以上とする場合と、退職年齢・年金受給開始年齢・一般的な高齢者の概念等を考慮して65歳以上とする場合が考えられるが、個々の高齢者の保険料に与える影響や個々の保険者に与える財政影響を含め、引き続き検討する。
○ なお、見直し後における市町村国保の加入者は、65歳未満2500万人、65歳以上75歳未満1100万人、75歳以上1200万人であり、高齢者医療の対象年齢を65歳以上とすれば加入者のほぼ半分、75歳以上とすれば加入者の約4分の1が都道府県単位による財政運営の対象となる。いずれにせよ、65歳又は75歳という年齢区分は、国保の財政運営の安定化を図り、高齢者の負担の増加等を生じさせないようにするための財政運営上の区分にとどまるものである。
○ また、市町村国保の財政基盤を考えると、高齢者のみならず全年齢を対象に、国保の広域化を図ることが不可欠であり、今回の法改正で導入した都道府県が策定する「広域化等支援方針」に基づき、保険料算定方式の統一や保険財政共同安定化事業の拡大など、都道府県単位の財政運営に向けた環境整備を進めた上で、全年齢を対象に都道府県単位化を図る。
○ その移行手順については、平成25年度以降のある時期までと期限を定めて全国一律に都道府県単位化すべきという意見と、合意された都道府県から順次、都道府県単位化すべきという意見があり、引き続き検討する。
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現行制度が設計された背景に、高齢者割合が多い市町村国保の財政負担が破綻寸前だったことがあります。
したがって、高齢者を単純に旧制度(市町村国保)に戻すという選択肢はありえません。
国保には戻すけれども、都道府県単位で財政運営する新制度の国保を設けようという案です。

高齢者医療制度改革会議(2)

2010 年 7 月 25 日 日曜日

中間とりまとめ(案)
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Ⅱ 新たな制度の基本骨格
1.制度の基本的枠組み
○ 現在、地域保険としては、広域連合を保険者とする「後期高齢者医療」と、市町村を保険者とする「国保」が並立しているが、後期高齢者医療制度を廃止し、地域保険は国保に一本化する。
○ 加入する制度を年齢で区分することなく、何歳になっても、サラリーマンである高齢者の方や被扶養者は被用者保険に、これら以外の地域で生活している方は国保に、それぞれ現役世代と同じ制度に加入するものとする。
○ 高齢者も現役世代と同じ制度に加入することにより、年齢によって保険証が変わるようなことはなくなり、保険料・高額療養費等の面でもメリットが生じることとなる。
○ 具体的には、
① 現在はすべての高齢者に保険料の納付義務が課せられているが、市町村国保では世帯主が納付義務を負うこととなるため、世帯主以外の高齢者の方は保険料の納付義務がなくなる
② 現行の独立した制度では、保険料の軽減判定が国保の加入者とは別に行われ、保険料負担が増加した方は、世帯全体で軽減判定が行われることにより、負担の増加が解消される
③ 高額療養費の自己負担限度額の適用は制度ごとに行われているため、同一世帯内の高齢者と現役世代が同じ制度に加入することにより自己負担が軽減される
等のメリットが生じる。
○ また、働いている高齢者の方は、若いサラリーマンと同様に、被用者保険に加入することにより、傷病手当金等を受けることができるようになるとともに、保険料については事業主と原則折半で負担することとなり、被扶養者の保険料負担はなくなるといったメリットが生じる。
○ 新制度への移行に際して、後期高齢者医療制度から市町村国保に移行する方は特段の手続は不要であるが、被用者保険に移行する方は一定の手続が必要になることから、混乱を招かないようにするための丁寧な周知等の対応が必要である。
○ なお、国保組合については、被用者保険と同様、高齢者であっても加入要件を満たす組合員及び組合員の世帯に属する方は当該組合に加入するものとする。また、特定健保(厚生労働大臣の認可を受けて、一定の要件を満たす退職者及びその被扶養者に対する保険給付、保険料の徴収等を行う健保組合をいう。)については、加入する高齢者の保険給付に係る費用負担を含め、そのあり方を引き続き検討する。
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現行制度では、75歳以上の方々は皆、まったく平等に扱われています。
特定の条件を満たす方々だけをピックアップして、その方々について「メリットが生じる」ということは、高齢者間に不平等が生じるということです。
また、高齢者の保険料負担が軽減されることは高齢者にとってはメリットですが、その他の方々にとってはデメリットです。
そういう観点での制度改革の議論が必要です。

高齢者医療制度改革会議(1)

2010 年 7 月 24 日 土曜日

高齢者医療制度改革会議(厚生労働省)が昨日(7月23日)開催され、中間とりまとめ(案)が公開されました。
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000fkxr-att/2r9852000000fkz8.pdf
以下、引用です。
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Ⅰ 現行制度の問題点
○ 現行の高齢者医療制度は、75 歳以上の方は、独立した都道府県単位の後期高齢者医療制度に加入し、その医療給付費を高齢者の保険料(約1 割)、現役世代からの支援金(約4 割)、公費(約5 割)により支える仕組みとなっている。また、65 歳から74 歳までの方については、これらの方の偏在に伴い保険者間で医療費の負担に不均衡が生じないよう、これを保険者間で財政調整する仕組みとなっている。
○ 現行の後期高齢者医療制度は、かつての老人保健制度が抱えていた問題点を改善し、高齢者の医療費に関する負担の明確化が図られたことや、都道府県単位の運営とすることにより財政運営の安定化と保険料負担の公平化が図られたことは、一定の利点があったと評価できる。
○ 一方、後期高齢者医療制度の最大の問題点は、家族関係や医療保険の連続性等を考慮することなく、75 歳に到達した途端に、これまでの制度から区分された独立型の制度に加入させることにあり、これが多くの国民から差別的な制度と受け止められた。また、高齢者の方々の心情に全く配慮することなく、「後期高齢者」という名称が用いられた。さらに、高齢者の医療費の増加に比例して高齢者の保険料が増加するため、将来に不安を抱かせるものともなっている。運営主体についても、市町村が共同で設立した広域連合としたことに対して、様々な問題点が指摘されている。
○ また、国民皆保険の最後の砦である国保は、市町村が運営主体であるため、小規模な市町村の国保は、保険財政が不安定になりやすく、運営の広域化を図ることが長年の課題となっている。
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最初の2項は「問題点」ではありません。
また、最後の4項も高齢者医療制度の問題点ではありません。
3項に記されている「問題点」の要点は、
①75歳に到達した途端に、独立型の制度に加入させることは差別的な制度である
②後期高齢者という名称は高齢者の心情への配慮がない
③高齢者の医療費の増加に比例して高齢者の保険料が増加するので将来が不安である
④市町村が共同で設立した広域連合に問題点がある
の4点です。
①は、旧制度で問題とされていた不公平を是認するか、年齢線引きを是認するか、どちらを制度として選択すべきかの問題であり、単独の絶対的な問題ではありません。
高齢者の保険料負担を公平化するためには、どこかで線引きが必要であり、線引きが不明確になった途端、負担は公平となりません。
②は、「75歳以上高齢者」をどう表現するかの問題です。
どう表現しても、一定年齢以上の方を「区別」するための名称ですので、差別的な心情をもたれる方はおられると思います。
この問題の解決策は、年齢による線引きをなくすしかありません。
③は、給付額と保険料がある程度比例するのは保険制度の必然です。
これを、給付額が増えても保険料が増えない制度にするためには、財源に占める高齢者の保険料の割合(1割)を給付額の変動に応じて変動させるような制度にする必要があります。
給付額が2倍になれば高齢者の保険料の割合が0.5割となるような制度設計をするためには、給付額に比例して保険料負担や税負担も倍になった現役世代に、さらに0.5割分の負担を上乗せしなければなりません。
④は、新制度導入による混乱に伴う問題と、広域連合という仕組み自体の問題を区別して考える必要があります。

安全な輸血医療に必要なコストはどこまで許されるか

2010 年 5 月 30 日 日曜日

名古屋国際会議場で第58回日本輸血・細胞治療学会が開催されています。

http://jstmct58.umin.jp/ )

本日は最終日ですが、午前のパネルディスカッションのパネラーとして、リスクゼロを求め(られ)ての制度設計について発表します。

制度設計には予算(財源)上の制約があります。

輸血の安全性を高めるための必要財源は輸血用血液製剤の「薬価」へ転嫁され、最終的には国民医療費に跳ね返ります。

輸血血液中のあらゆる微生物を死滅させる「不活化」技術の導入の是非が輸血医療関係者間ではホットな話題です。

輸血によるウィルス感染のリスクはほとんどゼロに近づいてきましたが、まだゼロではありません。

不活化技術導入により、数人~数十人のウィルス感染を予防することができますが、コストがかかるのが難点です。

不活化技術導入のためには、年間数十~数百億円の追加財源が必要です。

ウィルス感染を防ぐための(1人あたり)コストはどこまで許されるか、という命題についての公開討論です。

口蹄疫と日本経営

2010 年 5 月 29 日 土曜日

口蹄疫の発生で、日本は国際獣疫事務局(OIE)から「非清浄国」に認定されました。

和牛の主要輸出先であるベトナム、米国、シンガポール、マレーシア、カナダ、アラブ首長国連邦へは、「清浄国」であることが条件であるため輸出できなくなりました。

これらの国は牛肉の輸出額の8割を占めます。

清浄国へ復帰するためには、口蹄疫ウィルス汚染がなくなったことを証明しなければなりませんので時間がかかります。

ワクチンが接種された家畜が生存している限りは、それらの中にウィルスの保菌畜がいる可能性があるため清浄国とはみなされません。

清浄国へ復帰したとしても、これまでの取引国でのシェアが回復できるとは限りません。

清浄国へ復帰できなかった場合、清浄国でないことを理由に輸入を拒んできた国々から、安価な牛肉の輸入要請が強まります。

安価な牛肉の輸入は、日本の畜産業にとって壊滅的な経済的打撃となります。

狂犬病について

2010 年 5 月 21 日 金曜日

つい近年まで、口蹄疫はわが国で忘れられがちな動物の病気でした。

長年、国内の動物での発症がないために油断されがちな病気のひとつに狂犬病があります。

人での発症は、1970年に1例、2006年に2例ありましたが、いずれも海外で犬に噛まれて帰国後に死亡しています。

人の致死率が高いので、日本へ狂犬病ウィルスが侵入してきたら大騒ぎとなるでしょう。

口蹄疫に国民の関心が寄せられている今だからこそ、狂犬病についての知識も身に付け、狂犬病侵入時に万全の対処ができるようにしておきたいものです。

狂犬病は、狂犬病予防法の適用です。

狂犬病予防法は、イヌ、ネコ、アライグマ、キツネ、スカンクなどに適用されます。

ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、水牛、シカ、イノシシの狂犬病については家畜伝染病予防法が適用され、口蹄疫と同様の殺処分命令が出されます。

発病後の効果的な治療法が存在しないので、狂犬病は感染の予防が最も重要です。

日本国内で感染が獣医師によって確認された場合には、患畜の速やかな届出と隔離が義務づけられています。

狂犬病の疑いのある動物が発見されると、発生区域での一斉検診と予防接種が行われ、イヌ等についての移動制限がかけられます。

また、狂犬病の疑いのある動物の発見場所付近の交通を遮断したり、通行制限を行います。

係留されていない犬は抑留されたり薬殺されたりします。

日本は、狂犬病に感染している動物がペットとして海外から持ち込まれる危険に晒されています。

日本には年間50万匹のハムスターが輸入されていますが、海外ではハムスターが狂犬病を持ち込んだ事例があります。

海外から不法上陸した犬が確認されたこともあります。

日本では犬以外のペットに対する狂犬病予防接種は義務化されていませんので、また、犬の予防接種も必ずしも徹底していませんので、いつ狂犬病がわが国に侵入してきてもおかしくはありません。

口蹄疫の拡大阻止

2010 年 5 月 19 日 水曜日

宮崎県の口蹄疫に終息の兆しが見られません。

この事態にどう対処したらよいものか、関係者は途方に暮れています。

予算と人員が無制限であればいいのですが、現実は、限られています。

被害が拡大しないように、まだ被害が及んでいない地域では水際対策が強化されています。

しかし、このまま被害が広がれば、水際対策に費やされるエネルギー(予算と人員)は際限なく拡大してゆくことでしょう。

感染症対策は、限りあるエネルギーをどう配分するか、という視点が必要です。

限られた人がウィルスを口から排出している時、全国民にマスクを着用させて感染連鎖を断つより、ウィルスを排出している限られた人にマスクを着用させて感染連鎖を断つほうが少ないエネルギーで、より早く流行を終息させることができます。

これを「感染源対策」といい、感染症対策で最もエネルギーを集中させるべきポイントです。

かつて日本人の死因のトップだった結核は、「感染源」を発見して確実に治療することを繰り返すことで短期間で激減させることができました。

SARSも、対策のエネルギーを感染源へ集中することで終息させることができました。

口蹄疫の場合、感染源の発見、殺処分、発生地消毒が感染源対策です。

宮崎県において、感染源の発見は着実に行われています。

本日までに131の感染源が発見されました。

今後も増えてゆくと思われますが、見逃しはないでしょう。

殺処分は、現場の不眠不休の努力により、約半数の感染源に対して行われました。

残り半分の殺処分と消毒が完了し、新たに発見された感染源に対しても着実に実行することができれば、短期間で終息に向かうはずです。

10年前の数十倍とはいえ、感染源が無限に広がっているわけではありません。

殺処分の人員や埋却場所の確保の問題で手間取っているのであれば、超法規的措置であれ何であれ、ここに対策を集中して感染源対策を加速させるべきでしょう。

なお、ワクチンの使用も有効な感染症対策ですが、感染源対策ではありません。

ワクチンを使用すると感染源の発見がしにくくなります。

かつて結核の感染の発見にはツ反検査が有効でしたが、BCG予防接種が普及した後は、感染による陽性反応かワクチンによるものかの区別がつかなくなりました。

口蹄疫の疫学的分析

2010 年 5 月 17 日 月曜日

宮崎県の口蹄疫の報告事例(戸数)が100戸を超えました。

疫学の常套手段として、報告日(食中毒のような潜伏期間が数時間の場合は報告時刻)別にグラフを作成します。

病原体の広域汚染が短期間に集中していれば、一峰性のグラフになります。

汚染推定日時は、ピーク日時から潜伏期間を引いた日時です。

二次汚染、三次汚染と病原体が蔓延すれば多峰性のグラフとなり、やがてピークがわかりにくくなります。

汚染が拡大しつつあるのか終息しつつあるのかも、グラフ化することでおおまかに類推することができます。

宮崎県のこれまでの報告(感染判明日)について、牛を○、豚を◎として以下にまとめてみました。

20日 ○

21日 ○○

22日 ○

23日 ○○

24日

25日 ○

26日

27日

28日 ○○◎

29日 ○

30日 ◎

1日 ◎

 2日 ○◎

 3日 ○○

 4日 ◎◎

5日 ◎◎◎◎

 6日 ○○○○◎◎◎◎◎◎◎◎

 7日 ○○○○◎◎◎◎

 8日 ○○○○○◎

 9日 ○○○○○◎◎

10日 ○○○○○○○○◎◎◎

11日 ○○○◎

12日 ○○○◎◎

13日 ○○○○○○○◎◎◎

14日 ○○○○○

15日 ○○○○○○○○○◎

16日 ○○○○○○○◎◎◎

 

最初の大きなピークが5月6日にありますので、牛の潜伏期間が3日前後、豚の潜伏期間が6日前後とすると、4月30日から5月3日あたりにウィルス汚染が広域化したと類推されます。

5月6日以降も潜伏期間を越えて報告が続いていますので、汚染は継続しています。

新型インフルエンザワクチン(2)

2010 年 2 月 12 日 金曜日

安全上、気になることが詳しくQ&Aに掲載されています。

 

Q 輸入ワクチンと国内産ワクチンは何が異なるのですか?

A 海外で製造されたワクチンについては、以下の点などで国内産ワクチンとは異なっています。

国内での使用経験・実績(臨床試験を除く)がなかったこと

国内では使用経験のないアジュバント(免疫補助剤)が使用されていること

国内では使用経験のない細胞を用いた細胞培養による製造法(細胞培養)が用いられているものがあること(ノバルティス社製ワクチン)

投与経路が筋肉内(国内産は皮下)であること

製品によって、用法・用量が異なること

妊婦には接種しないことが望ましいこと

他のワクチンとは同時に接種しないことが望ましいこと

 

Q 新型インフルエンザワクチンを接種しても、おなかの子どもへの影響はないのですか?授乳中でも問題はありませんか?

A ※国内産ワクチンと輸入ワクチンで異なります。

【国内産ワクチンについて】

現在までのところ、妊娠中にインフルエンザワクチンの接種を受けたことにより流産や先天異常の発生頻度が高くなったという報告はありません。

なお、新型インフルエンザワクチンの複数回接種用のバイアル製剤(小瓶に注射液が充てんされている製剤)には季節性インフルエンザ用の製剤と同様にチメロサール等の保存剤が使用されています。今回の新型インフルエンザワクチンでは、プレフィルドシリンジ製剤(あらかじめ注射器に注射液が充てんされている製剤)には保存剤の添加は行われておらず、保存剤の添加されていないワクチン接種を希望する妊婦さんは、プレフィルドシリンジ製剤が使用できることとしています。

また、授乳期間中でも、インフルエンザワクチンを接種して支障はありません。

インフルエンザワクチンには、病原性をなくしたウイルスの成分を用いており、接種後にウイルスが体内で増えることはありません。ですから、母乳を介してお子さんに影響を与えることはありません。

【輸入ワクチンについて】

輸入ワクチンは、妊娠されている方や授乳中の方には、接種しないことが望ましいとされています。

 

Q インフルエンザワクチンにはチメロサールという添加剤が含まれているとのことですが、安全ですか? チメロサールが入っていないものはないのですか?

A 新型インフルエンザワクチン(輸入ワクチンを含む)の複数回接種用のバイアル製剤(小瓶に注射液が充てんされている製剤)には、季節性インフルエンザ用の製剤と同様、チメロサールなどの保存剤が使用されています。

チメロサールは殺菌作用のある水銀化合物で、ワクチンには防腐剤として入れられます。

過去において、海外で、このチメロサールと発達障害との関連が指摘されました。しかし、最近の疫学研究では、その関連はないとされています。

ただし、予防的な対応が大切であるとして、各国ともワクチンから除去・減量の努力を行っています。

今回の新型インフルエンザワクチンでは、チメロサールの使われているものと使われていないものがあります。プレフィルドシリンジ製剤(あらかじめ注射器に注射液が充てんされている製剤)では使われていません。この製剤は主に産婦人科を対象として配分されていますから、こちらの製剤による接種をお望みの妊婦さんは、かかりつけ医に依頼してください。

 

Q 海外ワクチンの1つには、海外のウシに由来する原材料が使われていると聞きました。狂牛病(BSE)など、安全性に問題はないのですか?

A GSK社製ワクチンについては、その製造過程で、わが国の基準で使用が認められていない原産国のウシの胆汁から作られた物質を用いています。そのため、理論上完全には伝達性海綿状脳症注(TSEBSEもこの一種です)のリスクを排除することはできませんが、ヨーロッパの基準に準拠しており、また厳しい製造条件で製造していることにより、そのリスクは極めて低いと考えられます。

新型インフルエンザワクチン(1)

2010 年 2 月 11 日 木曜日

厚生労働省ホームページの「新型インフルエンザワクチンQ&A」が更新されました。

膨大な数のQ&Aです。

いくつかピックアップして紹介します。

 

Q 今回の新型インフルエンザワクチン接種事業の目的は何ですか?

A 今回の新型インフルエンザウイルスは、感染力は強いのですが、多くの感染者はかかっても軽症のまま回復しています。また、タミフル等の治療薬も有効です。

ただし、国民の大多数に免疫がなく、感染が拡大する可能性があることや、糖尿病やぜん息などの基礎疾患がある方や妊婦さんなどが重症化する可能性が高いことが懸念されていました。また、健康な成人の方の中でも重症化する方や死亡される例は見られています。

今回の新型インフルエンザワクチンの接種は、死亡者や重症者の発生をできる限り減らすこととともに、こうした患者さんが集中発生して医療機関が混乱することを防ぐことを目的としています。

 

Q 流行のピークが過ぎたあとに、ワクチンを打つ意味はありますか?

A 新型インフルエンザの患者数は、全国的には減少傾向ですが、まだ全国で1週間に約35万人が新しく新型インフルエンザにかかっていると推計され、油断はできません。

また、過去のパンデミックインフルエンザの経験では、一度流行が終息した後にも再流行することがあり、今回の新型インフルエンザにおいても今後再流行が起こる可能性があります。そのため、新型インフルエンザワクチンを接種することにより、今後起こりうる再流行に備えることができます。

ただし、インフルエンザウイルスが変異することにより、今回の新型インフルエンザワクチンを接種しても期待する効果が得られなくなることがありえます。

 

Q ワクチンはいつ、どこで接種できますか?

A 新型インフルエンザワクチンは、それぞれの接種対象者ごとに各都道府県が設定した時期から接種を受けることができます。2月上旬には全ての都道府県で、すべての方が接種可能となりました。

接種を受けることができる医療機関については、市町村のホームページや広報資料などをご覧下さい。

 

Q ワクチン接種の費用はいくらですか?

A 今回の新型インフルエンザワクチンの接種費用については、接種を受ける方に実費をご負担いただくこととしております。1回目の接種は3600円、2回目の接種は2550円(ただし、2回目の接種を異なる医療機関で受けた場合は、基本的な健康状態等の確認が再度必要となるため、3600円)です。輸入ワクチンも国内産ワクチンも、1回あたりの接種費用は同じです。

ただし、所得の少ない世帯の方などについては、費用負担の減免措置注)が市町村によって行われます。

注:市町村民税非課税世帯の方のご負担を軽減できる財源(1歳~13歳未満の方は6,150円、その他の年齢の方は3,600円(基礎疾患を有する方のうちの一部の方は6,150円)に相当する額)が確保されていますが、具体的な費用負担額軽減措置の内容については、各市町村で異なっていますので、お住まいの市町村におたずねください。

 

Q 今回の新型インフルエンザワクチンは日本国内でどれくらい確保できているのですか?

A 今回の新型インフルエンザワクチンについては、国内産ワクチンは、平成211019日の週から順次、接種を開始しており、平成21年度内に5,400万回分確保できる予定です。

また、海外企業から9,900万回分程度を確保できる見込みです。

注)回数は成人量換算

 

Q 1歳未満の子どもは接種できないのですか?

A 国内産ワクチンについては、1歳未満のお子様は、予防接種によって免疫をつけることが難しいため、お子様本人は優先的に接種する対象者(優先接種対象者等)に含めず、その保護者を優先的に接種することとしています。

今回の新型インフルエンザワクチンの接種を受けるか否かについては、個人の意思が尊重されるものですが、1歳未満のお子様本人への接種は、免疫をつけることが難しいため推奨されません。ただし、優先接種対象者等以外の方々への接種が開始されるに当たって、保護者の方が、有益性とリスクを十分に考慮した上で、強く希望する場合は、接種を行うことを妨げるものではありません。

輸入ワクチンについては、1歳未満の方に限らず子どもへの接種を保護者の方が希望される場合には、その有益性と危険性、国内産ワクチンとの違いについて医師と十分相談をしていただき、慎重に判断していただくこととしています。

海外滞在経験者の献血

2010 年 2 月 9 日 火曜日

献血制限は1980年から1996年の間の英国滞在歴だけではありません。

(1) 英国に昭和55年(1980年)から平成8年(1996年)までに通算1か月(31日)以上の滞在歴のある方。

(2) 英国に平成9年(1997年)から平成16年(2004年)までに通算6か月以上の滞在(居住)歴のある方。(通算6か月の計算には(1)(3)(4)の滞在(居住)歴も含みます。)

(3) アイルランド、イタリア、オランダ、サウジアラビア、スペイン、ドイツ、フランス、ベルギー、ポルトガルに、昭和55年(1980年)から平成16年(2004年)までに通算6か月以上の滞在(居住)歴のある方。(通算6か月の計算には(1)(2)(4)の滞在(居住)歴も含みます。)

(4) スイスに、昭和55年(1980年)から今日までに通算6か月以上の滞在(居住)歴がある方。(通算6か月の計算には(1)(2)(3)の滞在(居住)歴も含みます。)

(5) オーストリア、ギリシャ、スウェーデン、デンマーク、フィンランド、ルクセンブルグに、昭和55年(1980年)から平成16年(2004年)までに通算5年以上の滞在(居住)歴のある方。(通算5年の計算には(1)(2)(3)(4)(6)の滞在(居住)歴も含みます。)

(6) アイスランド、アルバニア、アンドラ、クロアチア、サンマリノ、スロバキア、スロベニア、セルビア、チェコ、バチカン、ハンガリー、ブルガリア、ポーランド、ボスニア・ヘルツェゴビナ、マケドニア、マルタ、モナコ、モンテネグロ、ノルウェー、リヒテンシュタイン、ルーマニアに昭和55年(1980年)から今日までに通算5年以上の滞在(居住)歴がある方。(通算5年の計算には(1)(2)(3)(4)(5)の滞在(居住)歴も含みます。)

○どこの国からであれ、帰国日(入国日)当日から4週間以内の方

○マラリア流行地を旅行したことのある方(帰国後1年間)

○マラリア流行地に居住したことがある方(帰国後3年間)

私自身は、海外に通算3年近い滞在経験がありますが、上述の国々の中ではサウジアラビアが最長で1週間程度です。

サウジアラビアは今回の改正時に追加されました。

なお、「海外で医療行為、研究などで患者等と接する機会があったり、野外調査研究に従事する機会があった場合にも献血をご遠慮いただく場合があります」というルールがありますので、開発途上国援助に携わった経験がある人は、献血制限される可能性があります。

血液を通じた感染リスクのある病気は途上国に数多くあります。

インフルエンザも血液を通じた感染リスクがあります。

英国旅行経験者の献血

2010 年 2 月 8 日 月曜日

先日(1月26日)まで、1980年から1996年までの間に英国に1日(1泊)でも滞在したことがある人は献血ができませんでしたが、制限が緩和されました。

この期間中の英国滞在が通算1か月未満であれば献血ができます。

そもそもこの制限は、2005年2月に我が国第1例として確認された変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の患者の方が1990年に24日程度の英国滞在歴を有していたことから、実施されていたものです。

病原物質(異常プリオン蛋白)混入の可能性が大きい肉骨粉が英国で使用され始めた時期が1980年で、英国での牛の危険部位の流通規制が徹底されたのが1996年です。

1980年から1996年までの英国は、それ以外の時期、国よりも感染リスクが高いといえます。

我が国の献血制限は世界でもっとも厳しいのですが、それは血液製剤によるHIV感染の経験を行政が重く受け止めている証左でもあります。

それにしても、1日でも英国に滞在していたら牛の危険部位を口にした可能性があるので献血ができない、というのは厳しすぎる制限かもしれません。

献血希望者のうち約4%が、かつての英国旅行を理由に門前払いされています。

感染リスクがある献血者の排除は重要ですが、一方、献血者の確保も重要です。

毎年冬には血液の供給量が厳しくなります。

血液の供給が途絶えると、命を失う人が生じます。

今冬は新型インフルエンザの流行と相まって、血液の安定供給に支障が生じる恐れが例年以上に高くなったことが、献血制限の見直しの背景にあります。

リスクが完全にゼロであるとは言い切れないなかでの制限緩和です。

行政的には厳しい決断であったろうと慮ります。

国保の財政状況

2010 年 2 月 6 日 土曜日

平成20年度国民健康保険(市町村)の財政状況の速報値が発表されました。

それによると、市町村一般会計からの赤字補填分(2,585億円)を除いた実質的な収支で、2,384億円の赤字でした。

単年度収支差での赤字保険者(市町村)は1788保険者中812保険者で45%です。

保険料の収納率は88.35%に低下し、国民皆保険となった昭和36年度以降最低となっています。

収納率低下の要因は、収納率の高い75歳以上の者が市町村国保から後期高齢者医療制度へ移行した制度上の理由もありますが、景気悪化などの影響もあると考えられます。

市町村国保の全世帯に占める滞納世帯の割合は20.8%でした。

5世帯に1世帯が滞納しています。

九州各県の収納率と滞納世帯率は次の通りです。

収納率(%) 滞納世帯率(%)

福岡県  90.11  18.0

佐賀県  91.84  16.4

長崎県  91.10  18.9

熊本県  89.80  22.3

大分県  89.40  19.0

宮崎県  90.80  23.2

鹿児島県 90.22  17.0

沖縄県  91.27  19.7

全 国  88.35  20.8

後期高齢者医療制度と汚職

2010 年 2 月 5 日 金曜日

後期高齢者医療制度の運用をめぐって、福岡県前副知事が収賄容疑で、県町村会長が贈賄容疑で逮捕されました。

県内全市町村でつくる「県後期高齢者医療広域連合」設立の際、県町村会側に便宜を図った謝礼などとして現金100万円が授受された疑いです。

後期高齢者医療広域連合は、後期高齢者医療制度の開始に際し、全市町村が加入して都道府県ごとに設けられた特別地方公共団体です。

広域連合の意志決定機構は「議会」です。

議会が歳入歳出予算を議決します。

福岡県では、広域連合の設立準備委員会で、議員定数を少なくするよう求める市長会側と町村会側が対立しましたが、全町村からの議員参加を求めていた町村会側の意向が通り、議員定数は77人になっています。

設立時の議員定数は、福岡が最多で、次いで千葉56人、岐阜49人、兵庫41人の順です。

議員定数20~30人の自治体が大半で、福岡の多さは突出しています。

ところで、町村からの議員が多いと、町村にどういうメリットがあり、広域連合にどういうデメリットがあるのでしょうか。

議員には議員報酬がありますが、福岡県の広域連合一般会計予算(21年度)では議員報酬も含めた議会費は総額252万円にすぎません。

一般会計上大きな予算は市町村事務費負担金です。

その総額は3億8千万円(21年度)ですが、全市町村均等割や高齢者人口割だと町村の負担金が大きくなり、人口割だと都市の負担金が大きくなります。

町村からの議員が多ければ、町村の負担金が大きくなるような意思決定は退けられがちですので、市町村事務費負担金の出費を数千万円少なく誘導することが可能かもしれません。

なお、福岡県後期高齢者医療広域連合の特別会計の予算規模は5615億円です。

地方公共団体としては桁違いに大きな額に影響力がある議会です。

NPとPA

2010 年 1 月 31 日 日曜日

昨日と本日、聖マリア医学会研究会が開催されています。

昨日は「ナース・プラクティショナーの現状と課題」のシンポジウムが開かれました。

欧米では、医行為の一部を行うことができるNP(ナース・プラクティショナー)やPA(フィジシャン・アシスタント)という職種が医療現場へ配置されています。

日本では、医師法により、医行為は医師に責任と権限が集中しています。

医行為といっても、高度なもの(画像診断、遺伝子治療、再生医療など)もあればそうでないもの(血圧判定、約束処方、傷の手当てなど)もあります。

たとえ軽微な医行為であれ、医師以外はこれらを主体的に行ってはなりません。

結果として、あらゆる医行為の場面において、医師の配置が求められます。

たとえば日本の外科手術室では、執刀医以外に何人も外科医師がいて、執刀医を補佐しています。

欧米ではPAが代替していることを、日本では医師が行っています。

健診や予防接種や献血などの公衆衛生活動の場面でも医師の配置が求められます。

欧米ではNPが代替していることを、日本では医師が行っています。

医師配置の限界が公衆衛生活動の限界となったりします。

「医師不足」が叫ばれるのも当然かもしれません。

医行為の責任が医師に集約されていることの意義を無碍には否定できませんが、医師不足対策の決め手は医師を増やすことであるというような発想に囚われず、NPやPAについての議論を深めることは重要でしょう。

死亡退院

2010 年 1 月 30 日 土曜日

死亡数が毎年2万人増えてゆくということは、医療機関の「死亡退院」が増えてゆくということです。

退院にはいろんな形態がありますが、代表的な退院形態は「治癒退院」「軽快退院」「死亡退院」です。

医学の進歩やクリティカルパスの普及により、「治癒退院」あるいは「軽快退院」に至るまでの平均在院日数を短くすることができます。

人口構造の高齢化に伴い患者の絶対数が増えているにかかわらず病床数が抑制できているのは、平均在院日数が短縮化されてきているからです。

診療報酬上、在院日数が短いほど医療機関の収益性が向上するように政策誘導されるようになって久しく、医療機関にとって、「治癒退院」「軽快退院」へのパスが期待される患者は、在院日数を短くできる余地があるので大歓迎です。

ところが、「死亡退院」が運命づけられている患者については、進歩した医療を適用すればするほど在院日数が長くなります。

意図的に在院日数を短くすることは許されません。

1995年は総病床数193万床に対し、死亡数は92万人。

2008年は総病床数176万床に対し、死亡数は114万人。

死亡数は15年後には150万人を突破します。

在院日数短縮の政策誘導と、死亡退院の増加とが相容れなくなる時代がすぐそこへと迫っています。

死亡数の動向

2010 年 1 月 29 日 金曜日

人口構成の高齢化の加速で当然のことではありますが、死亡数が急増しています。

年  死亡数(千人)

1975      702

1985      752

1995      922

2005    1,084

近年の増加は顕著です。

過去10年で2割増です。

この間、病床数の増加は抑制されていますが、死亡者の多くは医療機関の病床で亡くなられています。

国立社会保障・人口問題研究所が日本の将来推計人口(平成18年12月推計)を公表しています。

数年おきにこの統計が発表されるたびに、出生率がこのままだと将来どうなる、と少子化の危機感を煽る報道で全国へ紹介され、もっぱら出生の動向に焦点があてられています。

しかし、死亡率が改善されないと将来どうなる、という推計も同時に発表されています。

出生率、死亡率ともに現状維持の場合、死亡数の将来推計は次の通りです。

年  死亡数(千人)

2010    1,192

2015    1,314

2020    1,429

2025    1,526

死亡数は5年ごとに十万人ずつ増えてゆきます。

向こう10年で2割増です。

医療供給体制は大丈夫でしょうか。

医療従事者の動向(10)

2010 年 1 月 24 日 日曜日

医療法上に必置数の定めがないにかかわらず医療機関従事者数の14%(7人に1人)を占め、かつ、増加率も大きい職種があります。

事務職員です。

(総      数)(病   院)(一般診療所) (歯科診療所)

    H20 H11 増数 増率 H20  H11 増率 H20  H11 増率 H20 H11 増率

事務職員 38.5 36.4 2.2 6%   16.3 15.1 8%  19.6 18.6 6%  2.7 2.8 -3%

    (単位:万人)

一般企業では、経営が困難になった時に真っ先に整理されるのは事務職員です。

しかし医療経営の場合、度重なる制度変更や法規制に対応するため、むしろ事務体制を強化せざるを得ない状況です。

医療の経営危機は今後も叫ばれ続けますが、これ以上、事務職員を増やすことは許されないかもしれません。

事務職員は、他の医療従事者と異なり、国家資格で資質が担保されているわけではありません。

経営や医療制度に疎い事務職員がいくら増えても、医療経営はうまくゆきません。

これからは事務職員にも資質が求められる時代となるでしょう。

医療従事者の動向(9)

2010 年 1 月 23 日 土曜日

基本給が高く絶対数も多いために医療経営に直結する、医師数の動向です。

(総      数) (病   院) (一般診療所)

      H20   H11 増数 増率    H20   H11 増率   H20   H11 増率

医師     30.6  28.4  2.2   8%   18.8  16.7  13%  11.8  11.7   1%

常勤   24.8  23.4  1.3   6%   15.0  13.7  10%   9.7  9.7    0%

非常勤  5.8   4.9  0.9  17%    3.8   3.0  27%   2.0  2.0    2%

   (単位:万人)

勤務医の開業志向がよく言われていますが、統計上、一般診療所の医師数はほとんど増えていません。

病院の常勤医師数は10%も増加していますが、9年間の増加数は1.3万人程度で、歯科医師の場合と同様、医師養成数を吸収しきれるほどの増加ではありません。

非常勤医師として不安定な雇用にある医師が増えているものと思われます。

医師数も薬剤師同様、医療法による必置数は病床区分別病床数や外来数に応じて算定されますが、病床数が増えず、病床転換が進み、外来受療率も横ばいの状況下では医師必置数は減っています。

医師不足といいながら、実際は必置数を上回って医師を確保できている病院がほとんどで、なかなか常勤雇用してもらえない実態が統計から覗えます。

医師不足対策は、医療法の算定式をいじって、医師の必置数を養成数見合いに上乗せするだけで解決の糸口となるかもしれません。

不安定雇用の非常勤では、医師は辺地の診療科への赴任をためらいます。

医療従事者の動向(8)

2010 年 1 月 22 日 金曜日

医療機関に勤務する薬剤師の動向です。

(総      数) (病   院) (一般診療所)

      H20  H11 増数 増率   H20  H11 増率  H20  H11 増率

薬剤師  4.9  5.2 -0.3  -6%   4.2  4.1  1%   0.7  1.0 -32%

   (単位:万人)

薬学部が急増し、薬剤師養成数も急増しているにかかわらず、医療機関勤務薬剤師数は減っています。

医療法による病院の薬剤師の配置基準は、次の式で得られる数を切り上げた数です。

 

一般病床数/70+療養病床数/150+精神病床数/150+結核病床数/70+外来処方箋数/75

 

病床数が増えない、あるいは一般病床の療養病床への転換が進む状況の下、外来受療率も横ばいですので、病院の薬剤師必置数は減ってゆきます。

医療機関勤務薬剤師は飽和状態にあります。

しかし、薬学部卒業生の勤務先は、薬局あるいは製薬メーカーなど、医療機関以外に活路が開かれています。

保険薬局の医療費(収入)は増加の一途です。

薬剤師雇用により取扱い医薬品の幅が広がるため、民間での薬剤師需要も拡大しています。

医療従事者の動向(7)

2010 年 1 月 21 日 木曜日

歯科診療所と病院における、歯科医師を補佐する職種の動向です。

        (歯科診療所)    (病   院)

H20  H11 増数 増率    H20  H11 増数 増率

歯科衛生士     7.9  6.7  1.2   18%   0.4  0.4  0.1  21%

歯科技工士     1.1  1.5 -0.4  -28%   0.1  0.1  0   -16%

歯科業務補助者 8.3 10.7 -2.4  -22%

       (単位:万人)

歯科技工士の養成数は多いのですが、医療機関での配置は減少傾向です。

対し、歯科衛生士は、歯科診療所のみならず、病院においても配置が増えています。

口腔衛生の需要の高まりに呼応しているようです。

歯科医師の動向はどうでしょうか。

(歯科診療所)   (病   院) (一般診療所)

      H20  H11 増数 増率    H20  H11  増率   H20  H11 増率

歯科医師  9.3  8.7  0.6   7%    1.0  0.9   14%   0.2  0.2   1%

常勤    8.2  7.8  0.4   5%   0.8  0.7   14%   0.1  0.1  18%

非常勤  1.1  0.9  0.2  20%    0.2  0.1   13%   0.1  0.1 -22%

    (常勤換算、単位:万人)

歯科医師数も増加していますが、この9年で常勤歯科医師は4千人しか増えていません。

歯科診療所数は頭打ちです。

大学歯学部の入学定員は平成20年現在29校2657名ですので、養成数を吸収できるだけの受け皿がありません。

多くは非常勤歯科医師として不安定な雇用を余儀なくされていると思われます。

医療従事者の動向(6)

2010 年 1 月 20 日 水曜日

栄養士、管理栄養士の動向です。

(一般診療所は、管理栄養士と栄養士を区分した統計が計上されていません。)

(病   院)

H20  H11 増数 増率

管理栄養士  1.7  1.5  0.3  18%    (一般診療所)

栄養士      0.6  0.9 -0.3 -32%   H20  H11 増数 増率

(栄養士計)2.3  2.3  0     0%   0.8  0.8  0   -4%

     (単位:万人)

医療法施行規則により、100床以上の病院にあつては栄養士を配置しなければなりません。

食事療養は治療の一環であり、生活習慣病管理の需要増にともない、管理栄養士の需要は高まっています。

「入院時食事療養費特別管理加算」「特別食加算」「外来栄養食事指導料」「入院栄養食事指導料」「在宅患者訪問食事指導料」「集団栄養食事指導料」などを算定し請求するためには管理栄養士の配置が必要です。

しかし、需要の高まりにかかわらず、栄養士の総数は増えていません。

特に人数配置の基準が設けられていませんので、必置義務数を上回って配置するほどの経営的余裕が医療機関にないのかもしれません。

栄養士は、一定規模以上の福祉施設や介護施設に必置義務がありますので、社会全体の需要は大きいのですが、医療機関に限っては飽和状態であるようです。