外務省のODAメールマガジン(2004年5月12日発行第42号)にパラグアイの看護・助産プロジェクトの紹介が記載されています。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/mail/bn20040512.html
プロジェクト・リーダーの小川正子氏の手記を引用します。
国際協力の現場の様子が垣間見えると思います。
パラグアイは親日的な国ですが、このような地道な国際協力活動の賜物です。
「全ての住民に高品質の看護・助産サービスを」
南米のヘソと言われている内陸国(アルゼンチン、ボリビア、ブラジルと国境を有す)パラグアイは、人口約520万人、緑豊かで自然が多く残された国です。このことは、一度大雨が降ると陸の孤島となってしまうような地方都市、特に農村部における保健医療施設へのアクセスを困難にしております。現在でも、約150万人の国民が、適切な保健サービスを受ける保障がない状況です。
そこで、パラグアイ政府は、全ての国民が高品質な保健医療サービスを平等に受けることができる社会をめざし、保健医療政策の改善を行っています。その中でも、特に農村人口の割合が高く、人口が散在する地域のおける第一次医療の質を向上させるべく、ハード面のみならずソフト面での強化も行っています。
このような中、私達のプロジェクトは、第一次医療の担い手(第一次医療の60%以上が准看護師のみが働く保健所)と言っても過言ではないほど重要な准看護師の質の向上をめざし、活動を展開しています。そして、今、当プロジェクトにおいて、看護師・助産師らは、自らの任務のあり方を追究し、建設的に発展しながら、その未来像を明確にしつつあります。2年後、その活動の幕を下ろす時、65年の歴史をもつパラグアイの看護は、そのサービスの質や人材育成方法において大きく変換する時期を迎えることとなるでしょう。
具体的な活動のひとつに、パイロット地域における研修およびモニタリングの実施があげられます。この活動は、まず、日本人専門家とカウンターパートが協力して、事前に準備した多種多様な教材等を利用しつつ、各パイロット地域のファシリテーター(研修指導者の役割を担い、学士看護師または学士助産師で、各地域に平均7名を有する。)に対し、5日間の研修を行います。次に、研修を受けたファシリテーターは、同地域の各医療施設で働く准看護師に対する5日間の研修の講師を務めるため、日本人専門家から指導を受けた指導案作成や教材作成等の準備をします。そして、1回に30名程度で、プロジェクトのパイロット地域の全ての准看護師を対象に研修を開催します。研修終了の2ヶ月後からは、研修受講者の働いている医療施設に出かけ、モニタリングを実施しています。中にはボートでしか行けない保健所や、もちろん電気も電話もなく大雨の後は何日間も足止めを余儀なくされるような医療施設も多くあります。
(中略)
このような努力の結果、一部の保健医療施設では、小児の受診率が増加し、その母親への栄養・保健指導等が行われるようになりました。このことは、その村の小児の成長・発達のコントロールに繋がり、ひいては予防医療へと繋がる可能性を含んでいます。さらに、診療記録等書類の記入に関しては、これまでも義務付けられていたにも関わらず一切されていなかったのですが、当プロジェクトの研修の中で何回も繰り返し練習させたことにより、ほとんど全員が記入できるようになりました。そして、各県の衛生局への報告が書類で行われるようになり、それが厚生福祉省統計局へ集められ、より現状に近いデーターの集計が出来るようになりました。
このような状況が続き、ある保健センターへ2回目の訪問をした際に院長が嬉しそうに笑顔で話してくれた次の言葉を私は忘れられません。「子どもをつれた母親は、これまで准看護師の居る相談室を素通りし、必ず私(医師)のところへ来て、診てもらって帰っていたのが、今では、私が居るのに私には挨拶だけで素通りし、准看護師のところで成長・発達のコントロールを受け、指導を受けて帰っているのよ」