‘社会保障制度概論’ カテゴリーのアーカイブ

社会保障制度概論(8)

2009 年 10 月 26 日 月曜日

<保健医療福祉分野:人的資源の動向>

一般病院では100病床あたり115.6人が働いています。

職種別(医療関係団体認定資格を除く)には、多い順に次の通りです。

(1)   看護師42.1、(2)医師12.9、(3)看護業務補助者12.0、

(4)事務職員10.9、(5)准看護師10.3、(6)臨床検査技師3.4、

(7)薬剤師2.8、(8)診療放射線技師2.7、(9)理学療法士(PT)2.5、

(10)介護福祉士1.7、(11)助産師1.3、(12)作業療法士(OT)1.3、

(13)管理栄養士1.1、(14)臨床工学技士0.8、(15)歯科医師0.7、

(16)医療社会事業従事者0.6、(17)言語聴覚士0.5、(18)栄養士0.4、

(19)保健師0.3、(20)歯科衛生士0.3、(21)社会福祉士0.3、

(22)視能訓練士0.2、(23)あん摩マツサージ指圧師0.2、(24)歯科技工士0.1

(25)精神保健福祉士0.1、(26)義肢装具士、(27)柔道整復師

このように、医療に携わる職種は数十に及びます。

次の資格は国家資格です。

医師、歯科医師、保健師、助産師、看護師、診療放射線技師、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士、視能訓練士、臨床工学技士、義肢装具士、歯科衛生士、救急救命士、薬剤師、言語聴覚士、管理栄養士、社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士、あん摩マツサージ指圧師、鍼灸師(はり師、きゅう師)

次の資格は都道府県認定資格です。

准看護師、臨床心理士、訪問介護員(ホームヘルパー)、介護支援専門員

次の資格は医療関係団体資格です。

病院管理士(全日本病院協会)、診療情報管理士(日本病院会)、日本糖尿病療養指導士、(日本糖尿病療養指導士認定機構)、日本消化器内視鏡技師(日本消化器内視鏡学会技師)

 

上記以外に、福祉関係の資格として次のようなものがあります。

(公的資格)

手話通訳士、福祉住環境コーディネーター、点字技能検定   

(民間資格)

サービス介助士、手話技能検定、医療福祉環境アドバイザー、要介護予防運動スペシャリスト、視覚障害生活訓練専門職

社会保障制度概論(7)

2009 年 10 月 20 日 火曜日

<福祉分野:物的資源の動向>

医療施設と比べ、福祉施設は対象者や障害の度合いごとにきめ細かい施設体系となっており、おびただしい種類の施設があります。

数字は平成19年10月1日現在の施設数です。

(保護施設)302施設

救護施設

(老人福祉施設)9446施設

養護老人ホーム 特別養護老人ホーム 軽費老人ホームA型

軽費老人ホーム(ケアハウス) 老人短期入所施設老人デイサービスセンター

老人福祉センター 在宅介護支援センター 小規模多機能型居宅介護

地域密着型特別養護老人ホーム     

(身体障害者社会参加支援施設)377施設

身体障害者福祉センター 補装具製作施設 点字図書館

聴覚障害者情報提供施設

(障害者自立支援法関係施設)2233施設

障害者支援施設 障害福祉サービス事業所(療養介護、生活介護、自立訓練(機能訓練)、自立訓練(生活訓練)、就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型、児童デイサービス、グループホーム・ケアホーム、短期入所)地域活動支援センター

(旧法施設(平成23年度末までに経過措置))身体1188、知的3873、精神935

身体障害者療護施設 身体障害者入所授産施設 身体障害者通所授産施設

身体障害者小規模通所授産施設 知的障害者入所更生施設 知的障害者通所更生施設

知的障害者入所授産施設 知的障害者通所授産施設 知的障害者小規模通所授産施設

知的障害者福祉工場 精神障害者生活訓練施設 精神障害者授産施設

精神障害者小規模通所授産施設 精神障害者福祉ホーム

(婦人保護施設)49施設

婦人保護施設

(児童福祉施設)33524施設 うち保育所22838施設

乳児院 母子生活支援施設 児童養護施設 知的障害児施設 知的障害児通園施設 肢体不自由児施設重症心身障害児施設 重症心身障害児委託病床 情緒障害児短期治療施設 児童自立支援施設 保育所 児童館 児童遊園 助産施設 

(母子福祉施設)72施設

母子休養ホーム

(その他の社会福祉施設)9805施設

社会事業授産施設 へき地保育所 無料低額診療施設隣保館 へき地保健福祉館 有料老人ホーム 老人憩いの家 生活支援ハウス 認知症高齢者グループホーム 地域福祉センター 障害者総合支援センター 盲人ホーム 障害者等共同作業所精神障害者小規模訓練施設 憩いの家 介護老人保健施設 介護療養型医療施設 訪問看護ステーション 地域包括支援センター 児童自立援助ホーム

社会保障制度概論(6)

2009 年 10 月 19 日 月曜日

<保健医療分野:物的資源の動向>

疾病構造の変化、高齢化の進展に応じ、医療提供機能も変化します。

国民皆保険の実現当時は感染症(結核)対応の医療提供体制が主流でしたが、現在は生活習慣病(がん、心臓病、脳血管疾患)対応の医療提供体制へと変化してきました。

昭和25年は死因の第一位は結核(13.5%)でした。

現在は死因の60%を生活習慣病が占めています。

高齢化の進展により、急性期医療提供体制から慢性期の療養(医療と介護のケアミックス)提供体制へと変化しました。

平均在院日数も、疾病、年齢によって異なり、病床数需要も変化してきています。

        (平均在院日数)

   0~14歳 10日以内

  15~34歳 15日前後

  35~64歳 1か月前後

  65歳以上  2か月前後

病院数、病床数は昭和の年代は増加の一途でしたが、平成に入って減少傾向に転じています。

医療法による「病床規制」の効果です。

小規模の病院が陶太され、病院の大規模化が進んでいます。

現在の病院数は9千弱です。

診療所は、一貫して増加しています。

現在の診療所数は約10万です。

薬局数も増加しており、約5万です。

医薬分業が国策として推進されてきており、平成15年以降は分業率(外来患者の院外処方箋発行割合)が50%を超えています。

社会保障制度概論(5)

2009 年 10 月 11 日 日曜日

<日本の社会保障制度の歴史 2>

1973年は福祉元年と称されました。

老人医療費無料制度の創設、健康保険被扶養者の給付率引上げ、高額療養費制度の導入、年金給付水準の大幅引上げなど、社会保障制度が大幅に拡充された年です。

しかし、この年秋のオイルショック以降、日本は低成長期に突入しました。

税収減にかかわらず社会保障費が急増し、社会保障制度の見直しが必要となりました。

1982年に老人保健制度が創設されました。

無料化制度を改め患者本人の一部負担が導入されました。

老人医療費を全国民で公平に負担するための老人保健拠出金の仕組みが導入されました。

1984年には健康保険の本人負担が引き上げられ、1985年には年金の給付水準が引き下げられました。

2000年に介護保険制度が創設されました。

それまで老人福祉と老人医療に分かれていた高齢者の介護制度が、社会保険の仕組みで再編成されました。

その後も、厚生年金の支給開始年齢が引き上げられ、医療費の患者負担が引き上げられるなど、社会保障制度の見直しが続いています。

2008年、老人保健制度が廃止され後期高齢者医療制度が創設されましたが、2009年の政権交代により、後期高齢者医療制度も廃止され、新たな制度設計がなされる予定です。

社会保障制度概論(4)

2009 年 10 月 6 日 火曜日

<日本の社会保障制度の歴史 1>

日本の社会保障は、第二次世界大戦前にドイツに倣って作られました。

1927年に労働者を主な対象とした健康保険法が施行されました。

1938年に農民を主な対象とした国民健康保険法が制定された。

1941年に労働者年金保険法が創設され、1944年に対象を拡大した厚生年金保険法が制定されました。

第二次世界大戦後は引揚者や失業者など生活困窮者に対する生活援護施策と栄養改善、伝染病予防が緊急対策として行われました。

日本国憲法が制定されると、1946年に生活保護法が制定され、国家責任の原理、無差別平等の原理、最低生活保障の原理に基づく公的扶助制度が確立しました。

浮浪児対策を契機として1947年に児童福祉法、傷痍軍人対策を契機として1949年に身体障害者福祉法が制定されました。

福祉三法体制の確立です。

その後、経済成長期を迎え、自営業者や農業従事者等に加入を義務づける新しい国民健康保険法や国民年金法が制定されました。

1961年、国民健康保険事業が全国の市町村で実施され、国民年金法が全面施行されました。

国民皆保険・皆年金体制の確立です。

1960年に精神薄弱者福祉法(現・知的障害者福祉法)が、1963年に老人福祉法が、1964年に母子福祉法(現・母子及び寡婦福祉法)が制定され、前述の福祉三法とあわせて福祉六法体制となりました。

社会保障制度概論(3)

2009 年 10 月 5 日 月曜日

<社会保障制度の歴史>

1601年、イギリスに「公助」の原形である救貧法(Poor Law)が成立しました。

家族による支援が得られない貧困者を救済するものです。

「共助」の原形は、産業革命後のイギリス(友愛組合)とドイツ(疾病金庫)に生まれました。

労働者が賃金の一部を出し合う、失業や疾病による雇用の中断の際の経済的保障です。

その後、ドイツでは1883年に疾病保険、1884年に労災保険、1889年には年金保険が制定されました。

1929年の世界大恐慌で大量の失業者があふれ社会不安が増大したことから、アメリカで1935年に連邦社会保障法(Social Security Act)が制定されました。

その内容は、老齢年金、失業保険、障害者扶助、母子衛生、児童福祉事業などでした。

1942年、イギリスのウィリアム・ベヴァリッジが「社会保険と関連サービス」と題したベヴァリッジ報告を提言しました。

社会保険制度を中心とした「ゆりかごから墓場まで」をスローガンにした社会保障計画で、社会保障の理想的体系が示されました。

戦後の経済成長期には、社会保障を通じた所得再分配は大量生産の受け皿である国内需要の拡大に寄与するという理論で、社会保障制度が発展しました。

1970年代、低成長期になると、社会保障の抑制の必要性が叫ばれるようになりました。

近年は、人口の急激な高齢化・少子化が、社会保障制度の再構築を迫っています。

社会保障制度概論(2)

2009 年 9 月 29 日 火曜日

社会保障施策は、「自助」(当事者自身の努力)と「共助」(リスクを共通にする者同士の助け合い)と「公助」(行政支援)の組み合わせで成り立っています。

医療の場合、その財源構成は、自助(患者負担:14%)、共助(保険料:49%)、公助(税:37%)というバランスです。

保険料と税は、さらに負担者が大別されます。

保険料 49%=事業主20%+被保険者29%

税   37%=国庫25%+地方12%

負担割合順に並べると次の通りです。

被保険者保険料>国税>事業主保険料>患者負担>地方税

総額が34兆円と大きいので、いずれの財源も悲鳴を上げています。

保険が破綻すれば、税金と患者負担が増えます。

財政が破綻すれば、保険料と患者負担が増えます。

いずれにせよ、総計100%の掟から逃れることはできません。

後期高齢者医療制度については、組み合わせのバランスは、概略、次のようになっています。

自助(患者負担:10%)

共助(保険料:45%)=若年者22%+事業主14%+被保険者9%

公助(税:45%)=国庫30%+地方15%

負担割合順に並べると次の通りです。

国税>若年者>地方税>事業主>被保険者保険料>患者負担

公助と、若い世代による共助が大きな割合を占め、高齢の当事者の負担バランスが小さい制度設計です。

実態は、様々な軽減措置により、当事者負担はさらに小さくなっています。

ところで被保険者保険料は、年金天引きではない普通徴収者に、保険料滞納が約1割あるそうです。

昨年9月の時点での統計ですが、福岡県の滞納率は14.5%(福岡市21%~星野村1%未満)でした。

老人医療費が日本一高い福岡県において、支え合いバランスが崩れてしまったら大変です。

社会保障制度概論(1)

2009 年 9 月 28 日 月曜日

秋学期の授業が始まりました。

毎月曜の第1時限は「社会保障制度概論」の私の授業です。

本日の授業の概要です。

<我が国の社会保障制度の構成と理念について>

社会保障のありようは国によって異なります。

日本の社会保障は日本国憲法による生存権保障をその拠り所としています。

 

日本国憲法第25条

一、すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

二、国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

 

憲法には社会保障の定義はありませんが、社会保障制度審議会「社会保障制度に関する勧告」(1950)に詳しい記述があります。

 

いわゆる社会保障制度とは、疾病、負傷、分娩、廃疾、死亡、老齢、失業、多子その他困窮の原因に対し、保険的方法または直接の公の負担において経済的保障の途を講じ、生活困窮に陥った者に対しては国家扶助によって最低限度の生活を保障するとともに、公衆衛生および社会福祉の向上を図り、もって、すべての国民が文化的社会の成員たるに値する生活を営むことができるようにすることをいう。

 

日本の社会保障制度は、社会保険・公的扶助・社会福祉・公衆衛生及び医療・老人保健の5部門に分れており、広義ではこれらに恩給、戦争犠牲者援護が加わります。

[社会保険]

医療保険、年金保険、労災保険、雇用保険、介護保険

各自が保険料を払い、各種リスクの保障をするというシステム

原則として強制加入の相互扶助制度

[公的扶助]

生活保護

生活に困窮する者に限り、国が最低限の生活の保障をし、自立を助けるシステム

[社会福祉]

老人福祉、障害者福祉、児童福祉、母子福祉

社会生活をする上で立場が弱かったり、ハンディキャップを持っているものを援助するシステム

[公衆衛生及び医療]

感染症対策、食品衛生、水道、廃棄物処理

国民が健康に生活ができるように、外因病や生活習慣病の予防や早期発見を目指すシステム

[老人保健]

後期高齢者医療制度

 

本日の講義のキーワードは「自助」「共助」「公助」です。

社会保障制度は、この3つの組み合わせで成り立っています。