<医療の需要と供給 3>
医療を構成する要素のうち、医師の需要と供給について考えてみます。
毎年、約7700人の医師が誕生していますので、退職などを差し引くと、年間4000人弱の増加があります。
厚生労働省は、2006年7月に『医師の需給に関する検討会報告書』を出しています。
その後、医師の追加養成不要の論拠とされ評判は良くありませんが、専門家が真剣に分析検討した結果ですので、闇に葬るのは早計です。
この報告書では、受療動向の推計と人口構成の推計から将来の医療需要を推計し、これに見合う医師数を将来の必要医師数としています。
報告書によると、医師の労働時間を週48時間以内に抑えた場合、平成16年において、医療施設に従事する医師数が25.7 万人(病院勤務16.4 万人、診療所勤務9.3 万人)であるのに対し、必要医師数は26.6 万人と推計され、9000人の医師不足でした。
しかし、供給の伸びが需要の伸びを上回っており、平成34年には需要と供給が均衡するとされていますので、それ以降は医師過剰となります。
ただし、病院だけに着目すれば、病院の需要の伸びは供給の伸びを上回っており、病院勤務医の負担は、医師過剰になっても軽減されません。
病院は需要に対し供給過少、診療所は需要に対し供給過剰という未来図です。
これらの需給アンバランスを解消するためには、病院で勤務する医師の診療時間の4割が費やされている外来診療を積極的に診療所へシフトさせるか、病院勤務医の待遇を改善し医師が診療所へシフトしないようにするかの方策が必要です。
病院勤務医の需給アンバランスだけに着目して医師数を増やしても、結局は診療所の医師過剰に拍車をかけるだけになってしまうかもしれません。
マクロ的に医師過剰であれば、結果として、国全体の医療コストが増嵩します。