経済同友会の報告書は、その「はじめに」で、医療制度が存続の危機に瀕しているという認識を示しています。
その根拠として、
○国民皆保険の目的(国民に広く平等に一律の医療を提供する)は、高い経済成長を背景に概ね達成されたが、少子高齢化や人口減少、経済成長の低迷等により医療制度を支える経済社会は大きく変容している。
○医療制度が抱える構造的課題への取組みが遅れていることにより、疾病構造の変化、医療技術の進歩、患者のニーズの多様化等に、制度が柔軟に対応していない。
の二点があげられています。
前者は、その通りです。
国民皆保険が始まった時代の、病気になりにくい世代(働き盛り)人口と病気になりやすい世代(高齢者)人口の構成比は、現代と全く異なっています。
そのことだけをとらえても「大きく変容」しています。
経済成長の低迷も相俟って保険制度を支える経済的負担が大きくなってきました。
だから医療制度は存続の危機に瀕しています。
わかりやすい論理です。
後者については、相次ぐ法改正で「疾病構造の変化」「医療技術の進歩」「患者のニーズの多様化」に対応するための制度改革がなされてきてはいますが、「柔軟に対応していない」「構造的課題への取組みが遅れている」という認識が示されています。
疾病構造の変化に対応できない医療制度、医療技術の進歩に対応できない医療制度、患者のニーズの多様化に対応できない医療制度、そのような医療制度であれば、たしかに存続の危機だといえるでしょう。
しかし、これらへの対応は、いずれも新たなコスト投入を必要とすることばかりです。
柔軟に対応してきたからこそ医療費が膨らみすぎたということもできます。
コストが膨らめば、負担も膨らみます。
この負担増をどうするかが示されない限り、わかりにくい論理です。
どういう構造的課題への取組を急ぐべきであるかについては本論で主張されています。