‘社会保障制度概論’ カテゴリーのアーカイブ

社会保障制度概論(36)

2010 年 2 月 4 日 木曜日

昨日、「社会保障制度概論」の定期試験を行いました。

入学前には社会保障に疎かったであろう学生たちが、一年で、このような問題にチャレンジできるほどに成長しています。

(Q3以降は社会福祉士国家試験過去問をアレンジしたものです)

 

Q1 「自助」「共助」「公助」というキーワードを用い、後期高齢者医療制度を運営する財源について解説せよ。

 

Q2 一般病床の入院患者が144人、療養病床の入院患者が48人、外来患者が200人の病院があります。

Q2-1 この病院の医療法基準による標準医師数は何人ですか。

Q2-2 この病院の医療法基準による標準看護職員数は何人ですか。

 

Q3 国際比較の観点から見た我が国の医療に関する次の記述のうち、誤っているものを一つ選びなさい。

 1 人口当たりの病床数は、先進諸国の中で最も多い水準にある。

 2 平均在院日数は、先進諸国の中で最も長い水準にある。

 3 医療費に占める薬剤費の割合は、先進諸国の中で最も高い水準にある。

 4 国内総生産(GDP)に占める医療費の割合は、先進諸国の中で最も高い水準にある。

 5 老人医療費の増加が著しく、国民医療費全体の3分の1に達している。

 

Q4 医療保険の給付水準についての次の記述のうち、正しいものを一つ選びなさい。

 1 健康保険の法定給付率は、被保険者本人8割、家族入院8割・外来7割である。

 2 保険診療費の一定割合が患者の負担になるが、これが過重にならないようにするために高額療養費が支給される。

 3 市町村国民健康保険の療養の給付率は、年齢にかかわらず、入院、外来とも7割である。

 4 医療保険制度の保険給付は,医療給付のみで現金給付はない。

 5 医療給付の対象者については,原則として日本人に限るという国籍要件がある。

 

Q5 次の社会保険制度のうち、原則として給付費に対する国庫負担が行われないものを一つ選びなさい。

 1 国民健康保険

 2 組合管掌健康保険

 3 後期高齢者医療

 4 介護保険

 5 国民年金制度の基礎年金

 

Q6 最近の我が国の社会保障に関する次の記述のうち、誤っているものを一つ選びなさい。

 1 経済成長の鈍化にもかかわらず、社会保障給付費は毎年増加を続けている。

 2 社会保障給付費の内訳を部門別に見ると、おおむね医療が6割、年金が3割、福祉その他が1割という構成になっている。

 3 租税・社会保障負担の対国民所得比は、西欧主要諸国に比べるとなお低い水準にとどまっている。

 4 老齢年金や老人医療、老人福祉など、高齢者関係の給付費は、社会保障給付費全体の6割を超えている。

 5 社会保障の財源は、被保険者や事業主の保険料、国民負担等によって賄われている。

 

Q7 我が国の医療保障制度の歴史的な展開に関する次の記述のうち、誤っているものを一つ選びなさい。

 1 医療保険制度は、終戦直後に創設された健康保険制度及び国民健康保険制度を基礎として発展してきた。

 2 高度経済成長の中、全国の市町村に国民健康保険制度の実施が義務づけられ、昭和36年には、国民皆保健が実現した。

 3 福祉元年といわれた昭和48年には、老人医療の無料化や高額療養費制度の創設、被扶養者の給付率の引き上げなど、給付内容の改善が図られた。

 4 経済が次第に低成長期に入る中で医療保険制度も再編の時代を迎え、1980年代には老人保健制度の創設や健康保険の被保険者本人の定率負担導入等の対応が行われた。

 5 現在、高齢化のさらなる進展の中で医療保険は抜本改革の時期を迎えており、診療報酬体系、薬価制度、高齢者医療制度等のあり方について活発な議論が行われている。

社会保障制度概論(35)

2010 年 1 月 27 日 水曜日

<加算による政策誘導>

例:一般病棟入院基本料への加算

入院患者の入院期間に応じ、次に掲げる点数をそれぞれ1日につき所定点数に加算する。

  イ 14日以内の期間                428点(特別入院は300点)

  ロ 15日以上30日以内の期間      192点(  〃  155点)

 

規定する算定要件を満たす場合に加算する。

(入院初日)                    1日につき)

地域医療支援病院入院診療加算 入院時医学管理加算

臨床研修病院入院診療加算   救急医療管理加算・乳幼児救急医療管理加算

超急性期脳卒中加算      新生児入院医療管理加算 乳幼児加算・幼児加算

妊産婦緊急搬送入院加算    難病等特別入院診療加算

在宅患者応急入院診療加算   超重症児()入院診療加算・準超重症児()入院診療加算

診療録管理体制加算      看護配置加算 看護補助加算

医師事務作業補助体制加算   地域加算 離島加算

がん診療連携拠点病院加算   療養環境加算 小児療養環境特別加算

医療安全対策加算       重症者等療養環境特別加算

後期高齢者外来患者緊急入院診療加算

(入院中1回)        HIV感染者療養環境特別加算

褥瘡患者管理加算       二類感染症患者療養環境特別加算

ハイリスク褥瘡患者管理加算  無菌治療室管理加算

退院調整加算         放射線治療病室管理加算

後期高齢者総合評価加算    緩和ケア診療加算

(退院時1回)        栄養管理実施加算

後期高齢者退院調整加算    ハイリスク妊娠管理加算

退院調整加算2        ハイリスク分娩管理加算

社会保障制度概論(34)

2010 年 1 月 26 日 火曜日

<人員配置基準>

[医療法による人員配置基準]

医師          看護職員・看護補助者               薬剤師

一般病床        16:1         3:1(看護職員)               70:1

療養病床(病院)48:1 6:1(看護職員) 6:1(看護補助者) 150:1

<病院の標準医師数の算定方法>

一般病床の入院患者と、療養病床の入院患者を3で除した数と、外来患者を2.5で除した数の合計数(特定数)が、52までは3人。

52を超える場合は、特定数から52を減じた数を16で除した数に3を加えた数。

 

(一般病床の入院患者+療養病床の入院患者/3+外来患者/2.5-52)/16+3

 

(療養病床の比率が50%を超える場合、「52までは3」は「36までは2」となり、計算式の末尾も「/16+3」は「/16+2」となる。)

常勤医師は1人とし、非常勤医師は全員の1週間の勤務時間を積み上げた上で、当該病院の医師の通常の勤務時間で換算した数とする(常勤換算)。

 

<病院の標準看護職員数の算定方法>

下記のAとBを足した数

A:一般病床の入院患者÷3+療養病床の入院患者÷6

(端数は切り上げ)

B:外来患者≦30→1人(31人以上の場合は、30又はその端数を増すごとに1)

 

「診療報酬請求上の人員配置(看護職員配置)」例:一般病棟入院基本料(1日につき)

7対1入院基本料   1,555点(19日以内)正看護師比率70%以上

 10対1入院基本料   1,300点(21日以内)   〃   〃

 13対1入院基本料   1,092点(24日以内)   〃   〃

 15対1入院基本料     954点(60日以内)   〃  40%以上

  特別入院基本料        575点

71」「101」などは、患者に対する看護配置を示し、たとえば「71」とは、1日24時間を平均して、患者7人に1人の看護職が勤務していることをさす。

入院患者50名の病棟で、一人の看護職員が提供する1カ月の看護時間を150時間程度と想定した試算での看護職員配置数は、概ね次の通り。

7対1で37人、10対1で25人、13対1で20人、15対1で17人。

療養病棟は、看護職員25対1以上(重症者は20対1以上)、看護補助者 25対1以上(重症者は20対1以上)。結核病棟、精神科病棟についても基準あり(略)。

社会保障制度概論(33)

2010 年 1 月 25 日 月曜日

<医師不足対策>

「医師事務作業補助者」(医療クラーク)について

「医師事務作業補助体制加算」(平成20年度の診療報酬改定において新設)に対応した業務を行う者で、通称、医療クラーク、ドクターズクラーク®(「医師事務作業補助技能認定試験」(日本医療教育財団)による資質証明者)など。

民主党マニフェスト:

《病院勤務医が診療のみならず、診断書や意見書、紹介状の作成など事務手続きをしなければならないことにより、医師不足に拍車がかかっていることから、医師の事務を分担する医療事務員(医療クラーク)の導入を支援します。》

民主党「適切な医療費を考える議員連盟」の決議文「医療崩壊を防ぐための緊急提言」:

《低迷する日本経済の現状において、新たなる「雇用の創出」が喫緊の課題です。私たちは医療分野において、勤務医・看護師等の過重労働を軽減する効果に繋がる「医療クラーク」等の増員を提唱します。具体的には、「医療クラーク」の10万人の増員を目指し、厚生労働省予算である「緊急雇用創出事業」の中で2000億円を確保し、新規医療クラーク10万人分の半年分を手当てする事を要望します。》

平成22年4月の診療報酬改定の論点:

《医師事務作業補助体制加算について、より多くの医師事務作業補助者を配置した場合の評価を設けるとともに、評価の引上げ及び要件の緩和を行う。》

 

(医師事務作業補助体制加算の診療報酬上の扱い)

医師事務作業補助体制加算(入院初日)

 ① 25対1補助体制加算 355点、② 50対1補助体制加算185点

 ③ 75対1補助体制加算 130点、④100対1補助体制加算105点

(対届出一般病床数比での医師事務作業補助者の配置数による)

病院勤務医の負担軽減を図るため、地域の急性期医療を担う病院(特定機能病院を除く。)において、医師の事務作業を補助する職員を配置している場合の評価。

(参考:診療録管理体制加算(入院初日)30点)

<医師事務作業補助者の業務範囲>

1 . 診断書などの文書作成補助、診療記録への代行入力、医療の質の向上に資する事務作業(診療に関するデータ整理、院内がん登録等の統計・調査、医師の教育や臨床研修のカンファレンスのための準備作業等)並びに行政上の業務(救急医療情報システムへの入力、感染症のサーベイランス事業等)への対応を医師の指示の下に行う。

2 . 医師以外の職種の指示の下に行う業務、診療報酬の請求事務、窓口・受付業務、医療機関の経営、運営のための基礎データ収集業務、看護業務の補助並びに物品運搬業務等については行わないこと。→専従者要件

業務に就くための必須資格はなし。

ただし、医師事務作業補助職を配置してから6ヵ月以上(32時間以上の基礎知識習得研修を含む)の研修期間が必要。

<基礎知識習得研修の内容>

ア 医師法、医療法、薬事法、健康保険法等の関連法規の概要

イ 個人情報の保護に関する事項

ウ 医療機関で提供される一般的な医療内容及び各配置部門における医療内容や用語等

エ 診療録等の記載・管理及び代筆、代行入力

オ 電子カルテシステム(オーダリングシステムを含む。)

 

多くの団体が、「32時間以上の基礎知識習得研修」プログラムを提供中。

例:()全日本病院協会 医師事務作業補助者研修プログラム

Ⅰ.集合研修プログラム

60 分)医師事務作業補助業務について

60 分)医療関連法規

「医療法」「医師法」「保険師助産師看護師法」「感染症法」「身体障害者福祉法」

「高齢者の医療の確保に関する法律」「介護保険法」

60 分)医療保険制度

「健康保険法」「国民健康保険法」「保険医療機関及び保険医療養担当規則」

「労働者災害補償保険法」「自動車損害賠償保障法」

50 分)演習問題  医療関連法規・医療制度

120 分)薬学一般

「薬事法」「薬剤師法」「麻酔及び向精神薬取締法」等、医薬品の基礎知識、

消化器系・循環器系に作用する薬物

30 分)医学一般Ⅰ 受診から診断までのフローチャート

120 分)医学一般Ⅱ 各種疾患と治療法、消化器系・循環器系

90 分)診療録の記載事項

      電子カルテ・カルテ三原則、診療録記載の基本的事項、電子カルテの基本

50 分)演習問題カルテ作成

 (120 ) 各種診断書・証明書・申請書カルテ症例から診断書、証明書を作成

50 分)演習問題診断書・証明書等作成

60 分)個人情報保護法医療機関における個人情報の取扱い

(45 分) 安全管理医療安全管理概論

60 分)確認問題研修全講義の確認問題

60 分)×8【集合研修レポート】

60 分)×8【病院内研修レポート】

 

本学では、これらの内容について、32時間という短時間ではなく、4年間みっちりと教育しています。

社会保障制度概論(32)

2010 年 1 月 12 日 火曜日

<公的年金制度>

公的年金は、老後の所得保障の主柱として、高齢者の老後生活を実質的に支えていくことをその役割としています。

年金(老齢、障害、遺族)=国民年金+厚生年金(被用者年金)

国民年金:すべての国民に共通する基礎年金

厚生年金:報酬比例(加入期間とその間の収入の平均に応じて計算)の年金

国民年金、厚生年金に加入すれば年金手帳が交付され、加入する年金制度が変わっても1人の人が一生をとおして使用する基礎年金番号が発行されます。

日本国内に居住している20歳から60歳までの方は、国民年金の被保険者です。

国民年金の被保険者は職業などによって3つのグループに分かれており、それぞれ加入手続きや保険料の納付方法が違います。

第1号被保険者 学生・自営業者等

第2号被保険者 会社員・公務員等

第3号被保険者 第2号被保険者の被扶養配偶者

20歳から60歳になるまでの40年間の全期間保険料を納めた方は、65歳から満額の老齢基礎年金が支給されます。

60歳までに老齢基礎年金の受給資格期間(25年)を満たしていない場合や、40年の納付済期間がないため老齢基礎年金を満額受給できない場合であって、厚生年金・共済組合に加入していないときは、60歳以降(申出された月以降)でも任意加入することができます。

1.年金額を増やしたい方は65歳までの間

2.受給資格期間を満たしていない方は70歳までの間

 

また、外国に居住する20歳以上65歳未満の日本人も任意加入することができます。

(参考)学生納付特例申請

学生で本人の前年所得が一定額以下の場合には、申請により保険料の納付が猶予されます。

学生納付特例期間については、10年以内であれば保険料をさかのぼって納めること(追納)ができます。追納すれば、将来受け取る年金額を増額することができます。

 

平成22年1月1日、日本年金機構(Japan Pension Service)が発足しました。

非公務員型の特殊法人で、本部・地方ブロック本部(9か所)・年金事務所(312か所)で構成される組織です。

業務内容は、国(厚生労働大臣)から委任・委託を受け、公的年金に係る一連の運営業務(適用・徴収・記録管理・相談・裁定・給付など)を担うことです。

国(厚生労働省)が財政責任・管理運営責任を負いつつ、一連の業務運営は日本年金機構に委任・委託されます。

社会保障制度概論(31)

2010 年 1 月 11 日 月曜日

<労働保険>

労働保険=労働者災害補償保険(一般に「労災保険」といいます。)+雇用保険

 

労災保険:労働者が業務上の災害や通勤による災害を受けた場合に被災労働者や遺族を保護するために必要な保険給付を行うもの。労働者の福祉の増進を図るための事業も行う。

雇用保険:事業主には、従業員の採用、失業の予防等の措置に対し、一定の要件を満たすと各種助成金等が支給される。従業員が失業した場合、失業給付金等が支払われる。

 

保険給付は、両保険制度で個別に行われていますが、保険料の徴収等については労働保険として一体のものとして取り扱われています。(例外=二元適用事業)

 

労働保険は、法人・個人を問わず労働者を一人でも雇っている事業主は必ず加入することが法律で義務付けられています。(例外=暫定任意適用事業:農林水産の事業のうち、常時使用労働者数が5人未満の個人経営の事業)

「労働者」には、パート、アルバイトも含みます。

 

労働保険の加入手続き:

・労働保険の保険関係成立届を所轄の労働基準監督署又はハローワークに提出。

・その年度分の労働保険料を概算保険料として申告・納付。

・雇用保険適用事業所設置届と雇用保険被保険者資格取得届を所轄のハローワークに提出。

 

労働保険料の計算方法

労働保険料は、労働者に支払う賃金の総額に保険料率(労災保険率+雇用保険率)を乗じて得た額です。

労災保険料分は全額事業主負担です。

雇用保険料分は事業主と労働者の双方負担です。

(労災保険率):事業の種類により賃金総額の3/1000から103/1000までに分かれています。

(雇用保険率)

             保険率 事業主負担率 被保険者負担率

一般の事業        11/1000    7/1000     4/1000

農林水産・清酒製造の事業 13/1000    8/1000     5/1000

建設の事業        14/1000    9/1000     5/1000

社会保障制度概論(30)

2010 年 1 月 7 日 木曜日

<健診制度とクリティカルパス>

生活習慣病のうちメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に着目した健診制度(特定健康診査・特定保健指導)が平成20年度に始まりました。

保険者(健康保険組合、国民健康保険など)に対し、4074歳の加入者を対象とした健康診査(特定健康診査)および保健指導(特定保健指導)の実施が義務付けられています。

生活習慣病は、内臓脂肪の蓄積が原因となっていることが多く、肥満に加えて、高血糖、高血圧といった状態が重複した場合には、脳血管疾患などの発症リスクが高くなります。

内臓脂肪は、適度な運動とバランスの取れた食事により減らしていくことが可能です。

メタボリックシンドローム該当者とその予備群について、運動指導や食生活の改善を行うことは、生活習慣病の予防につながります。

それまでの健診は、個々の病気の早期発見・早期治療を目的にしたものでした。

特定健康診査は生活習慣病の予防を図ることを目的としています。

特定健康診査の結果から、生活習慣病の発症リスクが高く、生活習慣の改善による予防効果が期待できる者に対して、生活習慣を見直すサポート(特定保健指導)が行われます。

特定保健指導は、リスクに応じて、「動機付け支援」と「積極的支援」に分類されます。

「動機付け支援」は、原則1回の支援を行います。

支援方法は、個別もしくはグループとなります。

個別面接であれば、最低20分以上の支援(個別支援)を行い、グループ(8人以下)面接の場合には、最低80分以上の支援(グループ支援)となります。

「積極的支援」は、「動機付け支援」と同様の初回の支援を行った後、継続的に3か月以上の支援を行います。

具体的な支援方法としては、個別支援、グループ支援に加え、電話、e-mailFAXなどを効果的に組み合わせることとされています。

「動機付け支援」および「積極的支援」の初回の面接においては、医師、保健師、管理栄養士が、対象者とともに、対象者個々人の生活習慣を振り返り、減量や運動などの個別の行動目標を設定します。

行動目標を達成するために、対象者が取り組むことができる範囲で必要となる行動計画を作成し、その目標達成に向けたサポートを行います。

積極的支援(一定の基準を満たす場合)の特定健診・特定保健指導にかかる自己負担額は医療費控除の対象になります。

健診受診率がどれほど上がっても、健診後のフォローがなければ健診の意義が薄れます。

他の健診(がん検診、職域健診、学校保健健診、母子保健健診など)についても同じです。

医療でも、クリティカルパス(治療計画の作成とサポート)が治療効果を左右します。

断面的(その場かぎり)に健診や診療を行えばよしとされる時代ではなくなりました。

 

[関係法令、通知等]

・「高齢者の医療の確保に関する法律」

・「高齢者の医療の確保に関する法律施行令

・「特定健康診査及び特定保健指導の実施に関する基準」

・特定健康診査・特定保健指導に関する通知

・「特定健康診査等基本指針」

・特定健康診査・特定保健指導の円滑な実施のために関係者に対し周知を徹底すべき事項

・特定健康診査・特定保健指導に対する国庫負担(補助)について

 

法令・通知等を噛み砕いて解説したものも多数あります。

[特定健康診査・特定保健指導に関する各種資料]

・「特定健康診査・特定保健指導の円滑な実施に向けた手引き」

・「特定健康診査等実施計画作成の手引き」

・「標準的な健診・保健指導に関するプログラム」

・「保険者による健診・保健指導の円滑な実施方策に関する検討会」

・「医療保険者が保健指導を委託する際の委託先の保健指導の質の評価ガイド」

・「特定健康診査・特定保健指導に関するQ&A集」

   40歳未満、75歳以上が除外されているのは? → ハイリスクアプローチ

   保険料未納者は対象となるのか? → なる

   生活保護世帯の健診・保健指導は? → 健康増進法に基づき市町村が実施

人間ドック受診者の扱いは? → 結果証明書面があれば特定健診受診扱い

特定健診にがん検診を併せて実施する場合は?→  がん検診等の健康増進法による市町村の健康増進事業の同時実施は、保険者と連携を図りつつ実施

特定健診の精度管理は? → 健診実施者(保険者)が行う

医者嫌いを理由に健診未受診である不健康者と、正しい生活習慣に努め健康体

でいる者を差別化するため国保料を増減させることができるか? 

→ 健診未受診者が必ずしも不摂生な生活習慣を送っているとはいえない

健診未受診者のみの国保料を上げることはできない

   特定健康診査を受けずに、特定疾病になった場合、被保険者に対してペナルティ(給付の制限)のようなことは考えているか。 → 考えていない

「腹囲測定」がなされていない場合 → 特定健診未実施扱いとする

「喫煙歴聴取」がなされていない場合 → 特定健診未実施扱いとする

 

  などなど、きめこまかなQ&Aがネット上に公開されています。

福祉国家元年

2010 年 1 月 1 日 金曜日

平成22年度厚生労働省所管予算額(案)は27兆5561億円です。

うち社会保障関係費は27兆793億円で政府一般歳出の半分を超えました(51%)。

前年度予算額は25兆1568億円(うち社会保障関係費は24兆6522億円)でしたので、2兆4千億円増えたことになります。

社会保障関係費の内訳は次の通りです。

年金 101,354億円(37.4%

医療  94,594億円(34.9%

福祉等 50,780億円(18.8%

介護  20,803億円( 7.7%

雇用  3,262億円( 1.2%

これらの項目のうち、前年度より大きく伸びたのは「福祉等」です。

子ども手当が計上されたためですが、満額支給の来年度は更に伸びることになります。

社会保障関係費が政府一般歳出の半分以上を占めるような国であれば、「福祉国家」だと堂々と胸を張ることができます。

国民にその実感や誇りが持てないのであれば、どこかに予算と現実とのミスマッチがあるのかもしれません。

本年を、後世、福祉国家元年と言える年にしたいものです。

社会保障制度概論(29)

2009 年 12 月 26 日 土曜日

<生活習慣病対策>

日本人の死因は、がん(30%)、心臓病(16%)、脳血管疾患(11%)の3大死因で57%を占めています。

これらの病気は40歳前後から加齢とともに罹患率が高くなるため、成人病と称されていました。

がんは喫煙や食生活習慣が危険因子として関与しており、心臓病と脳血管疾患については生活習慣が発症原因に深く関与している下地となる病気(糖尿病・脂質異常症・高血圧・高尿酸血症)がありますので、これらの病気と成人病は、生活習慣病と総称されています。

なお、高血糖・脂質異常・高血圧と肥満が複合する状態はメタボリックシンドロームと総称されています。

高血圧症も高脂血症もそれぞれ3千万人以上、糖尿病は7百万人以上と推定されており、人口のほぼ半分が生活習慣病です。

成人男性の5人に1人は高尿酸血症です。

中年男性の3人に1人、中年女性の4人に1人は肥満です。

これらは、すべて、死亡リスクを高めます。

死亡リスク要因は、喫煙(1.92倍)、糖尿病(1.64倍)、高血圧(1.55倍)、メタボリック症候群(1.36倍)、高コレステロール血症(1.10倍)です。

生活習慣病そのものよりも、喫煙のほうがリスク要因として大きいようです。

喫煙は、ほとんどすべての生活習慣病の下地です。

生活習慣病対策には次の3つの段階があります。

一次予防:生活習慣を改善して健康を増進し、生活習慣病等を予防すること

二次予防:健康診査等による早期発見・早期治療

三次予防:疾病が発症した後、必要な治療を受け、機能の維持・回復を図ること

これらのうち、特に一次予防の重要性に着目し、「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」が推進されています。

また、平成15年には、「健康増進法」が成立し、「健康日本21」に法的根拠(第7条:国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針)が与えられています。

公共施設での喫煙制限は、健康増進法に基づく規制です。

社会保障制度概論(28)

2009 年 12 月 23 日 水曜日

<母子保健対策>

母子保健法等に基づいて、あらゆる時点をとらえた対策が行われています。

(結婚前)

  思春期クリニック

  健全母性育成事業

  婚前学級

(結婚後)

  新婚学級

  遺伝相談

不妊専門相談センター

特定不妊治療費助成事業

(妊娠後)

  妊娠の届出

  母子健康手帳の交付

両親学級

海外在留邦人母子保健情報提供事業

妊産婦健康診査

保健師等による訪問指導

母子栄養管理事業

出産前小児保健指導事業

妊娠中毒症等の療養援護

(周産期)

  出産前後ケア事業

  B型肝炎母子感染防止対策

産科医療、周産期医療、小児科医療体制の整備

周産期医療ネットワーク

(新生児期)

  未熟児養育医療

  先天性代謝異常、クレチン症検査

  新生児聴覚検査

(乳幼児期~)

  乳幼児健康診査、1歳6か月児健康診査、3歳児健康診査

育児学級、共働き家庭子育て休日相談事業、育成等健康支援事業

  医療給付(障害早期治療、小児慢性特定疾患)

  療育指導事業

社会保障制度概論(27)

2009 年 12 月 21 日 月曜日

<感染症対策>

有史以前から抗生物質の普及(1929年にペニシリン登場)まで、ヒトの病気の大部分は感染症でした。

今日でも、世界の死因の約4分の1は感染症(マラリア・結核・AIDS・腸管感染症など)で、途上国の開発上の大きな課題です。

先進国においても、新興感染症・再興感染症、多剤耐性菌の蔓延、バイオテロの脅威、免疫抑制状態の患者の日和見感染など、課題山積です。

日本では、「伝染病予防法」、「性病予防法」、「エイズ予防法」が統合され、1999年度から「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(感染症法)が施行されています。

感染症には多様な分類方法があります。

(感染様式からの分類)

内因感染:宿主の免疫力低下により、常在微生物により症状を起こす場合。

・・・日和見感染、異所性感染

外因感染 :生体外から進入した微生物による感染。さらに感染経路により分類。

(病原微生物の種類による分類)

寄生虫、細菌、真菌、ウイルス、異常プリオン等

(病態からの分類)

一次感染と二次感染

局所感染と全身感染

持続感染

不顕性感染、潜伏感染

(法律上の分類)

感染症法では以下のような分類がなされています。

一類感染症 :危険性が極めて高い。建物の立入制限・封鎖、交通の制限

二類感染症 :危険性が高い。入院の勧告・措置

三類感染症 :集団発生のリスク。受診勧告、就業制限、生活用水の使用制限

四類感染症 :動物、飲食物を介して感染。消毒、駆除、動物の輸入禁止・輸入検疫

五類感染症 :発生動向調査により拡大を防止。

新型インフルエンザ等感染症

指定感染症

新感染症

分類ごとに、届出などのルールが異なります。

感染源を早く発見し、感染ルートを断ち切ることが感染症対策の基本ですが、差別・偏見との闘いも同時に求められています。

社会保障制度概論(26)

2009 年 12 月 15 日 火曜日

《医療計画(基準病床数等)》

都道府県には病院の許認可権がありますので、医療計画で定めた「基準病床数」が重要な意味を持つことになります。

医療圏内の基準病床数を超えるような増床申請は認められません。

基準病床数は次のように定められます。

一 療養病床及び一般病床:特定の式によりそれぞれの病床の種別に応じ算定した数の合計数。

二 精神病床:特定の式により算定した数。

三 結核病床 都道府県の区域ごとに都道府県知事が定める数

四 感染症病床 都道府県の区域ごとに都道府県知事が定める数

ただし、山間地、離島等の交通条件に恵まれない地域において病院の病床又は診療所の療養病床の確保が必要になる場合など、厚生労働大臣が認める事情があれば基準病床数を超えても許認可がなされます。

以下のような特別な医療についても例外的に取り扱われます。

一 専らがんその他の悪性新生物又は循環器疾患に関し、診断及び治療、調査研究並びに医療関係者の研修を行う病院又は診療所の病床並びにこれに準ずる機能及び性格を有する病院又は診療所の病床(高度ながん診療施設又は循環器疾患診療施設が不足している地域における高度ながん診療又は循環器疾患診療を行う病院又は診療所の当該機能に係る病床に限る。)

二 専ら小児疾患に関し、診断及び治療、調査研究並びに医療関係者の研修を行う病院又は診療所並びにこれに準ずる機能及び性格を有する病院又は診療所の当該機能に係る病床

三 専ら周産期疾患に関し、診断及び治療、調査研究並びに医療関係者の研修を行う病院又は診療所並びにこれに準ずる機能及び性格を有する病院又は診療所の当該機能に係る病床

四 専らリハビリテーションに関し、診断及び治療、調査研究並びに医療関係者の研修を行う病院又は診療所並びにこれに準ずる機能及び性格を有する病院又は診療所の当該機能(発達障害児の早期リハビリテーションその他の特殊なリハビリテーションに係るものに限る。)に係る病床

五 救急医療体制において不可欠な診療機能を有する病院又は診療所の当該機能に係る病床

六 アルコールその他の薬物による中毒性精神疾患、老人性精神疾患、小児精神疾患その他厚生労働大臣の定める疾患に関し、特殊の診療機能を有する病院の当該機能に係る病床

七 神経難病にり患している者を入院させ、当該疾病に関し、診断及び治療並びに調査研究を行う病院又は診療所の当該機能に係る病床

八 専ら末期のがんその他の悪性新生物の患者を入院させ、緩和ケアを行う病院又は診療所の当該機能に係る病床

九 病院又は診療所の建物の全部又は一部、設備、器械及び器具を当該病院又は診療所に勤務しない医師又は歯科医師の診療、研究又は研修のために利用させる病院又は診療所の当該機能に係る病床

十 後天性免疫不全症候群に関し、診断及び治療、調査研究並びに医療関係者の研修を行う病院又は診療所の当該機能に係る病床

十一 新興感染症又は再興感染症に関し、診断及び治療、調査研究並びに医療関係者の研修を行う病院の当該機能に係る病床

十三 治験を行う病院又は診療所の当該機能に係る病床

十四 診療所の病床(平成十年三月三十一日に現に存する病床に限る。)を転換して設けられた療養病床

 

また、以下の病床についても、特別な病床数算定がなされます。

一 特定の対象者の診療のみを行う病院若しくは診療所

二 放射線治療病室の病床、無菌病室の病床又は集中強化治療室若しくは心疾患強化治療室の病床であつて、当該病室の入院患者が当該病室における治療終了後の入院のために専ら用いる他の病床が同一病院内に確保されているもの。(算定しない)

三 介護老人保健施設の入所定員については、当該介護老人保健施設の入所定員数に〇・五を乗じて得た数を療養病床又は一般病床に係る既存の病床の数として算定する。

四 ハンセン病療養所である病院の病床。(算定しない)

五 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律の規定による病院の病床。(算定しない)

社会保障制度概論(25)

2009 年 12 月 14 日 月曜日

《医療計画(医療圏)》

医療法により、都道府県は厚生労働大臣が定めた基本方針に即し、地域の実情に応じて、医療提供体制の確保を図るための計画(「医療計画」)を定めるものとされています。

都道府県は、少なくとも5年ごとに目標の達成状況などについて、調査、分析及び評価を行い、必要があると認めるときは、医療計画を変更します。

「医療計画」では、次の事項が定められます。

一 都道府県において達成すべき第四号及び第五号の事業の目標

二 第四号及び第五号の事業に係る医療連携体制

三 医療連携体制における医療機能に関する情報の提供の推進

四 生活習慣病その他の厚生労働省令で定めるもの(がん、脳卒中、急性心筋梗塞及び糖尿病)の治療又は予防に係る事業

五 次に掲げる医療の確保に必要な事業

イ 救急医療

ロ 災害時における医療

ハ へき地の医療

ニ 周産期医療

ホ 小児医療(小児救急医療を含む。)

ヘ 都道府県における疾病の発生の状況等に照らして特に必要と認める医療

六 居宅等における医療の確保

七 医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療従事者の確保

八 医療の安全の確保

九 地域医療支援病院の整備の目標その他医療機能を考慮した医療提供施設の整備の目標

十 主として病院の病床及び診療所の病床の整備を図るべき地域的単位として区分する区域の設定

十一 主として厚生労働省令で定める特殊な医療(先進的な技術を必要とするもの、特殊な医療機器の使用を必要とするもの、発生頻度が低い疾病に関するもの、救急医療であつて特に専門性の高いもの)を提供する病院の療養病床又は一般病床であつて当該医療に係るものの整備を図るべき地域的単位としての区域の設定

十二 療養病床及び一般病床に係る基準病床数、精神病床に係る基準病床数、感染症病床に係る基準病床数並びに結核病床に係る基準病床数

十三 前各号に掲げるもののほか、医療提供体制の確保に関し必要な事項

 

十および十一が「医療圏」の設定です。

医療計画は、医療圏をひとつの基本単位として策定されます。

南部の人たちが北部の医療機関を利用することは稀であり、北部の人たちが南部を利用することも稀である場合、この地域全体を医療圏として北部に偏った医療提供体制を充実させても南部への恩恵はありません。

こういう場合は、北部と南部とを分離して医療圏を設定すべきでしょう。

法的には「地理的条件等の自然的条件及び日常生活の需要の充足状況、交通事情等の社会的条件を考慮して、一体の区域として病院及び診療所における入院に係る医療を提供する体制の確保を図ることが相当であると認められるものを単位として設定すること」とされています。

医療圏の広がりは、一次医療圏は市町村単位、二次医療圏は保健所単位、三次医療圏は県単位といったイメージです。

厳密には患者の圏内外の出入りを統計的に分析して医療圏の境界が定められます。

患者の受療行動は交通網に依存しますので、実質的な医療圏が行政的な単位と一致するとは限りませんが、どこかで行政的に割り切って線引きがなされることになります。

近年は広域合併によって市のサイズが広大となってきていますが、医療圏が市を分断する例はあまり聞きません。

県を跨って医療圏が設定された例もあまり聞きませんが、法的には「都道府県の境界周辺の地域における医療の需給の実情に応じ、二以上の都道府県の区域にわたる区域を設定することができる」とされています。

医療圏では、医療提供施設(病院、診療所、介護老人保健施設等)に医療連携体制の構築が求められます。

たとえば病院は、医療計画の達成の推進のため、建物の全部又は一部、設備、器械及び器具を病院に勤務しない医師、歯科医師又は薬剤師の診療、研究又は研修のために利用させるように努めるものされています。

社会保障制度概論(24)

2009 年 12 月 8 日 火曜日

<へき地医療体制>

へき地医療とは、交通条件及び自然的、経済的、社会的条件に恵まれない山間地、離島その他の地域のうち、医療の確保が困難である地域の医療をいいます。

無医地区とは、医療機関のない地域で、当該地域の中心的な場所を起点として概ね半径4キロメートルの区域内に人口50人以上が居住している地域であって、かつ、容易に医療機関を利用できない地区のことをいいます。

無歯科医地区は同様に歯科医療機関がない地域のことです。

無医地区に準じる地区は、既に診療所が開設されているか、または人口が50人未満であるために、無医地区には該当しないが、無医地区に準じた医療の確保が必要な地区であると都道府県知事が判断した地区のことをいいます。

へき地診療所は、へき地医療を確保するため、人口1000人以上で、最寄りの医療機関まで通常の交通機関を利用して30分以上要する無医地区に設置された診療所のことをいいます。

 

へき地医療の3要素は、

1.医師を確保する方策

2.医療を確保する方策

3.診療を支援する方策

で、以下の各機関が実施しています。 

[(社)地域医療振興協会]

各へき地医療支援機構間の連携のサポート

へき地関連の支援

・医療従事者の求人募集

・へき地勤務者、支援者となる人材の発掘

・へき地医療従事者研修

・へき地医療の普及・啓発

・医師バンクの整備

[へき地医療支援機構]

へき地医療支援事業の企画調整

・協議会を通じて確保された医師の配置計画

・都道府県で策定したへき地に関する診療支援体制の実施

・へき地からの意見、情報等を集約し、都道府県、協議会への報告

[へき地医療拠点病院]

へき地医療支援機構のもとでのへき地診療所の支援

巡回診療

代診医の派遣

[へき地診療所]

無医地区、準無医地区における地域住民への医療の提供

[へき地保健指導所]

無医地区、準無医地区での保健指導

[大学医学部附属病院、公的病院等の地域医療で一定の役割を果たすべき病院]

定期的な医療の提供

[医師会等の医療関係者団体]

必要に応じて、へき地医療を支えるための協力

[搬送体制]

社会保障制度概論(23)

2009 年 12 月 7 日 月曜日

<救急医療体制>

救急医療の3要素

1.応急処置 ・・・ 市民

   気道確保、人工呼吸、心臓マッサージ

   AED(自動体外式除細動器)

   通報

2.搬送   ・・・ 消防

   受入先探索

   トリアージ

   救命処置 ・・・ 救急救命士

輸液ルート確保、

食道閉鎖式チューブ等による気道確保

電気的除細動

気管挿管(気管挿管認定救急救命士)

強心剤(アドレナリン)の薬剤投与(薬剤投与認定救急救命士)

3.診療   ・・・ 医療機関

初期救急医療(外来で対処しうる患者への対応)・・・市町村が整備

在宅当番医制(休日)

休日歯科診療所

休日夜間急患センター(人口5万人以上の市に1つ)

小児初期救急センター

二次救急医療(入院治療を必要とする重症患者への対応)・・・都道府県が整備

中規模救急病院

病院群輪番制

センター方式/共同利用型病院

小児救急医療支援事業

小児救急医療拠点病院

地域周産期母子医療センター

三次救急医療(高度な処置を必要とする重篤な患者への対応)

救命救急センター(人口100万人に1か所/各県1か所)

高度救命救急センター(広範囲熱傷や指肢切断、急性中毒等への対応)

新型救命救急センター

総合周産期母子医療センター

(参考:九州の救命救急センター)

[福岡県]久留米大学病院、北九州市立八幡病院、済生会福岡総合病院、飯塚病院、福岡大学病院、北九州総合病院、九州大学病院、聖マリア病院

[佐賀県]佐賀県立病院好生館、佐賀大学医学部附属病院、唐津赤十字病院

[長崎県]国立病院機構長崎医療センター

[熊本県]熊本赤十字病院、国立病院機構熊本医療センター

[大分県]大分市医師会立アルメイダ病院、大分大学医学部附属病院、大分県立病院、新別府病院

[宮崎県]県立宮崎病院、県立延岡病院

[鹿児島県]鹿児島市立病院

[沖縄県]沖縄県立中部病院、浦添総合病院、沖縄県立南部医療センター・こども医療センター

(九州の高度救命救急センター)

久留米大学病院高度救命救急センター

 

久留米市(人口30万人)の救急医療体制は突出して充実しています。

社会保障制度概論(22)

2009 年 12 月 2 日 水曜日

<医療の需要と供給 3>

医療を構成する要素のうち、医師の需要と供給について考えてみます。

毎年、約7700人の医師が誕生していますので、退職などを差し引くと、年間4000人弱の増加があります。

厚生労働省は、2006年7月に『医師の需給に関する検討会報告書』を出しています。

その後、医師の追加養成不要の論拠とされ評判は良くありませんが、専門家が真剣に分析検討した結果ですので、闇に葬るのは早計です。

この報告書では、受療動向の推計と人口構成の推計から将来の医療需要を推計し、これに見合う医師数を将来の必要医師数としています。

報告書によると、医師の労働時間を週48時間以内に抑えた場合、平成16年において、医療施設に従事する医師数が25.7 万人(病院勤務16.4 万人、診療所勤務9.3 万人)であるのに対し、必要医師数は26.6 万人と推計され、9000人の医師不足でした。

しかし、供給の伸びが需要の伸びを上回っており、平成34年には需要と供給が均衡するとされていますので、それ以降は医師過剰となります。

ただし、病院だけに着目すれば、病院の需要の伸びは供給の伸びを上回っており、病院勤務医の負担は、医師過剰になっても軽減されません。

病院は需要に対し供給過少、診療所は需要に対し供給過剰という未来図です。

これらの需給アンバランスを解消するためには、病院で勤務する医師の診療時間の4割が費やされている外来診療を積極的に診療所へシフトさせるか、病院勤務医の待遇を改善し医師が診療所へシフトしないようにするかの方策が必要です。

病院勤務医の需給アンバランスだけに着目して医師数を増やしても、結局は診療所の医師過剰に拍車をかけるだけになってしまうかもしれません。

マクロ的に医師過剰であれば、結果として、国全体の医療コストが増嵩します。

社会保障制度概論(21)

2009 年 11 月 30 日 月曜日

<医療の需要と供給 2>

市場原理では、需要が多くて供給が少なければ価格が高くなり、需要が少なくて供給が多ければ価格が低くなります。

医療の場合は全国一律の公定価格が設定されていますので市場原理は働きませんが、大局的には、供給が需要に及ばない医療については、診療報酬が高く設定されて供給誘導がなされているので、市場原理とまったく無縁であるわけでもありません。

しかし、需要の絶対量が多い病態(長期療養など)については、むしろ供給をためらうほど低い診療報酬が設定されたりもしています。

なお、医療の需要と供給とひとことで言っても、医療にはいろんな要素があり、要素ごとに分析する必要があります。

 

○○病医療の需要と供給

○○科医師の需要と供給

急性期病床の需要と供給

療養病床の需要と供給

新薬の需要と供給

後発薬の需要と供給

看護師の需要と供給

薬剤師の需要と供給

救急医療の需要と供給

へき地医療の需要と供給

  ・・・

 

要素ごとに、需給バランスは様々です。

社会保障制度概論(20)

2009 年 11 月 29 日 日曜日

<医療の需要と供給 1>

需要に対して供給が足りなければ、必要な医療が提供できない人が生まれます。

医療は人の生死に直結しているので、供給不足の事態は避けなければなりません。

対し、需要に対して供給が過剰であれば、供給体制を維持するためのコストが余計にかかってしまい、医療費の高騰を招いたり、不当な低コストでの経営を強いられたりします。

昨今の「医療崩壊」は、医療の需要と供給のミスマッチが表面化したものです。

では、医療の需要と供給とがぴったりとマッチした状態が理想かというと、そうとは言い切れないのが医療の難しいところです。

精緻な統計を取って医療需要の全体像を把握し、その需要にぴったり合った医療供給体制を整えたとすれば、専門医は労働時間をフル稼働で、病床は常に満床という、究極の効率的な医療が実現できますが、そういう医療は現実に対応できません。

医療需要には予測不能性があります。

いつ、どこで、救急患者や、専門的な治療を必要とする患者が出現するかわかりません。

病床が常に満床であれば、救急患者はどこも受け入れられません。

専門医がフル稼働であれば、新患を受け入れる余裕がありません。

では、予測不能性に対応するには、どのくらいのゆとりが必要でしょうか。

診療時間内に小児科医師が5人常勤しているような大病院を想定します。

彼らが90%稼働しているとすれば、救急の小児科患者が飛び込んできた場合、半々の確率(ゆとり10%×5=ゆとり50%)で、5人とも他の患者の診療に追われており、対処が遅れてしまうことになります。

急患の処置が遅れないためには、せめて20%のゆとりがほしいところです。

医療には、ある程度のゆとり(供給過剰状態)がなければならないのです。

ところが、医療費抑制が長く続くうちに、ゆとりが経営危機に直結するようになってきました。

どの病院も、医師を食事の時間も取れないほどフル稼働させ、病床利用率を100%に近づけるのに躍起です。

なお、医療には、供給が需要を喚起する側面があり、20%のゆとりをもった供給体制を構築しても、需要が喚起されてゆとりが縮小する傾向になります。

外科医師が多い地域では外科手術が多く、病床数が過剰な地域では入院患者数も多くなります。

社会保障制度概論(19)

2009 年 11 月 16 日 月曜日

<公費負担医療について>

医療に要する経費の大部分は医療保険制度によって支払われ、それ以外は自己負担が原則ですが、社会福祉や公衆衛生の観点から、国又は地方公共団体が特定の対象者に対して、公費によって次のような医療給付を行なっています。

1.(戦傷病者や原爆被爆者に対する医療など)国家補償的意味を持つ場合

2.(結核や一類・ニ類感染症に対する医療など)社会防疫的意味を持つ場合

3.(身体障害者への医療など)社会福祉的意味を持つ場合

4.企業活動に基づく公害病の場合

5.難病の治療、研究を目的とする場合

 

(主な公費負担医療制度)

子供の医療

養育医療:入院を要する未熟児に必要な医療

療育の給付:18歳未満の結核児童に入院治療

自立支援医療(育成医療):18歳未満の身体障害児に対する医療

小児慢性特定疾患の医療費助成:小児慢性疾患のうち治療が長時間にわたるもの(がん、ぜんそく、膠原病、血友病など)

身体障害者の医療

自立支援医療(更生医療):障害者の社会復帰のために必要な医療

結核の医療

適正医療:結核の一般患者の医療

命令入所:結核を伝染させるおそれが著しい患者の医療

精神障害の医療

自立支援医療(精神通院医療):精神障害者の通院医療

措置入院:自身または他人を傷つけるおそれのある患者の医療

感染症の医療

新感染症:都道府県知事が厚生労働大臣の指導・助言を得て個別に応急対応する感染症

一類感染症:ペスト、エボラ出血熱等の医療

二類感染症:コレラ、細菌性赤痢等の医療

特定疾患の医療:いわゆる「難病」のうち、原因不明、治療法未確立かつ後遺症を残す疾患(ベーチェット病、クローン病など)の医療、日常生活に著しい支障のある重症患者(スモン、劇症肝炎、重症急性膵炎、プリオン病など)の医療

予防接種被害の医療

救済措置:認定された健康被害者への医療

医薬品被害の医療:医薬品・生物由来製品が適正に使用されたにもかかわらず、有害な副作用により疾病となった者への医療

生活保護

医療扶助:生活困窮者の傷病への医療

戦傷病者の医療

療養の給付:軍人軍属などの公務上の傷病への医療

更生医療:戦傷病による障害者の社会復帰のために必要な医療

原爆被爆者の医療

認定疾病医療:原爆症の医療

一般疾病医療:被爆者の傷病に必要な医療

石綿による健康被害の救済

救済給付(医療費の支給):石綿による健康被害で指定疾病(中皮腫、肺がん)にかかった者で、労災補償等の対象にならない者

その他

麻薬中毒入院措置

中国残留邦人

心神喪失

肝炎治療特別促進事業

重度心身障害者医療費助成

ひとり親家庭医療

こども医療費助成

 

このほか、公費負担医療ではありませんが、自己負担がない医療として、公害病の医療があります。著しい大気汚染、水質汚濁の影響で指定疾病にかかった者への医療で、全額汚染原因者が負担します。

交通事故医療も、自動車保険でカバーされなければ、全額、加害者負担です。

社会保障制度概論(18)

2009 年 11 月 13 日 金曜日

<社会保障関係法規 6>

保険に関する法は8本あります。

社会保険審査官及び社会保険審査会法、社会保険診療報酬支払基金法、健康保険法、船員保険法、国民健康保険法、国民健康保険法施行法、高齢者の医療の確保に関する法律、社会保険医療協議会法

 

年金に関する法は18本あります。

厚生年金保険法、厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付に係る時効の特例等に関する法律、厚生年金保険の保険給付及び保険料の納付の特例等に関する法律、厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付の支払の遅延に係る加算金の支給に関する法律、確定給付企業年金法、確定拠出年金法、社会保障に関する日本国政府とフランス共和国政府との間の協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律、社会保障に関する日本国とベルギー王国との間の協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律、社会保障協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律、国民年金法、平成十二年度における国民年金法による年金の額等の改定の特例に関する法律、平成十四年度における国民年金法による年金の額等の改定の特例に関する法律、平成十五年度における国民年金法による年金の額等の改定の特例に関する法律、特定障害者に対する特別障害給付金の支給に関する法律、国民年金特別会計への国庫負担金の繰入れの平準化を図るための一般会計からする繰入れの特例に関する法律、石炭鉱業年金基金法、特別会計に関する法律、日本年金機構法

 

以上、日本の1791本の法律のうち、200本以上が社会保障関連法ということになります。

保健医療関係の仕事に従事すると、これらの半数以上と日常的な接点があります。

法を暗記する必要はありませんが、これらの法に馴染んでいることが保健医療の経営者には求められます。

社会保障制度概論(17)

2009 年 11 月 11 日 水曜日

<社会保障関係法規 5>

職業安定に関する法は11本あります。

職業安定法、雇用対策法、建設労働者の雇用の改善等に関する法律、港湾労働法、地域雇用開発促進法、雇用保険法、中小企業における労働力の確保及び良好な雇用の機会の創出のための雇用管理の改善の促進に関する法律、駐留軍関係離職者等臨時措置法、国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法、介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律

 

職業能力開発に関する法は2本あります。 

職業能力開発促進法、勤労青少年福祉法

 

労政に関する法は7本あります。

労働組合法、労働関係調整法、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律、地方公営企業等の労働関係に関する法律、特定独立行政法人等の労働関係に関する法律、電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律、会社分割に伴う労働契約の承継等に関する法律

 

労働基準に関する法は7本あります。

労働保険審査官及び労働保険審査会法、労働基準法、労働契約法、賃金の支払の確保等に関する法律、最低賃金法、労働時間等の設定の改善に関する特別措置法、社会保険労務士法

 

労働安全衛生に関する法は5本あります。

労働安全衛生法、労働災害防止団体法、作業環境測定法、炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法、じん肺法

 

労災補償に関する法は4本あります。

労働者災害補償保険法、失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律、石綿による健康被害の救済に関する法律、労働保険の保険料の徴収等に関する法律

 

勤労者生活に関する法は5本あります。

勤労者財産形成促進法、中小企業退職金共済法、労働金庫法、金融機関等の組織再編成の促進に関する特別措置法、金融機能の強化のための特別措置に関する法律

米国の医療保険制度改革

2009 年 11 月 10 日 火曜日

米国下院が、7日、医療保険制度改革法案を可決しました。

賛成220票

反対215票

僅差でした。

上院では、別の独自法案が審議され、それが可決されれば、二つの法案の妥協案(最終法案)が、再度、上下両院で審議されます。

最終法案が可決されれば、オバマ大統領の署名で、40年ぶりの大規模な医療保険制度改革が実現します。

個人の保険加入を義務づける皆保険制度の実現で、3600万人の無保険状態が解消されることになります。

ただし、小規模企業を除くすべての雇用主に従業員への医療保険提供が義務付けられ、富裕層への増税など、実現のために100兆円規模のコスト投入が必要となるようです。

医療保険制度改革への反対が根強いのは、このコスト負担の問題よりむしろ「民間セクターの事業に公が介入すること」への抵抗感だといわれています。

長い歪められた医療の歴史が、多くの米国人に、医療サービスは民間事業である、という意識を刷り込んでしまったのかもしれません。

社会保障制度概論(16)

2009 年 11 月 9 日 月曜日

<社会保障関係法規 4>

社会・援護に関する法は25本あります。

(社会)14本

社会福祉法、日本赤十字社法、赤十字の標章及び名称等の使用の制限に関する法律、生活保護法、災害救助法、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律、災害弔慰金の支給等に関する法律、行旅病人及行旅死亡人取扱法、消費生活協同組合法、民生委員法、ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法、社会福祉施設職員等退職手当共済法、社会福祉士及び介護福祉士法、武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律

(援護)11本

未帰還者留守家族等援護法、未帰還者に関する特別措置法、戦傷病者特別援護法、中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律、北朝鮮当局によって拉致された被害者等の支援に関する法律、戦傷病者戦没者遺族等援護法、引揚者給付金等支給法、戦没者等の妻に対する特別給付金支給法、戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法、戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法、戦没者の父母等に対する特別給付金支給法、

 

雇用均等・児童家庭に関する法は16本あります。

児童福祉法、次世代育成支援対策推進法、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律、家内労働法、児童虐待の防止等に関する法律、母子及び寡婦福祉法、児童扶養手当法、児童扶養手当法による児童扶養手当の額等の改定の特例に関する法律、児童手当法、平成十六年度における児童扶養手当法による手当の額等の改定の特例に関する法律、こどもの国協会の解散及び事業の承継に関する法律、母子保健法、母体保護法

 

高齢・障害者雇用に関する法は2本あります。

高年齢者等の雇用の安定等に関する法律、障害者の雇用の促進等に関する法律

社会保障制度概論(15)

2009 年 11 月 9 日 月曜日

<社会保障関係法規 3>

医薬に関する法は12本あります。

(運用法)11本

薬事法、毒物及び劇物取締法、有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律、麻薬及び向精神薬取締法、大麻取締法、あへん法、覚せい剤取締法、安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律、国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律、特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第Ⅸ因子製剤によるC型肝炎感染被害者を救済するための給付金の支給に関する特別措置法

(身分法)1本

薬剤師法

 

食品安全に関する法は8本あります。

食品安全基本法、食品衛生法、食品の製造過程の管理の高度化に関する臨時措置法、製菓衛生師法、と畜場法、食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律、牛海綿状脳症対策特別措置法、化製場等に関する法律

 

障害保健福祉に関する法は10本あります。

特別児童扶養手当等の支給に関する法律、障害者基本法、身体障害者福祉法、身体障害者補助犬法、知的障害者福祉法、発達障害者支援法、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律、障害者自立支援法、精神保健福祉士法、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律

 

老人保健福祉に関する法は7本あります。

老人福祉法、介護保険法、介護保険法施行法、高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律、福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律、地域における公的介護施設等の計画的な整備等の促進に関する法律、介護従事者等の人材確保のための介護従事者等の処遇改善に関する法律

社会保障制度概論(14)

2009 年 11 月 8 日 日曜日

<社会保障関係法規 2>

医政に関する法は20本あります。

(運用法)5本

医療法、救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保に関する特別措置法、外国医師等が行う臨床修練に係る医師法第十七条等の特例等に関する法律、死体解剖保存法、看護師等の人材確保の促進に関する法律

(身分法)15本

救急救命士法、医師法、診療放射線技師法、臨床検査技師等に関する法律、理学療法士及び作業療法士法、視能訓練士法、臨床工学技士法、義肢装具士法、言語聴覚士法、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律、柔道整復師法、歯科医師法、歯科衛生士法、歯科技工士法、保健師助産師看護師法

 

健康、衛生に関する法は29本あります。

(運用法)25本

健康増進法、がん対策基本法、公衆衛生修学資金貸与法、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律、地域保健法、保健所において執行される事業等に伴う経理事務の合理化に関する特別措置法、臓器の移植に関する法律、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律、検疫法、外国軍用艦船等に関する検疫法特例、予防接種法、ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律、ハンセン病問題の解決の促進に関する法律、狂犬病予防法、建築物における衛生的環境の確保に関する法律、墓地、埋葬等に関する法律、クリーニング業法、生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律、興行場法、旅館業法、公衆浴場法、公衆浴場の確保のための特別措置に関する法律、水道法、水道原水水質保全事業の実施の促進に関する法律、食育基本法

(身分法)4本

栄養士法、調理師法、理容師法、美容師法

社会保障制度概論(13)

2009 年 11 月 8 日 日曜日

<社会保障関係法規 1>

日本の法令の数(20086月末日現在)は、憲法 1、法律 1791 、政令 1836、府省令 3238 、その他(勅令、閣令、太政官布告) 92です。

日本国憲法、国家行政組織法、行政機関の職員の定員に関する法律、行政不服審査法、行政事件訴訟法、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律など社会保障に特化していなくても社会保障関係者に強い影響を及ぼす法規がたくさんありますが、今回は、社会保障に特に関係深い法規を列挙してみます。

(組織、機構に関する法)15本

厚生労働省設置法、独立行政法人国立健康・栄養研究所法、独立行政法人労働安全衛生総合研究所法、独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構法、独立行政法人福祉医療機構法、独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園法、独立行政法人労働政策研究・研修機構法、独立行政法人雇用・能力開発機構法、独立行政法人労働者健康福祉機構法、独立行政法人国立病院機構法、独立行政法人医薬品医療機器総合機構法、年金積立金管理運用独立行政法人法、独立行政法人医薬基盤研究所法、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構法、高度専門医療に関する研究等を行う独立行政法人に関する法律

(地域的特別措置に関する法)5本

小笠原諸島の復帰に伴う法令の適用の暫定措置等に関する法律、沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律、沖縄振興開発特別措置法、沖縄振興開発金融公庫法、沖縄振興特別措置法

(勅令)1本

人口動態調査令

(条約)14本

経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約、難民の地位に関する条約、難民の地位に関する議定書、子に対する扶養義務の準拠法に関する条約、がん原性物質及びがん原性因子による職業性障害の防止及び管理に関する条約、社会保障の最低基準に関する条約、世界保健機関憲章、千九百六十一年の麻薬に関する単一条約、向精神薬に関する条約、細菌兵器(生物兵器)及び毒素兵器の開発、生産及び貯蔵の禁止並びに廃棄に関する条約、化学兵器の開発、生産、貯蔵及び使用の禁止並びに廃棄に関する条約、社会保障に関する日本国とドイツ連邦共和国との間の協定、石綿の使用における安全に関する条約、職業上の安全及び健康を促進するための枠組みに関する条約

社会保障制度概論(12)

2009 年 11 月 6 日 金曜日

シッコ(Sicko)という映画がありました。

マイケル・ムーア監督で2007年に公開されたものです。

アメリカ合衆国の医療制度をテーマとしたドキュメンタリーです。

この映画によると米国の実情は、

・医療保険未加入者が約5千万人おり、医療費が払えないために命を失う人が多い。

・医療費が高額で、医療費のために財産を失う人も多い。

・公的医療保険制度では、治療費用を抑えるための医療制限が行われている。

・民間保険加入者に対しても、保険金の支払拒否により医療保険会社が巨額の富を得ている。

(支払いが安くすむほど保険審査医の待遇が良くなる仕組みがある)

・医療保険会社や医療機関は政治献金等のロビー活動で既得権益を守っている。

・老人も医療費を払うために働かざるを得ない。

 

社会保障のセーフティネットが働いていない実情には目を覆いたくなることばかりです。

つくづく日本の国民皆保険制度のありがたさを実感しますが、この映画で紹介されたイギリス、フランス、カナダ、キューバなどの医療制度と対比すると、日本の医療がじわりとアメリカ型に接近しつつあることを感じます。

これらの諸国では患者の窓口負担はほとんどなく、医療費は家計の脅威になっていません。

医療費負担の家計への影響が大きくなってきているのは、日本の医療がアメリカ型に近づいてきている黄信号であるともいえます。

公的保険制度による診療制限が強くなり、民間医療保険が台頭するようになってくれば、医療費の際限ない高騰に歯止めがきかなくなってしまうおそれがあります。

公的医療保険制度の堅持のため、今が踏ん張り時かもしれません。

社会保障制度概論(11)

2009 年 11 月 4 日 水曜日

<財的資源の動向 3>

社会保障給付費の対国民所得比が24.4%(医療7.72%、年金12.88%)というのは、欧州諸国に比較すると高くありません。

欧米諸国の対国民所得比(2001年)は次の通りです。

       社会保障給付費  年金   医療   その他

スウェーデン 41.5(%) 13.5 10.4 17.6

フランス   38.9    17.1  9.8 12.0

ドイツ    38.8    16.3 10.8 11.7

イギリス   28.9    12.3  7.9  8.6

アメリカ   17.1     7.5  7.2  2.4

 

国際比較は対GDP比が用いられることもあります。

国民目線での負担感を比較するか、国家の重点配分姿勢を比較するかの違いでしょう。

参考までに対GDP比(2001年)は次の通りです。

       社会保障給付費  年金   医療   その他

スウェーデン 29.5(%)  9.6  7.4 12.5

フランス   28.5    12.5  7.2  8.8

ドイツ    28.8    12.1  8.0  8.6

イギリス   22.4     9.5  6.1  6.7

アメリカ   15.2     6.7  6.4  2.1

日本     17.4     8.5  6.1  2.8

アメリカは高医療費の代表国ですが、社会保障給付費としての医療は日本と争う低率です。

日米は「その他」も極めて低率です。

日本の「その他」には介護など高齢者福祉が大きな割合を占めています。

高齢者以外への社会保障給付費はどうなっているのでしょうか。

児童関係給付費の推移は次の通りです。

  児童手当 児童扶養 児童福祉 育児休業 出産   総計 給付費に

       手当等  サービス 給付   関係費     占める割合

        億円      億円     億円   億円  億円  億円  %

1975   1,444       385     3,549           1,229    6,608   5.6

1985   1,589     3,027     6,836           3,060   14,513   4.1

1995   1,612     3,500    11,177       327   4,497   21,113   3.3

2005   6,300     5,279    18,268     1,428   4,363   35,637   4.1

2007   9,757     5,468    13,671     1,804   4,913   35,613   3.9

社会保障給付費の4%、3.6兆円しか次世代対策へ給付していません。

「子ども手当」に5兆円超を配分すべきだとされるゆえんです。

社会保障制度概論(10)

2009 年 11 月 3 日 火曜日

<財的資源の動向 2>

1人当たり社会保障給付費と1人当たり国民所得の推移は次の通りです。

 

   社会保障給付費/人  国民所得/人       

※( )内は1955年を100とした指数

            千円           千円

1955          4.4(100)              78.2(100)

1965         16.2(368)             273.2(349)

1975        105.1(2389)          1,108.7(1418)

1985        294.8(6700)          2,153.9(2754)

1995        515.4(11714)         2,939.8(3759)

2005        687.0(15614)         2,863.6(3662)

2007        715.6(16264)         2,933.1(3751)

 

高度経済成長期には社会保障給付費と国民所得は平行していましたが、その後、国民所得が伸び悩んでも社会保障給付費は伸び続けました。

 

社会保障給付費の内訳の推移は次の通りです。

    計   医療     年金          福祉その他

    億円   億円(%)  億円(%)   億円(%)

1965   16,037    9,137(57.0)    3,508(21.9)    3,392(21.2)

1975  117,693   57,132(48.5)   38,831(33.0)   21,730(18.5)

1985  356,798  142,830(40.0)  168,923(47.3)   45,044(12.6)

1995  647,243  240,520(37.2)  334,986(51.8)   71,738(11.1)

2005  877,827  281,094(32.0)  462,930(52.7)  133,803(15.2)

2007  914,305  289,462(31.7)  482,735(52.8)  142,107(15.5)

かつては医療が大きい割合を占めていましたが、現在は年金が過半を占めています。

 

社会保障給付費の対国民所得比(%)の推移は次の通りです。

           医療   年金   福祉その他 国民所得(億円)

1965   5.98   3.41   1.31   1.26         268,270

1975   9.49   4.61   3.13   1.75       1,239,907

1985  13.69   5.48   6.48   1.73       2,605,599

1995  17.54   6.52   9.08   1.94       3,689,367

2005  23.99   7.68  12.65   3.66       3,658,783

2007  24.40   7.72  12.88   3.79       3,747,682

年金の対国民所得比が大きく伸びています。

高齢者関係給付費が社会保障給付費に占める割合は、1975年は33%でしたが、1985年には53%、1995年には63%となり、2005年には70%を占めています。

社会保障制度概論(9)

2009 年 11 月 2 日 月曜日

<財的資源の動向 1>

先々週、国立社会保障・人口問題研究所は平成19年度社会保障給付費を発表しました。

http://www.ipss.go.jp/ss-cost/j/kyuhuhi-h19/kyuuhu_h19.asp

社会保障給付費とはILO(国際労働機関)が定めた基準に基づき、社会保障や社会福祉等の社会保障制度を通じて、1年間に国民に給付される金銭またはサービスの合計額です。

平成19年度の社会保障給付費は91兆4305億円でした。

対前年度増加額は2兆3207億円(伸び率2.6%)でした。

国民1人当たりの社会保障給付費は71万5600円です。

社会保障給付費の対国民所得比は24.4%でした。

内訳は次の通りです。

年金:48兆2735億円(52.8%)

医療:28兆9462億円(31.7%)

福祉その他:14兆2107億円(15.5%)

対前年度伸び率が大きいのは「福祉その他」(3.9%)です。

介護対策の伸び(5.2%)が大きいためです。

「医療」の伸び率は3.0%でした。

「年金」の伸び率は2.0%でした。

高齢者関係給付費(年金保険給付費、老人医療給付費、老人福祉サービス給付費、高年齢雇用継続給付費の合計)は63兆5654億円で、社会保障給付費の69.5%を占めています。

社会保障財源は、管理費など給付費以外の支出財源も含め、100兆4289億円でした。

財源の56.6%は「保険料」で56兆8740億円です。