天然痘は伊達政宗の右目を失明させたり、幼い夏目漱石を襲ったりと、世界中に流行していた疾患ですが、1977年のソマリアの患者を最後に根絶しました。
(厳密には1978年のイギリスでの実験室感染死亡事例が最後です。)
天然痘は感染力が強く、潜伏期間が2週間前後あります。
天然痘封じ込めに絶対的な威力を持ったのがワクチン(種痘)でした。
ジェンナーが牛痘種痘法で天然痘ワクチンを開発した1798年以降、天然痘は予防可能な疾患になりました。
(厳密には人痘種痘法がそれ以前に開発されており、日本でも福岡県の秋月藩の藩医である緒方春朔が、ジェンナー以前に秋月の子供たちに人痘種痘法を施し成功させています。しかし、人痘種痘法は死亡率が2%もある安全とはいえない予防接種法でした。)
WHOは、予防接種の普及によって患者総数が激減したあと、発見した天然痘患者のひとりひとりについて、発病直前に患者に接触した人々に種痘を行いました。
感染力が強くても、周辺を免疫の壁で包囲すれば、ウィルスは孤立しやがて死滅します。
天然痘は感染後でも早期であればワクチンが有効であることも幸いでした。
天然痘が発見しやすい病状を示すことも幸いでした。
幸いがいくつか重なると、人類の叡智は長い苦しみに打ち克つことができます。