<健診制度とクリティカルパス>
生活習慣病のうちメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に着目した健診制度(特定健康診査・特定保健指導)が平成20年度に始まりました。
保険者(健康保険組合、国民健康保険など)に対し、40~74歳の加入者を対象とした健康診査(特定健康診査)および保健指導(特定保健指導)の実施が義務付けられています。
生活習慣病は、内臓脂肪の蓄積が原因となっていることが多く、肥満に加えて、高血糖、高血圧といった状態が重複した場合には、脳血管疾患などの発症リスクが高くなります。
内臓脂肪は、適度な運動とバランスの取れた食事により減らしていくことが可能です。
メタボリックシンドローム該当者とその予備群について、運動指導や食生活の改善を行うことは、生活習慣病の予防につながります。
それまでの健診は、個々の病気の早期発見・早期治療を目的にしたものでした。
特定健康診査は生活習慣病の予防を図ることを目的としています。
特定健康診査の結果から、生活習慣病の発症リスクが高く、生活習慣の改善による予防効果が期待できる者に対して、生活習慣を見直すサポート(特定保健指導)が行われます。
特定保健指導は、リスクに応じて、「動機付け支援」と「積極的支援」に分類されます。
「動機付け支援」は、原則1回の支援を行います。
支援方法は、個別もしくはグループとなります。
個別面接であれば、最低20分以上の支援(個別支援)を行い、グループ(8人以下)面接の場合には、最低80分以上の支援(グループ支援)となります。
「積極的支援」は、「動機付け支援」と同様の初回の支援を行った後、継続的に3か月以上の支援を行います。
具体的な支援方法としては、個別支援、グループ支援に加え、電話、e-mail、FAXなどを効果的に組み合わせることとされています。
「動機付け支援」および「積極的支援」の初回の面接においては、医師、保健師、管理栄養士が、対象者とともに、対象者個々人の生活習慣を振り返り、減量や運動などの個別の行動目標を設定します。
行動目標を達成するために、対象者が取り組むことができる範囲で必要となる行動計画を作成し、その目標達成に向けたサポートを行います。
積極的支援(一定の基準を満たす場合)の特定健診・特定保健指導にかかる自己負担額は医療費控除の対象になります。
健診受診率がどれほど上がっても、健診後のフォローがなければ健診の意義が薄れます。
他の健診(がん検診、職域健診、学校保健健診、母子保健健診など)についても同じです。
医療でも、クリティカルパス(治療計画の作成とサポート)が治療効果を左右します。
断面的(その場かぎり)に健診や診療を行えばよしとされる時代ではなくなりました。
[関係法令、通知等]
・「高齢者の医療の確保に関する法律」
・「高齢者の医療の確保に関する法律施行令
・「特定健康診査及び特定保健指導の実施に関する基準」
・特定健康診査・特定保健指導に関する通知
・「特定健康診査等基本指針」
・特定健康診査・特定保健指導の円滑な実施のために関係者に対し周知を徹底すべき事項
・特定健康診査・特定保健指導に対する国庫負担(補助)について
法令・通知等を噛み砕いて解説したものも多数あります。
[特定健康診査・特定保健指導に関する各種資料]
・「特定健康診査・特定保健指導の円滑な実施に向けた手引き」
・「特定健康診査等実施計画作成の手引き」
・「標準的な健診・保健指導に関するプログラム」
・「保険者による健診・保健指導の円滑な実施方策に関する検討会」
・「医療保険者が保健指導を委託する際の委託先の保健指導の質の評価ガイド」
・「特定健康診査・特定保健指導に関するQ&A集」
40歳未満、75歳以上が除外されているのは? → ハイリスクアプローチ
保険料未納者は対象となるのか? → なる
生活保護世帯の健診・保健指導は? → 健康増進法に基づき市町村が実施
人間ドック受診者の扱いは? → 結果証明書面があれば特定健診受診扱い
特定健診にがん検診を併せて実施する場合は?→ がん検診等の健康増進法による市町村の健康増進事業の同時実施は、保険者と連携を図りつつ実施
特定健診の精度管理は? → 健診実施者(保険者)が行う
医者嫌いを理由に健診未受診である不健康者と、正しい生活習慣に努め健康体
でいる者を差別化するため国保料を増減させることができるか?
→ 健診未受診者が必ずしも不摂生な生活習慣を送っているとはいえない
健診未受診者のみの国保料を上げることはできない
特定健康診査を受けずに、特定疾病になった場合、被保険者に対してペナルティ(給付の制限)のようなことは考えているか。 → 考えていない
「腹囲測定」がなされていない場合 → 特定健診未実施扱いとする
「喫煙歴聴取」がなされていない場合 → 特定健診未実施扱いとする
などなど、きめこまかなQ&Aがネット上に公開されています。