‘保健医療の地域経営’ カテゴリーのアーカイブ

消費税率の引き上げと医療(下)

2012 年 1 月 15 日 日曜日

社会保障・税一体改革素案(平成24年1月6日閣議報告)に、医療と消費税について下記の言及があります。

~~~~~~~~~~~~

第2部 税制抜本改革

第3章 各分野の基本的な方向性

1.消費課税

(2)消費税率の引上げを踏まえ検討すべき事項

今回の改正に当たっては、社会保険診療は、諸外国においても非課税であることや課税化した場合の患者の自己負担の問題等を踏まえ、非課税の取扱いとする。その際、医療機関等の行う高額の投資に係る消費税負担に関し、新たに一定の基準に該当するものに対し区分して手当てを行うことを検討する。これにより、医療機関等の仕入れに係る消費税については、診療報酬など医療保険制度において手当てすることとする。また、医療機関等の消費税負担について、厚生労働省において定期的に検証する場を設けることとする。なお、医療に係る消費税の課税のあり方については、引き続き検討をする。

~~~~~~~~~~~~

消費税は(内需が維持できれば)1%の増税で2兆円の税収が増えるといわれています。

2015年に5%の増税で消費税率10%となれば10兆円の増収という皮算用です。

増収分のうち3分の1は地方の取り分ですので7兆円弱が国の増収ということになります。

この7兆円がすべて社会保障目的に使われるとすれば、社会保障給付費のうち医療の占める割合は3割ですので、2兆円が医療のために宛がわれるということになります。

総医療費は年に1.4兆円ずつ増えていますので2015年には43兆円となります。

この43兆円の医業支出のうち半分弱の20兆円が消費税課税される支出であるとすれば、医療機関の消費税負担は、5%の消費税率の引き上げで1兆円の負担増ということになります。

この負担増分が消費税の増収で「手当て」されるとすれば、差し引き1兆円の消費税が医療に回され医療が充実する、すなわち消費税率アップは医療にはプラスにはたらくということになります。

しかし、1%の増税で2兆円の増収はあくまで皮算用で、識者の推計には増収効果は1%あたり1兆円に満たないだろうというものも多数あります。

1%あたり増収が1兆円を切るようだと、医療機関の消費税負担増分の「手当て」の財源すら確保できないということになり、消費税率アップは医療にはマイナスということになります。

消費税率の引き上げと医療(上)

2012 年 1 月 13 日 金曜日

消費税率が引き上げられると、消費者の懐を直撃します。

2014年4月に8%、2015年10月に10%へと引き上げることが政府の税制改革の柱で、その方向へと国政は向かっています。

物品やサービスを消費者へ販売する事業者は、消費税を消費者から徴収し、消費者が納めた税金を代行して納税しているだけですので、自らへの設備投資等を除いては消費税率引き上げの直接的影響は及びません。

しかし、消費税率の引き上げによる買い控えが起きたりしたら、それは打撃となります。

医療の場合、受診控えが起きたりしたら生命にかかわりますので、医療費(社会保険診療報酬)は消費税非課税となっています。

しかし、医療機関が購入する医療機器や医薬品や給食材料や外注委托業者への支払いには消費税がかかります。

もちろん、建て替えや改修などの設備投資にも消費税がかかります。

消費税率が上がっても診療報酬には変化がなく、従って医療機関の収入に変化がないとすれば、支払いにかかる消費税率アップの分だけ医療機関の経営の打撃となります。

大雑把に、医療機関の収入の半分が消費税が課税される支払いに充てられているとすれば、診療報酬に消費税率の半分相当が上乗せされない限り、医療機関にとって消費税は「損税」ということになります。

消費税率が10%ともなると、医療経営上は大打撃です。

民主党(税制調査会と社会保障と税の一体改革調査会)は、医療機関の高額な投資にかかる消費税負担に関し、新たな一定の基準に該当するものを区分して手当を行うことを検討する方針や診療報酬で手当する方針を示していますが、そのような「手当」に必要となる額は、医療費総額(36兆円)の大きさを考えると「兆円」のオーダーとなり、社会保障目的税化して消費税の増収分を医療に宛がったとしても足りないくらいの額となってしまいます。

高齢者医療の行方

2011 年 11 月 27 日 日曜日

今月に入ってより頻繁に開催されるようになった中医協や介護給付費分科会に重ね、社会保障審議会の介護保険部会、医療部会、医療保険部会が相次いで開催されています。
24日には医療保険部会も開催されました。
医療保険の課題として最も大きい課題である「高齢者医療制度の見直し」が、この日の医療保険部会の議事でした。
民主党はマニフェスト2010に「後期高齢者医療制度は廃止し、2013年度から新しい高齢者医療制度をスタートさせます」と明記し、それが三党連立政権合意ともなっていますので、見直しを先延ばしするわけにもいきません。
高齢者医療制度の見直しについては「高齢者医療制度改革会議」という厚生労働大臣主宰の会議で昨年末に方針が示されていますが、審議会報告ではありませんので法的効力はありません。
二度手間となってしまいますが、社会保障に関わる重要な政策ですので、社会保障審議会に諮ることが必要です。
高齢者医療制度改革会議が示した構想は、後期高齢者医療制度を廃止し、75歳以上の高齢者は既存制度に戻して保険料は世帯主がまとめて納めるというものです。
これだと、多くの高齢者が国保に戻ることになり市町村国保間の保険料格差が復活します。
そこで、75歳以上については国保の財政運営を都道府県単位とし、75歳以上の財政負担(高齢者自身の負担金1割、現役世代からの支援金4割、公費5割)は現行通りとする構想となっています。
この構想では現役世代からの支援金の多くを請け負っている被用者保険の負担が増しますので、被用者保険においても75歳以上に国保と同じ財政負担が導入されます。
将来的には全年齢を対象に国保を都道府県単位の財政運営とする構想ですが、その実現には利害調整等で多大な困難が予想されますので、改革後も当分の間は75歳以上の制度運用が明確に区分されることになります。
70~74歳の一部負担金については、70歳に達した方から段階的に2割負担となります。
65~74歳については現行の保険者間の財政調整の仕組みが継続されます。
これらの構想に対し、全国知事会は新制度は看板の掛け替えに過ぎず新たな不公平が発生すること、高齢者の受益と負担を明確化し保険料負担の公平化を図った現行制度が定着していることなどを理由に新制度へ移行する必要はないという意見書を提出しています(10月24日)。

政策仕分け(2)

2011 年 11 月 24 日 木曜日

短時日で「医療」の仕組みの全貌を理解することは困難です。
そのため、社会保障審議会や中医協では、仕組みへの理解が深い当事者たちが、長い年月をかけて綿密な議論を重ねています。
しかし、「提言型政策仕分け」では、医療の当事者でない「仕分け人」たちが、限られた時間で結論を導こうとしています。
今回、彼らが導いた結論は、診療報酬の本体部分の「据え置き」が6人、「抑制」が3人でした。
本体部分というのは、人件費に反映する部分です。
医療費の半分近くは人件費として医療従事者の給与として支払われています。
わが国の医療は、医療ニーズの増大に対応すべく、毎年、医療従事者の絶対数が3%前後の伸びで増加し続けています。
医師数の伸び率は2.2%、看護師数の伸び率は3.4%、PT数、OT数、言語聴覚士数の伸び率はそれぞれ11%です。
医療従事者の需要増に応じ、医療従事者を養成する高等教育機関も増加の一途です。
医療従事者数の増加は、これらの養成機関を相当数閉鎖しない限りは止められません。
診療報酬の本体部分の据え置きや抑制を主張する「仕分け人」は、それが医療従事者の絶対数を増やすな、あるいは減らせと言っているのと同義であることに気付いているのでしょうか。
あるいは、医療従事者の給与を毎年3%ずつ削れと言っているのと同義であることに気付いているのでしょうか。
「仕分け人」たちはまた、医師不足改善のため、開業医と勤務医の報酬配分を大胆に見直すことを要求しました。
開業医の診療報酬配分を薄くせよ、という主張です。
低コスト体質の診療所に患者が集中するのと、高コスト体質の病院に患者が集中するのと、どちらが日本の総医療費の抑制に役立つのかの大局的見地に立てば、また、どちらが病院勤務医の真の負担軽減となるかを考えれば、開業医への患者の政策誘導を真剣に考えるべきところです。
また在宅医療の担い手としても開業医を有効活用しなければなりません。
診療報酬を手厚くしても医師の絶対数が増えるわけではなく、医師不足対策とはなりません。
診療報酬が手厚くなったところへ医師が偏在するだけです。
勤務医の付加価値を高めれば高めるほど大病院による囲い込みが進み、医師不足に拍車がかかります。
これは、看護師の付加価値を高めた過去の診療報酬改定の際に経験的に学んだことです。
医師不足の本質が医師の偏在にあるということを「仕分け人」たちは理解しているのでしょうか。

政策仕分け(1)

2011 年 11 月 23 日 水曜日

昨日(22日)は「政策仕分け」の3日目で、医療、介護、年金などの社会保障がテーマでした。

イラストや図表を用いて日本の社会保障の厳しい現実が説明され、仕分け人からは、社会保障の分野で効率化できることについて、聖域なく、最後まできちんと効率化すべきとの強い意見が出されています。

社会保障制度については「継続」させること以外の選択肢はありません。

すなわち、現実が厳しいのであれば給付(額、サービス)の削減や保険料や税金の負担増を行うしかありませんが、効率化によって節約できる余地があるのであれば、そちらが先決です。

医療の効率化は、制度上の効率化だけではなく、現場レベルでの効率化の積み上げが必要です。

制度上の効率化は、病床区分の機能分化など、改善の余地がありますが、現場レベルで制度改正によって余剰となった資源(人材など)が有効活用されずに放置されれば、総体として非効率です。

現場レベルでの非効率(無駄)が積み重なれば、全国的には大きな無駄となります。

現場レベルでの効率化とは、結局は医療経営をしっかりと行うことに尽きます。

医療経営の効率化には、医療経営の素養が必要ですが、本学は、その素養を身に付けた人材を輩出するために設立されています。

地域連携”新”時代

2011 年 11 月 17 日 木曜日

明日18日(金)午後(12:50~17:00)、「地域連携”新”時代に向けて」をテーマとしたフォーラム(有料)が大博多ホールで開催されます。
全国5都市で開催される「ばんぶう30周年記念フォーラム」の福岡会場です。
http://www.jmp.co.jp/bamboo-forum/
第一部の基調講演は「これからの医療提供体制と地域連携」の演題で、講師は尾形裕也氏(九州大学大学院授 教授)です。
第二部の特別講演は「診療・介護報酬同時改定で進む医療と介護の融合」の演題で、講師は武久洋三氏(日本慢性期医療協会会長)です。
第三部のシンポジウムは「連携新時代~私たちは、こう動く。こう創る」のテーマで、シンポジストは富永雅也氏(社会医療法人財団白十字会(佐世保中央病院、耀光リハビリテーション病院、白十字病院)理事長)、松本文六氏(社会医療法人天心堂 理事長 へつぎ病院 院長)、浜村明徳氏(医療法人共和会 小倉リハビリテーション病院 院長)、原 寛氏(特定医療法人 原土井病院理事長)です。
富永先生は急性期医療を中心とした取組みについて、松本先生は医療と介護の包括ケアの取組みについて、浜村先生は回復期リハを中心にリハビリ病院の役割について、原先生は地域連携と慢性期病院の方向性について報告されます。
「連携」は、新時代のキーワードですが、具体的にどうしたらいいのか、あちこちで模索中です。
このシンポジウムの座長は私が務めさせていただきます。
このフォーラムが新時代への指針となるよう、力になれたら幸甚です。

リレー・フォー・ライフ

2011 年 9 月 17 日 土曜日

9月17日土曜日から18日日曜日にかけて九州大学箱崎キャンパスで「リレー・フォー・ライフin福岡2011」が開催されます。
http://rflfukuoka.dokkoisho.com/index.html
17日(土)11時開会(受付は10時から)で、閉会は18日(日)12時です。
リレー・フォー・ライフとは、がん患者を支援するチャリティイベントです。
1985年にアメリカの医師が24時間連続して寄付金を集めたのが始まりです。
翌年からは、チームを組んでリレー形式として参加者を増やし、世界各地に広がりました。
日本では2006年に茨城県で行われて以降、各地で開催されています。
福岡県では2009年から開催されています。
関連イベントも盛りだくさんです。
ライブ映像も中継されます。
http://rfl-fukuoka.cocolog-nifty.com/
当日参加もできます。
参加費は1000円です。
高校生以下とサバイバー(がん患者)は無料です。
主催は、リレーフォーライフ福岡実行委員会と日本対がん協会と聖マリアグループの(財)福岡県すこやか健康事業団です。
数多くの企業が協賛・協力しています。
寄付金・カンパは次の口座へ
★郵便振替口座 01710-8-136170
リレーフォーライフ福岡実行委員会

福岡県南部の医療供給体制(8)

2011 年 9 月 12 日 月曜日

有明医療圏の人口あたり医師数は福岡県水準より少なく全国平均に近い数でしたが看護職員数はどうでしょうか。
有明医療圏の病院でも看護師不足が叫ばれていますが人口10万人あたりの医療従事看護職員数は次の通りです。

人口10万対 看護師数 准看護師数 看護職員数計
全   国     636     299      935
福 岡 県     811     425     1236
(医療圏)
久 留 米     986     500     1486
八女・筑後     745     577     1322
有   明      978     674     1652
(平成18年衛生行政報告例)

福岡県の人口あたり医療従事看護職員数は全国平均より3割以上多いのですが、とりわけ福岡県南部の医療圏の看護職員数が多くなっています。
有明医療圏では全国平均より8割近く多いのですが、病床数は全国平均の倍ですので病床あたりの看護職員数は全国平均より少ないことになります。

福岡県南部の医療供給体制(7)

2011 年 9 月 11 日 日曜日

福岡県南部の医療圏の主な疾病による死亡の状況です。
高齢人口が多い医療圏ほど人口あたり死亡数は多くなりますが、死亡数に比例して医療需要があり、人口あたり医療供給体制の充実が必要です。

人口10万対 悪性新生物 心 疾 患 脳血管疾患 肺   炎 65歳以上率
福 岡 県     273     111      91     88    19.8%
(医療圏)
久 留 米     291     104      97     92    20.3%
八女・筑後     300     127     124     98    24.4%
有   明      370     134     142    133    26.8%
(平成17年福岡県保健統計年報)

有明医療圏の病床数の多さはこれらの疾患の多さを反映しているということができ、必ずしも病床過剰とはいえないかもしれません。
しかし全国的に同程度の高齢化率の医療圏同士で比較すれば、やはり福岡県の医療圏は病床数が多いといえます。

福岡県南部の医療供給体制(6)

2011 年 9 月 10 日 土曜日

医師数を論じる時に考慮しなければならないことは診療科ごとの濃淡です。

人口あたり医師数が多くても、特定の診療科に偏りがあって必要な診療科の医師数が足りなければ地域医療は守れないからです。

主な診療科ごとの人口あたり医師数は次のようになっています。

 

人口10万対 内科 小児 精神 外科 脳外 整形 産科 麻酔 研修医

全   国  70 12 11 13  5 15  8  6  11

福 岡 県  88 15 14 18  6 19  9  7  17

(医療圏)

久 留 米 113 29 23 27  9 19 14 11  34

八女・筑後  74  8  9 16  6 19  7  5   8

有   明  98 10 15 21  4 21  7  4   5

 

久留米医療圏はすべての診療科において人口あたり医師数が多く、必要な医療はすべて医療圏内で賄えているであろうことが覗えます。

それに対し、八女・筑後医療圏と有明医療圏では、小児科と産科と麻酔科の医師が不足しています。

これらの診療科は医師不足が語られる時にしばしば引き合いに出される診療科でもありますが、医療圏による差が顕著な診療科でもあります。

医師不足問題の本質は医師の偏在の問題であるといわれる所以です。

福岡県南部の医療供給体制(5)

2011 年 9 月 8 日 木曜日

福岡県は病床数が多いため、医療従事者数も多くなっています。
日本では人口10万人あたり医療施設従事医師数は213人ですが、福岡県では全国平均より2割以上多く人口10万人あたり268人です。
とりわけ病院医師数は全国平均より3割多くなっています。

人口10万対 病院医師数 診療所医師数    計
全   国    136.5     76.5    212.9
福 岡 県    179.1     89.2    268.2
(医療圏)
[福岡・糸島    228.1   103.2    331.3]
久 留 米     312.4    92.8    405.3
八女・筑後     108.6    82.4    191.0
有   明      131.5   100.2    231.7

福岡県で人口あたり医師数が最も多いのは久留米医療圏で、福岡県で2番目の福岡・糸島医療圏よりはるかに多く、突出した医師数です。
久留米医療圏の病院医師数は全国平均の倍をはるかに上回っています。
しかし、同じ福岡県南部の医療圏でも、久留米医療圏に隣接した八女・筑後医療圏では全国平均より1割少なくなっています。
八女・筑後医療圏の病院では医師不足感があります。
有明医療圏では診療所医師数が福岡県で2番目に多いのですが、病院医師数は全国平均と同じくらいです。
有明医療圏の病床数は全国平均の倍ですので、病院の病床あたり医師数は全国平均の半分しかいないことになります。
薄い医師密度で病院診療が行われていることになります。

福岡県南部の医療供給体制(4)

2011 年 9 月 6 日 火曜日

福岡県南部では入院機能を有する施設(病院、有床診療所)が極めて多いということは、病床数が多いということです。
日本では人口10万人あたり病床数は病院が1260床、診療所が115床ですが、福岡県ではいずれも全国平均より多く、病院病床と診療所病床を併せると全国より4割多い病床数となっています。
有明医療圏は福岡県の医療圏の中でも最も病床数が多く、全国の倍の病床数です。
全国平均より超過している病床に入院している患者は、全国の平均的な医療圏であれば在宅で療養しているであろう患者が入院しているということになります。
現在の診療報酬では在宅医療よりも入院医療のほうが高いので、入院が多い分だけ医療費を多く消費するのは当然のことでしょう。

人口10万対 病院病床数 診療所病床数   計
全   国   1260        115  1375
福 岡 県   1734        210  1944
(医療圏)
久 留 米   2029        332   2361
八女・筑後   1653        149   1802
有   明    2450        303   2753

出生人口の性別比

2011 年 9 月 5 日 月曜日

中国では、出生人口の性別比の著しい不均衡が30年間続いており、19歳以下の男女比は118:100となっています。
その結果、結婚難の男性が累積しています。
未婚者の男女比は、27歳で2:1、33歳で3:1となっているのだそうです。
10年後には2400万人の適齢期の中国人男性が結婚できないと予測されています。
日本ではどうでしょうか。
先日発表された平成22年人口動態統計によると、この年に生まれた赤ちゃんの数は男が550742人、女が520562人でした。
男女比は106:100です。
男のほうが女よりも乳幼児期の死亡率が高く、また婚姻年齢の男女差が大きかった時代には、男性のほうが多く生まれても婚姻適齢期の男女比はほぼ1:1でした。
現在は、男女とも乳幼児期に死亡することは少なく、死亡率の男女差が小さくなっています。
また、男の初婚年齢は平均30.4歳、女の初婚年齢は平均28.6歳で、婚姻年齢の男女差も縮まっています。
平成22年生命表の年齢別死亡率から推計すると、平成22年に生まれた男の赤ちゃんの1.23%が30.4歳までに死亡し、女の赤ちゃんの0.66%が28.6歳までに死亡します。
従って平成22年生まれの適齢期男性は約54万4千人、適齢期女性は約51万7千人となり、2万7千人の男性過剰となります。
他の年齢でも同様ですので、中国ほどではないにせよ、日本でも数十万人の適齢期男性が結婚できないという計算になります。
実際は、この10年以上、国際結婚率が4%を上回る状況が続いており、毎年2万人以上の日本人男性が外国人女性と結婚していますので、計算通りということはありません。

福岡県南部の医療供給体制(3)

2011 年 9 月 4 日 日曜日

日本では人口10万人あたり6.9の病院、77.6の一般診療所、53.1の歯科診療所があります。
ちなみにコンビニエンスストアの数は人口10万人あたり36ですので、一般診療所はコンビニの2倍、歯科診療所はコンビニの1.5倍の密度で、日本の医療施設は十分にコンビニエンスな存在であるといえます。
福岡県ではいずれの医療施設も全国平均より多く、福岡県南部も医療施設密度が高くなっています。
有明医療圏は福岡県の医療圏の中で最も病院密度が高く、全国の倍の密度です。

人口10万対 病院数 一般診療所数 歯科診療所数
全   国  6.9  77.6   53.1
福 岡 県  9.3  88.0   59.0
(医療圏)
久 留 米 10.5  94.1   53.5
八女・筑後  9.2  81.7   56.8
有   明 13.8  93.7   55.6

一般診療所は有床診療所と無床診療所に区分できますが、福岡県の一般診療所密度を高めているのは有床診療所で、久留米医療圏や有明医療圏は有床診療所が多いことも特徴です。

人口10万対 有床診療所数 無床診療所数
全   国    9.0   68.6
福 岡 県   15.6   72.4
(医療圏)
久 留 米   23.2   70.9
八女・筑後   12.8   68.9
有   明   21.5   72.2

入院機能を有する施設(病院、有床診療所)が極めて多いことが福岡県南部の医療供給体制の特徴です。

福岡県南部の医療供給体制(2)

2011 年 9 月 3 日 土曜日

福岡県南部の二次医療圏の平均寿命(2005年)は次の通りです。
順位は全国358医療圏の長寿順です。
         男女計        男          女
久留米    82.09 (193位)  78.58 (184位)  85.60 (211位)
八女・筑後 82.14 (185位)  78.07 (245位)  86.21 ( 96位)
有明      81.42 (302位) 77.33 (317位)  85.50 (235位)
原資料:若林チヒロほか『二次医療圏別平均寿命による健康指標の開発』(「厚生の指標」2009年10月)
ちなみに全国で平均寿命トップの医療圏とワーストの医療圏での平均寿命は次の通りです。
トップとワーストとで男は5歳、女は3歳の寿命の差があります。
     男女計  男    女
トップ   83.73   80.64   87.19
ワースト 80.21   75.67   84.24

有明医療圏は、医療費をたくさん投入しているのに平均寿命は短いという皮肉な結果となっています。
医療の効率が悪いと言わざるを得ません。
有明医療圏はみやま市と柳川市と大牟田市で構成されています。
2005年は「みやま市」の合併前で、瀬高町、山川町、高田町の3町それぞれで平均寿命が算出されていますが、有明医療圏の構成自治体ごとの平均寿命は次の通りです。
           男   女
山門郡瀬高町    77.3   86.5
山門郡山川町    77.6   85.1
三池郡高田町    77.9   86.4
柳川市         78.3   85.4
大牟田市        76.7   85.3

瀬高町の男性は短命で、全国の下から1割くらいに位置していますが、逆に瀬高町の女性は長寿で、全国の上から1割くらいです。
医療供給体制に男女差はありませんので、瀬高町のような平均寿命の極端な男女差は、医療の充実度が平均寿命の絶対的な決定因子ではないことを意味します。
医療機関密度が高い大牟田市のほうがみやま市各町よりも平均寿命が短いことも、医療の充実が必ずしも長寿に貢献していないことをあらわしています。
長寿に貢献しない医療は非効率です。

福岡県南部の医療供給体制(1)

2011 年 9 月 2 日 金曜日

平成21年度「医療費マップ」(国民健康保険)によれば、保健医療経営大学が位置する有明保健医療圏は全国348の医療圏の中で医療費の地域差指数(年齢補正した医療費水準)が大きい方から8番目です。

地域差指数 医療圏
1.342 熊本県芦北
1.300 長崎県長崎
1.260 佐賀県東部
1.246 徳島県西部Ⅱ
1.237 徳島県西部Ⅰ
1.237 鹿児島県南薩
1.235 高知県安芸
1.229 福岡県有明
1.225 北海道後志
1.204 北海道中空知
1.204 広島県広島
1.201 佐賀県南部

以上の12医療圏は、全国水準より2割以上の高水準で医療費を消費しています。
本学の所在地は「みやま市」です。
みやま市民の多くは有明保健医療圏内で受診していますが、高度医療、高額医療を必要とする場合には久留米保健医療圏や八女・筑後保健医療圏の医療機関へ受診する場合も多いようです。
他の医療圏を受診しても、国保医療費は患者の住所地にカウントされます。
有明保健医療圏が全国有数の高医療費医療圏である理由を探るため、これから数回、福岡県南部の医療圏の医療供給体制を分析してみます。
それぞれの医療圏を構成している市町は次の通りです。

久留米保健医療圏:久留米市、大川市、小郡市、うきは市、大刀洗町、大木町
八女・筑後保健医療圏:八女市、筑後市、広川町
有明保健医療圏:大牟田市、柳川市、みやま市

宇宙飛行士と経営人材

2011 年 8 月 24 日 水曜日

本学一期生の求職活動を支援する中、人事採用に関する情報には敏感になります。

日本経済新聞の日曜日サイエンス欄に宇宙飛行士の採用基準についての記事がありました。

記事によると、JAXA(日本宇宙航空研究開発機構)の採用担当者が宇宙飛行士に求める最も重要な資質は「人間性」なのだそうです。

「一緒に仕事をしたい」と思わせる雰囲気を持ち合わせていない人は採用されないとのこと。

苦しい訓練の直後であっても見学の子どもたちへ笑顔を見せているかどうか、といった何気ない仕草も試されます。

日本経済新聞出版社からは『宇宙飛行士の育て方』という本も出版されています。

この本の帯書きには「不測の事態にも動じない! チームワークとリーダーシップ、リスク管理が求められる“究極の人材” 彼らはどのように選ばれ、その能力を磨かれるのか。 日本人宇宙飛行士、選抜・訓練担当者への取材からその秘密を明らかにする。」とあります。

本書によると、JAXAの重視する採用基準には、人間性以外にも”リーダーシップ=leadership”(指導力)と”フォロワーシップ=followership”(リーダーに従い、支援する力)があるそうです。

これらについて、JAXAの評価ポイントは以下の5つだそうです。

(1)時間内に決められた作業を、きちんと達成できるように、集団をコントロールできるか。

(2)チーム内に意見の対立があっても、それをまとめて、課題を遂行できるか。

(3)チームに目標を示し、それに向かって作業を進めることができるか。

(4)チームからの指示を正確に実行できるか。

(5)必要な場合、リーダーに対して適切に意見を述べることができるか。

宇宙飛行士は医療経営とはまったく世界が異なりますが、経営人材に求められる資質とまったく同じ資質が求められているところが興味深く思えます。

なお、政治家は、日本という国家を経営するという観点では経営人材に求められる資質と共通のものがありますし、危機管理適性という観点では宇宙飛行士に求められる資質と共通のものがあります。

日本では今、新しい首相が選ばれ、新しい内閣が編成されようとしています。

新しい首相と閣僚には、「一緒に仕事をしたい」と思わせる雰囲気を持ち合わせている人間性と、リーダーシップ適性、フォロワーシップ適性を兼ね備えた人材が選ばれてほしく思います。

施設経営と地域経営

2011 年 8 月 12 日 金曜日

先日、福島原発の作業員の日当に関するニュースが流れました。

「東電支払110万円、現場では8000円 原発作業員のすさまじいピンハネ実態」というセンセーショナルな見出しでした。

東京電力が10万円の日当で下請けに出した危険労働について、現場の作業員の実際の日当は8千円だったということです。

被曝線量の法定限度を超えた労働者は、その後、放射線を取り扱う労働に就くことができません。

1年間のほとんどを何もさせない労働者を直接雇用するのは経営上マイナスなので、経営者は常勤職員でなく派遣労働者に危険労働を担わせようと下請けに出します。

危険労働に相応の日当を予算化し、下請け企業と請負契約を交わします。

ところが、大企業の仕事を請け負うグループ企業でも、常勤職員は出せないので孫請けに出すことになります。

この際、手数料を引いた予算で孫請け企業と請負契約を交わします。

しかし、孫請け企業も大手グループ企業との取り引きがあるような中堅企業なので・・・と、5次、6次、7次と下請けに出され、各段階で手数料が引かれていった結果、実際に支払われる作業員の日当が低くなってしまうのです。

経営者の論理では、職員の労働条件を良くすることが労働者管理のイロハとして求められますが、それを突き詰めると、条件が悪い労働は外部化することになります。

外部化するにあたってのコスト設定は不当であってはなりません。

東京電力が10万円の日当を設定したのは、その危険労働が日当10万円に相応するという経営判断によるものでしょう。

しかし、日当10万円に相応する危険労働に日当8千円で従事している労働者の出現を許しているという現実があります。

原発作業員に限らず、危険労働を最後に請け負うのは、小さな事務所で携帯電話で労働者をかき集めるような、待遇改善を訴えれば潰れそうな零細事業所が多いそうです。

危険労働従事者こそ法的にしっかりと守られなければなりませんが、零細事業所ほど労働者の法的保護が不徹底です。

それぞれの企業が施設経営の論理だけで経営努力を行っても、地域全体では健全な経営が行われているとは限らないことの実例です。

医療分野の施設経営と地域経営との関係にも同じようなことがいえます。

保健医療経営大学は医療の「地域経営コース」を設けている全国唯一の大学です。

卒業生たちが就職先の施設経営に邁進することがそのまま地域全体の利益となるような、地域経営のセンスも兼ね備えた経営人材を育てたく思います。

平成22年簡易生命表

2011 年 7 月 28 日 木曜日

昨日、平成22年簡易生命表が発表されました。
男性の平均寿命は79.64年で平成21年より0.05歳延びていますが、逆に女性の平均寿命は86.39年で0.05年縮んでいます。
平均寿命が縮んだのはインフルエンザが流行した平成17年以来です。
厚生労働省は「猛暑で体力が弱ったお年寄りが多く亡くなったためではないか」と分析しています。
夏の死亡数が前年より増えていますのでその分析は頷けますが、夏以外の月の死亡数の増加は説明できません。
女性の死亡数の各月の前年同月比の増加率は次の通りです。
1月 -1.6%
2月  4.0%
3月  3.1%
4月  6.4%
5月  6.7%
6月  8.5%
7月 10.2%
8月  9.9%
9月  5.9%
10月 4.7%
11月 7.7%
12月 5.9%

例年であれば各月ともプラスマイナス3%以内の変動ですので、平成22年の各月の増加は異常事態であるといっていいでしょう。

平成24年診療報酬・介護報酬改定(35)

2011 年 7 月 16 日 土曜日

年齢補正すれば人口あたりの患者数にそれほど大きな地域差はないであろう歯科についても地域差指数に大きな開きがあります。

地域差指数の順位は次の通りですが、上位には都市部の医療圏が集中しています。

また、福岡県の歯科医療費の地域差指数は、すべての医療圏において1.05を上回っています。

興味深いのは、入院医療費が極めて高い8医療圏のうち、福岡県有明医療圏以外の7医療圏については地域差指数が1.0未満であるということです。

芦北医療圏に至っては0.749と全国平均を大きく下回っています。

芦北医療圏の人口10万対歯科医師数は51人で全国平均(76人)を大きく下回っています。

福岡県の人口10万対歯科医師数は95人で、北九州医療圏や福岡・糸島医療圏では100人を上回っています。

歯科医療費の多寡については、歯科医師数の多寡との相関が強そうです。

 

(順位)(府県名)(医療圏名)(地域差指数)

1    大阪府   大阪市   1.251

2    大阪府   豊能       1.245

3    大阪府   堺市       1.242

4    福岡県   北九州   1.241

5    大阪府   中河内   1.240

6    広島県   広島       1.194

7    大阪府   三島       1.177

8    大阪府   南河内   1.177

・・・

14   福岡県    福岡・糸島 1.154

・・・

47          福岡県     有明    1.073

114        長崎県     県央    0.983

117        北海道     中空知   0.980

119        徳島県     西部Ⅰ   0.975

144        北海道     北渡島檜山 0.941

194        徳島県     西部Ⅱ   0.899

276        鹿児島県 南薩    0.841

335        熊本県     芦北    0.749

・・・

345        青森県     下北地域  0.691

346        福井県     奥越    0.686

347        鹿児島県 熊毛    0.674

348        長野県     木曽    0.656

平成24年診療報酬・介護報酬改定(34)

2011 年 7 月 15 日 金曜日

入院医療費が全国平均より5割以上も割高な8医療圏の外来医療費の地域差指数はどうなっているでしょうか。

外来医療費の地域差指数の上位医療圏と下位医療圏は次の通りですが、入院医療費が高い8医療圏のうち外来医療費の地域差指数が1.1を超えるのは芦北医療圏のみでした。

南薩医療圏が1.07、有明医療圏が1.06と続きますが、有明医療圏の指数は他の福岡県内の医療圏の指数との相違はあまりありません。

芦北医療圏は外来医療費の地域差指数も突出していますので、何らかの理由によって医療圏内の受診者の絶対数が多いのかもしれませんが、他の医療圏については、外来医療費に比して入院医療費だけが突出していますので、入院医療の非効率性が窺われます。

 

(順位)(県名)(医療圏名)(地域差指数)

1   熊本県    芦北         1.246

2   広島県    広島         1.232

3   長崎県    長崎         1.204

4   高知県    安芸         1.153

5   佐賀県    東部         1.138

6   広島県                 1.128

・・・

26 鹿児島県    南薩         1.074

41  福岡県    有明         1.061

・・・

346 沖縄県    宮古         0.798

347鹿児島県    奄美         0.797

348鹿児島県    熊毛         0.744

平成24年診療報酬・介護報酬改定(33)

2011 年 7 月 14 日 木曜日

地域差は診療種別によっても違います。

入院医療の地域差指数は、348医療圏のうち1.1以上の医療圏が136医療圏もあります。

上位8医療圏と下位8医療圏は次の通りですが、上位医療圏と下位医療圏との間に2倍以上の較差がある状況については次期改定において何らかの是正措置がなされることでしょう。

保健医療経営大学が位置する有明医療圏は全国第7位で、全国平均より5割も割高の入院医療費を費やしています。

 

(県名)(医療圏名)(地域差指数)

徳島県     西部Ⅱ    1.635

徳島県     西部Ⅰ    1.607

熊本県     芦北        1.593

北海道     北渡島檜山  1.572

鹿児島県 南薩        1.546

長崎県     県央        1.512

福岡県     有明        1.497

北海道     中空知    1.497

・・・

神奈川県 湘南東部   0.796

千葉県     香取海匝   0.792

茨城県     水戸        0.791

静岡県     志太榛原   0.783

静岡県     熱海伊東   0.779

愛知県     尾張中部   0.773

千葉県     千葉        0.768

愛知県     西三河南部  0.755

 

有明医療圏は人口10万対病床数は2752床で、全国平均(1375床)の倍の病床があります。

人口10万対医師数も232人で全国平均(213人)を上回っていますが、病床数対比では手薄感が否めません。

入院患者数に応じて医療費は嵩んでゆきますので、突出した病床数が医療圏の地域差指数を押し上げているものと思われますが、次の診療報酬改定で病床区分が細分化され、医療体制が手薄な病床について診療報酬が大きく削減されるようなことになれば、有明医療圏のような状況下にある病院の収益は大打撃を受けることになります。

隣県の芦北医療圏の人口10万対病床数は3367床で全国平均の2倍半、人口10万対医師数は246人で、病床数対比は有明医療圏より更に手薄です。

平成24年診療報酬・介護報酬改定(32)

2011 年 7 月 13 日 水曜日

医療は都道府県単位で動いているわけではありません。

たとえば県南部が医療過疎で、県北部に医療施設が密集しているからといっても、県南部の住民が日常的に県北部の医療施設を受診するといったことはありません。

医療の需給については、生活圏を基礎とした「医療圏」を単位に考えます。

外来診療を中心とした日常的な医療については市町村単位の第一次医療圏、入院も含めた一般的な医療については広域市町村規模の第二次医療圏、高度あるいは特別な医療については県域規模の第三次医療圏が基本単位です。

第二次医療圏単位に市町村国民健康保険の地域差指数を見てみます。

第二次医療圏は全国に348医療圏ありますが、そのうち以下の29医療圏は全国平均より15%以上の高い水準、4医療圏は15%以上の低い水準となっています。

保健医療経営大学が位置する福岡県有明医療圏は福岡県内で最も地域差指数が大きい医療圏で、全国第8位です。

全国平均より23%も割高に医療費が使われている地域です。

福岡県には13の医療圏がありますが、すべての医療圏が全国平均を上回っており、うち11医療圏は地域差指数1.1以上となっています。

鹿児島県は9医療圏のうち5医療圏が、佐賀県は5医療圏のうち4医療圏が、大分県は6医療圏のうち4医療圏が、長崎県は9医療圏のうち3医療圏が、熊本県は11医療圏のうち3医療圏が、宮崎県は7医療圏のうち2医療圏が地域差指数1.1以上です。

これらの九州各県の医療圏の中には全国平均を下回る医療圏もあり、医療圏ごとの較差は大きいようです。

 

(県名)(医療圏名)(地域差指数)

熊本県     芦北        1.342

長崎県     長崎        1.300

佐賀県     東部        1.260

徳島県     西部Ⅱ    1.246

徳島県     西部Ⅰ    1.237

鹿児島県 南薩        1.237

高知県     安芸        1.235

福岡県     有明        1.229

北海道     後志        1.225

北海道     中空知    1.204

広島県     広島        1.204

佐賀県     南部        1.201

北海道     北渡島檜山  1.199

山口県     宇部・小野田 1.196

広島県     呉           1.190

大分県     中部        1.189

長崎県     県央        1.187

佐賀県     中部        1.180

鹿児島県 出水        1.178

福岡県     田川        1.176

北海道     西胆振    1.170

鹿児島県 鹿児島    1.165

福岡県     北九州    1.164

島根県     浜田        1.160

北海道     南空知    1.154

福岡県     八女・筑後  1.153

福岡県     京築        1.152

福岡県     久留米    1.151

鹿児島県 川薩        1.151

・・・

沖縄県     宮古     0.850

千葉県     香取海匝   0.845

長野県     飯伊        0.841

沖縄県     八重山    0.841

平成24年診療報酬・介護報酬改定(31)

2011 年 7 月 11 日 月曜日

「医療費マップ」の地域差指数と同じく、年齢構成を補正して算出される代表的な統計指標に「生命表」があります。

生命表とは、ある人口集団の死亡状況が今後変化しないと仮定したときに、各年齢の者が平均してあと何年生きられるかという期待値などを平均余命などの指標で一覧表にしたものです。

生命表は男女別に各年齢の死亡数と人口を基に算出され、人口集団の年齢構成には左右されません。

従って、人口集団間で社会保障や医療の総合的な達成度を比較するのに生命表は有用です。

生命表のうち、0歳の平均余命については「平均寿命」と称されて広く活用されています。

都道府県別生命表は、人口動態調査と国勢調査のデータを用いて、5年ごとに作成されています。

最新の都道府県別生命表は平成17年のもので、平成16~18年の死亡状況から算出されています。

前回の「医療費マップ」の順位と平均寿命の順位とを比較すると、次のようになります。

医療費をかけているからといって平均寿命が長いというわけではありません。

投入に見合った成果が達成できていないということは、効率性が劣るということです。

医療費をかけずに長い平均寿命が達成できている長野県は効率性がいい県です。

 

医療費地域差指数  平均寿命(男)     平均寿命(女)

第1位  福岡県  78.35 第30位  85.84 第23位

第2位  北海道  78.30 第33位  85.78 第25位

第3位  高知県  77.93 第44位  85.87 第21位

第4位  長崎県  78.13 第37位  85.85 第22位

第5位  広島県  79.06 第13位  86.27 第 8位

第6位  佐賀県  78.31 第32位  86.04 第17位

第7位  鹿児島県 77.97 第41位  85.70 第28位

第8位  大分県  78.99 第17位  86.06 第15位

第9位  山口県  78.11 第38位  85.63 第32位

第10位 徳島県  78.09 第39位  85.67 第30位

第11位 大阪府  78.21 第36位  85.20 第44位

第12位 熊本県  79.22 第10位  86.54 第 3位

・・・

第45位 長野県  79.84 第 1位  86.48 第 5位

第46位 静岡県  79.35 第 6位  86.06 第15位

第47位 千葉県  78.95 第18位  85.49 第36位

     全 国  78.79(歳)    85.75(歳)

平成24年診療報酬・介護報酬改定(30)

2011 年 7 月 9 日 土曜日

平成21年度の「医療費マップ」が発表されました。

医療費の地域差に関する統計はしばしば発表されていますが、医療費は地域人口の年齢構成が影響因子として大きいので、地域の年齢構成を全国平均の年齢構成に統計的に補正して指数化(全国を1.0)した「医療費マップ」は地域差分析に最適です。

平成21年度の地域差指数は、市町村国民健康保険の都道府県別順位は次のようになっています。

九州・四国の県が上位に集中しています。

第1位  長崎県  1.176

第2位  佐賀県  1.174

第3位  広島県  1.154

第4位  徳島県  1.138

第5位  大分県  1.136

第6位  福岡県  1.135

第7位  香川県  1.134

第8位  鹿児島県 1.130

第9位  北海道  1.126

第10位 高知県  1.117

第11位 山口県  1.113

・・・

第47位 千葉県  0.894

 

後期高齢者医療制度の地域差指数も、次のように九州・四国の県が上位に多く、市町村国民健康保険よりも上位道府県間の較差が大きくなっています。

福岡県に至っては、全国平均より24%も高い水準です。

第1位  福岡県  1.240

第2位  高知県  1.191

第3位  北海道  1.184

第4位  長崎県  1.165

第5位  大阪府  1.154

第6位  広島県  1.150

第7位  鹿児島県 1.114

第8位  佐賀県  1.107

第9位  大分県  1.106

第10位 沖縄県  1.097

第11位 熊本県  1.090

・・・

第47位 岩手県  0.825

 

市町村国民健康保険と後期高齢者医療制度を合計した都道府県順位は次の通りです。

福岡県の突出が目立ちます。

第1位  福岡県  1.212

第2位  北海道  1.178

第3位  高知県  1.162

第4位  長崎県  1.162

第5位  広島県  1.156

第6位  佐賀県  1.140

第7位  鹿児島県 1.132

第8位  大分県  1.116

第9位  山口県  1.107

第10位 徳島県  1.103

第11位 大阪府  1.100

第12位 熊本県  1.096

・・・

第45位 長野県  0.880

第46位 静岡県  0.877

第47位 千葉県  0.875

 

長崎県と広島県では高齢者の被爆者健康手帳保持者割合が他県より高いため、地域差指数の高さには、被爆者援護制度(入院医療の食費や医療費の自己負担を免除)が影響している可能性があります。

ドイツの医療保障の近況

2011 年 6 月 25 日 土曜日

ドイツは長期の経済低迷を脱し、近年は年3%の経済成長を続けています。
しかし、経済好転にかかわらず「疾病金庫」のひとつが経営破綻に追い込まれ、7月1日に閉鎖されることになりました。
ドイツでは初の事態です。
連邦保険庁によると、財政が厳しい疾病金庫は他にもあるのだそうです。
疾病金庫は日本の健康保険(組合)に相当するものですが、日本より数が少なく、地域や職種を単位に155の疾病金庫があります。
集まる保険料よりも支払う医療費が大きくて資金繰りが行き詰まったためだそうですが、その背景事情は日本の健康保険も他人事ではありません。
ドイツでは契約者が自由に疾病金庫を選ぶことができます。
経営効率がいい疾病金庫を選べば保険料負担が軽くなりますので、疾病金庫は契約者獲得のために効率化を競います。
それが結果として総医療費の伸びを抑制しています。
破綻した疾病金庫は、競争に負けた、すなわち医療費支出の効率化ができなかった金庫です。
すべての疾病金庫が一様に医療費支出増に頭を痛めているのではなく、多くは資金積み立ての余裕がある金庫です。
破綻した疾病金庫の契約者は別の疾病金庫に入り直すことができますので、金庫の破綻は契約者にとって決定的なダメージではありません。
日本の健康保険には疾病金庫のような競争はありませんので、どの健康保険も医療費支出増に対する合理的な介入は行えていません。
保険料が上がらないまま医療費が膨張し続ければ、ドイツと異なり、日本では保険財政破綻が一様に訪れる現実的可能性がありますが、健康保険が破綻した場合については、3月11日以前の原発事故想定と同じくらい、私たちは想定することを避けています。

海外での日本人死亡

2011 年 6 月 23 日 木曜日

昨年(平成22年)の海外邦人援護統計が発表されました。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/23/6/PDF/110622_02.pdf
海外で事件・事故、犯罪加害、犯罪被害、災害などのトラブルに遭遇した日本人に対して在外公館などが行った援護の件数・人数をとりまとめたものです。
総援護件数は1万7515件で対前年比3.25%増、総援護人数は1万9882人で対前年比5.51%増でした。
増加要因は出国者数の増です。
昨年の出国者数は1663万7224人で対前年比7.7%増でした。
出国者の約800人に1人がトラブルに遭遇して援護されていることになります。
トラブルの約3分の1は犯罪被害です。
内訳は、窃盗被害が5989人、詐欺被害が461人、強盗被害が488人でした。
犯罪(加害)もあります。
主なものは、出入国・査証関係犯罪が110人、道路交通法違反が44人、傷害・暴行が74人、麻薬が75人、詐欺・詐欺未遂が45人でした。
海外で死亡した日本人数は647人で過去最高です。
対前年比は26.1%増で、出国者数の増だけでは説明できないほどの急増です。
半数以上が疾病による死亡で336人でした。
外務省は「海外渡航をする高齢者の増加が背景にある」と分析しています。
なお、交通事故の死亡者数は35人でした。
行方不明者は132人です。

放射線、タバコと「がん」死亡

2011 年 6 月 3 日 金曜日

平成22年の人口動態統計の概数が公表されました。

毎年、この時期に公表される概数で昨年の死亡の実態が、性別、年齢別、死因別、都道府県別に概観できますので、昨年の死亡数の急増要因を探る手がかりが得られます。

昨年の死亡数は1197066人で、前年の1141865人より55201人も増加しています。

年齢(5歳階級)別の死亡率で、前年より悪化している年齢階級が浮かび上がってきました。

年齢階級ごとに死亡率は年次変動していますが、年齢階級人口10万人あたり10人以上の死亡率の変動があった年齢階級は次の通りです。

年齢階級ごとの人口にも増減がありますので、死亡数が増えたからといって、その年齢階級の死亡率が上がるとは限りません。

(平成22年と平成21年の死亡数の比較)

年齢階級   対前年増減  人口10万人あたり増減

65~69  1030人増   +28人

70~74   720人増   -15人

75~79  3622人増   -23人

80~84  9864人増   +66人

85~89 17391人増  +221人

90~94 12219人増   +62人

95~99  7590人増  +909人

100以上  2564人増  -419人

60歳未満では、ほとんどの年齢階級で、死亡数、死亡率とも前年より改善しています。

従って、昨年の死亡数急増は80歳以上の高齢者の死亡の急増が主因であったことがわかります。

高齢になれば死亡数が増えるのは当然のことですが、その年齢階級の死亡率が悪化しているのは残念です。

死亡率を死因別にみると、第1位は「がん」で、人口10万対280で、前年より人口10万人あたり6人増えています。

第2位は心疾患で人口10万対150(対前年+6人)、第3位は脳血管疾患で人口10万対98人(対前年+0.4人)でした。

なお、自殺は第7位で、人口10万対23(対前年-1人)でした。

第1位の「がん」への大きな寄与因子は老化ですが、そのほかにもタバコ、放射線などがあります。

タバコの寄与は明らかです。

タバコは第2位の心疾患にも寄与しています。

タバコに関しては、比較的小さい人口規模の追跡調査であっても健康影響を証明する調査報告が多数あります。

「がん」への放射線の寄与もあるはずです。

人口10万対280の死亡のうちのいくらかは、自然界からの被曝や医療被曝、過去の大気圏内核実験など放射線が寄与している可能性は否定できません。

しかし、200ミリシーベルト以下の低線量被曝については、数万人の人口規模を何十年にわたって追跡した調査でも健康影響は証明されていません。

放射線には確率的影響がありますので、20ミリシーベルトであれば危険だ、1ミリシーベルトなら安全だというようなクリアカットな線引きはできません。

従って、被曝は少なければ少ないほうがいい、というしかありませんが、同じことはタバコについても言えます。

タバコの煙も浴びなければ浴びないほどよく、社会においてタバコをどの程度許容するかは、とりあえずはWHO条約あたりに落ちついてきたようです。

低線量被曝の健康リスクについては、証明されるレベルであるか否かという点において、タバコの健康リスクよりも小さいことだけは明らかです。

放射線の健康リスクに注目が集まっている今、そのリスクを上回る健康リスクについても注目したいものです。

禁煙週間

2011 年 6 月 1 日 水曜日

昨日(5月31日)は「世界禁煙デー」でした。

そして、6月6日までは「禁煙週間」です。

世界保健機関(WHO)が世界中の国々に呼びかけている世界禁煙デーは今年で24回目です。

本年の禁煙週間のテーマは「みんなで知ろう!たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」です。

「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」(The WHO Framework Convention on Tobacco Control)というものが締約されているのですが、あまり知られていません。

この条約の第2回締約国会議で「たばこの煙にさらされることからの保護に関するガイドライン」が採択されています。

すなわち、本年のテーマを噛み砕いて言えば、「みんなで知ろう!受動喫煙の防止」ということになるのでしょうか。

受動喫煙の防止については、多数の人が利用する施設については、平成14年に、管理者が必要な対策をはかる努力義務が法制化されています。

(健康増進法第二十五条)

 学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、官公庁施設、飲食店その他の多数の者が利用する施設を管理する者は、これらを利用する者について、受動喫煙(室内又はこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされることをいう。)を防止するために必要な措置を講ずるように努めなければならない。

 

採択されたガイドラインではもっと踏み込んだ規制が求められており、昨年2月、公共の場は原則として全面禁煙であるべきであるという行政指導通知が発出されています。

広報「みやま」の5月号には<禁煙した先輩からのひとこと>が掲載してありました。

・仕事に集中でき、能率が上がった。

・体力的にも精神的にも、粘り強くなった。

・なんとなく後ろめたい気持ちから開放され、吸わなくても大丈夫な自分って気持ち良い。

・一番うれしいのは、家族の信頼が得られているのを感じること。

・自分だけでなく、中学生の娘と小学生の息子のせきが減った。

平成22年の死亡数の急増(2)

2011 年 5 月 26 日 木曜日

死亡数の増加について、季節性の特徴があれば、その要因が推測できます。
たとえば冬季に増加していれば、インフルエンザの流行による超過死亡を疑います。
厚生労働省が毎月発表する速報値から、対前年同月と比較した増加率を算定してみました。
(各月の死亡数と対前年比増加率)
平成  20年     21年         22年         23年
1月  111 394  115 257 (+3.5%)  114 018 (-1.1%)   122 892 (+7.8%)
2月  103 169   95 246 (-7.7%)  98 804 (+3.7%)  102 551 (+3.8%)
3月  103 596  101 661 (-1.9%)  104 351 (+2.6%)  113 094 (+8.4%)
4月   95 410   94 930 (-0.5%)  99 480 (+4.8%) 
5月   92 769   93 831 (+1.1%)  99 022 (+5.5%) 
6月   85 027   85 760 (+0.9%)  91 338 (+6.5%) 
7月   88 584   87 661 (-1.0%)  95 862 (+9.4%) 
8月   88 844   89 268 (+0.5%)  96 619 (+8.2%) 
9月   85 803   88 301 (+2.9%)  92 671 (+4.9%) 
10月  93 674   95 705 (+2.2%)  99 108 (+3.6%) 
11月  98 516   97 824 (-0.7%)  104 860 (+7.2%) 
12月 106 480  106 732 (+0.2%)  111 518 (+4.5%) 

年計   1153266        1152176 (-0.1%)     1207651 (+4.8%)  

23年の3月の速報値には東日本大震災で届出があった死亡診断書・死体検案書の数が加わっていますので対前年同月比8.4%増となっていますが、来年に発表される確定値ではそれ以降の届出数がさらに加わります。
23年2月までの26月の統計について、増加率が目立つ月は次の通りです。

①22年7月  9.4%増
②22年8月  8.2%増
③23年1月  7.8%増
④22年11月 7.2%増
⑤22年6月  6.5%増
⑥22年5月  5.5%増
⑦22年9月  4.9%増
⑧22年4月  4.8%増
⑨22年12月 4.5%増

季節性の特徴はなく、平成22年度に入ってからの増加が顕著です。もし、このような増加率がずっと続けば10年も経たないうちに死亡数が倍増してしまいます。