僻地医療や離島医療などの特別の条件にある地域の医療ではなく、都会から離れた、ごく普通の地方の医療について考えてみましょう。
医療統計では、人口あたり医師数だの、人口あたり病床数だのと、人口比が地域間比較で多用されています。
欧米諸国の人口あたり医師数が日本の1.5倍だというので、日本の医師数も1.5倍に増やそうという政策判断がなされたりします。
しかし、医療には地域密着性がありますので、人口希薄地では、医療機関や医師の配置は、人口あたりどれだけかというより、面積あたりどれだけかのほうが重要です。
人口1000人あたり2人の医師だと、大都会ではあちこちで医師に出会うことになりますが、人口希薄地だと、何キロも走ってやっと医師に辿り着けるかどうかといった感覚です。
欧米諸国のように広大な国土の国の人口あたり医師数と、日本のような人口密度が高い国の人口あたり医師数を比較しても説得力はありません。
ところで、診療報酬は、全国どこでも一律です。
都会であっても、田舎であっても、同じ医療行為に対しては同じ対価(診療報酬)が医療機関へ支払われます。
また、同じ医療行為を10人に対して行えば、1人に対して行った場合の10倍の対価を得ることができます。
医療機関の収益は患者数に比例しますので、患者数が多い地域ほど医療機関の経営は楽になります。
患者数は人口に比例しますので、人口が多い地域ほど経営は楽だということです。
医療の地域密着性を考えれば、人口密度が多い地域ほど経営が楽だということになりますので、現在、かなりの医療機関が都会へ集積しています。
医療機関の全国統計は、圧倒的多数の都会の医療機関の実態を反映した統計になりがちです。
そのような統計を根拠に診療報酬が上げ下げされれば、人口希薄地の医療機関は大打撃を受けることになってしまいます。
都会のモノサシを田舎にあてるようなことがあってはなりません。
田舎には田舎のモノサシをあてがわないと、地域医療は崩壊してしまいます。