新政権下での国会論戦が始まりました。
閣僚が具体的な質問へ答弁します。
国会は「国権の最高機関」(日本国憲法第41条)ですので、国会答弁には重みがあります。
そのため、一字一句を間違いなく記録する速記職員も配置されています。
答弁したことを、後になって、「あの答弁は間違いでした」とうやむやにすることは許されません。
答弁ひとつで市場が動いたり、企業が計画を変更したりします。
国会質疑で自殺者が出たこともありました。
答弁してしまったことは、国権の最高機関における閣僚の発言として永久に記録され、取り消しはできません。
国会答弁を官僚たちが徹夜で作成していたゆえんです。
長妻厚生労働大臣は、11月2日の衆院予算委員会で、段階的に後期高齢者医療制度を廃止する方針を明らかにしました。
制度廃止はマニフェストに記載してあり、段階的廃止の方針も大臣記者会見等で旧聞ですが、国会答弁として記録されたことにより、正規の方針であることが確定しました。
国会答弁では、後期高齢者医療制度の問題点を改善するとして、たとえば次の事項が述べられています。
○75歳以上の人を原則、「被保険者資格証明書」の交付対象としないこと
○自治体による健康診断の対象にすること
被保険者資格証明書というのは、特別な理由がないのに保険料を1年間以上滞納している人に対して保険者証の代わりに交付されるものです。
保険者証と違い、診察を受けたときには診療費の全額を病院窓口で支払い、後日、滞納している保険料を納めてから、保険支払い分の払い戻しを受けます。
健康保険は、病気とは縁が薄い時に保険料を納める社会保障の仕組みです。
保険料を納めようが納めまいが保険診療が受けられるのであれば、保険料を正直に納めている圧倒的多数の人が馬鹿を見てしまいます。
病気になった時だけ保険料を納める、という人が増えれば制度維持が困難なのですが、現実問題、滞納者であっても高額支払いを理由として必要な医療からシャットアウトさせるわけにはいきません。
被保険者資格証明書の交付は、そのような滞納者救済の苦肉の策として行われているものです。
「被保険者資格証明書」の交付対象としない、と答弁してしまった以上、大臣はこれに代わる名案を出さなければ、保険料滞納者が増えて、廃止するまでもなく制度が崩壊してしまいます。