特定の傷病の患者がすでに地域内のどこかの医療機関を受診しているとすれば、その傷病に関する診療体制を充実(専門医の確保、高額医療機器の購入等)し、コスト投入に見合うだけの患者数の増を実現するためには、地域内の他の医療機関と競争をしなければなりません。
地域内の他の医療機関が診療体制を充実したために患者が奪われそうになり、対抗して診療体制を充実する、といったケースはよく見られます。
結果として、地域内のあちこちの病院がMRIやCTを設置し、採算ライン以下の稼働率で苦労するという現象が出ています。
せっかく確保した専門医が、患者数が増えずに専門性が発揮できない場合もあります。
地域内で競争が生まれることは、その傷病に関する診療体制があちこちで充実し、患者にとっては良いことかもしれませんが、個々の医療機関にとっては消耗戦となる可能性もあります。
特定の傷病にかかる地域のトータルコストが膨らみすぎれば、他の傷病の診療体制にひずみが生じてきます。
地域医療を運営するための財源には限りがあるためです。
医療は、限られた資源(特に保険財源と専門医人材)を全国に偏りなく配分して運営することが求められる分野なので、本来は競争(競争に勝つための過剰投資)が馴染まない分野なのです。
地域内に大成功している病院があるとして、そっくりそのまま診療機能を模倣した病院を作れば、競争による質とサービスの向上効果が出る以前に、共倒れのリスクが生じ、経営悪化により質もサービスも低下します。
質やサービスの向上のためにはある程度のコストが必要ですが、その余裕が奪われます。