社会保障制度概論(19)

<公費負担医療について>

医療に要する経費の大部分は医療保険制度によって支払われ、それ以外は自己負担が原則ですが、社会福祉や公衆衛生の観点から、国又は地方公共団体が特定の対象者に対して、公費によって次のような医療給付を行なっています。

1.(戦傷病者や原爆被爆者に対する医療など)国家補償的意味を持つ場合

2.(結核や一類・ニ類感染症に対する医療など)社会防疫的意味を持つ場合

3.(身体障害者への医療など)社会福祉的意味を持つ場合

4.企業活動に基づく公害病の場合

5.難病の治療、研究を目的とする場合

 

(主な公費負担医療制度)

子供の医療

養育医療:入院を要する未熟児に必要な医療

療育の給付:18歳未満の結核児童に入院治療

自立支援医療(育成医療):18歳未満の身体障害児に対する医療

小児慢性特定疾患の医療費助成:小児慢性疾患のうち治療が長時間にわたるもの(がん、ぜんそく、膠原病、血友病など)

身体障害者の医療

自立支援医療(更生医療):障害者の社会復帰のために必要な医療

結核の医療

適正医療:結核の一般患者の医療

命令入所:結核を伝染させるおそれが著しい患者の医療

精神障害の医療

自立支援医療(精神通院医療):精神障害者の通院医療

措置入院:自身または他人を傷つけるおそれのある患者の医療

感染症の医療

新感染症:都道府県知事が厚生労働大臣の指導・助言を得て個別に応急対応する感染症

一類感染症:ペスト、エボラ出血熱等の医療

二類感染症:コレラ、細菌性赤痢等の医療

特定疾患の医療:いわゆる「難病」のうち、原因不明、治療法未確立かつ後遺症を残す疾患(ベーチェット病、クローン病など)の医療、日常生活に著しい支障のある重症患者(スモン、劇症肝炎、重症急性膵炎、プリオン病など)の医療

予防接種被害の医療

救済措置:認定された健康被害者への医療

医薬品被害の医療:医薬品・生物由来製品が適正に使用されたにもかかわらず、有害な副作用により疾病となった者への医療

生活保護

医療扶助:生活困窮者の傷病への医療

戦傷病者の医療

療養の給付:軍人軍属などの公務上の傷病への医療

更生医療:戦傷病による障害者の社会復帰のために必要な医療

原爆被爆者の医療

認定疾病医療:原爆症の医療

一般疾病医療:被爆者の傷病に必要な医療

石綿による健康被害の救済

救済給付(医療費の支給):石綿による健康被害で指定疾病(中皮腫、肺がん)にかかった者で、労災補償等の対象にならない者

その他

麻薬中毒入院措置

中国残留邦人

心神喪失

肝炎治療特別促進事業

重度心身障害者医療費助成

ひとり親家庭医療

こども医療費助成

 

このほか、公費負担医療ではありませんが、自己負担がない医療として、公害病の医療があります。著しい大気汚染、水質汚濁の影響で指定疾病にかかった者への医療で、全額汚染原因者が負担します。

交通事故医療も、自動車保険でカバーされなければ、全額、加害者負担です。

コメントは受け付けていません。