政権交代と医療(89)

厚生労働省は、「無保険の高校生世代」の救済を7月1日付で始める方針を決め、全国の自治体に通知しました。

無保険の子は、親の国保の保険料滞納で生じます。

保険料を一年以上滞納した世帯には、市町村が健康保険証を返還させ、代わりに資格証明書が交付されますが、資格証明書は保険証ではないので、医療機関にかかった時には全額をいったん自己負担しなければなりません。

無保険の子の救済は、資格証明書を交付されている世帯でも、六か月間有効の短期証(保険証)を交付し、六か月後も市町村が必要と判断すれば更新するものです。

2008年11月に、当時野党の民主党と社民党と国民新党とが、18歳未満の無保険の子を救済する国保法改正案を提出しましたが、与野党協議の末、対象を中学生以下とした改正が2009年4月に行われました。

今回の方針は、昨年度末の協議結果を覆して、当初案通りに18歳未満を対象とするものです。

そもそも保険制度は、皆が少しずつお金を出し合って、もしもの際に多額の出費を強いられないようにする「共助」の仕組みです。

子どものためとはいえ、保険料を納めなくても保険診療を受けることができる制度は共助の趣旨に反していますので、あくまで「無保険の子」対策の基本は、子を持つ親の滞納をなくす対策であるべきでしょう。

経済的な事情で保険料が納められない世帯のためには減免措置があります。

減免措置の審査が厳しいという声もありますが、きちんと毎月の保険料を支払っている大多数の世帯と不公平にならないよう、審査は厳格に行われています。

自動車事故の場合、「共助」システムは自賠責保険の強制加入や任意保険によって運用されています。

保険に加入していなければ、どのような事情があろうと、決して保険は適用されません。

また、自賠責保険に加入しないまま運転した場合は1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます。

道路交通法上の違反点数も6点が加算され、運転免許の停止・取消処分がなされます。

「無保険の子」救済措置は緊急避難的措置だと割り切るとしても、子どもが「無保険の子」になることがわかっていながら保険料を滞納するようなことにならないような仕組みが必要です。

子ども手当の最優先すべき支出のひとつとして健康保険料を明示することができれば、解決策になるかもしれません。

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