政権交代と医療(15)

旧政権が着手した新卒医師の臨床研修制度は、大学医局の医師引き揚げによる医療崩壊を招いたと、評判が良くありません。

それまでの制度では、狭い専門分野しか診療できない医師を大量生産していました。

その主因は、大学医局による新卒医師の囲い込みにありました。

もちろん、医師らしい医師(専門分野にとらわれない幅広い診療ができる医師)を育てようと懸命に努力していた医局もたくさんありましたが、とうとう主流にはなれませんでした。

そんな医局主導の新卒医師研修に見切りをつけ、「幅広い実務的研修を提供」できる病院で2年間、アルバイトもさせずに研修に専念できるシステムにしたのが新しい臨床研修制度でした。

荒療治でした。

新卒医師の多くが大学医局と切り離されました。

大学では「幅広い実務的研修を提供」できなかったのです。

また、新卒医師を大学に引き留めても、彼らを指導医なしで関連病院へ「アルバイト」派遣することもできなくなりました。

結果、多くの大学医局では医師の絶対数が不足する事態となり、医師の引き揚げによる「医師不足」が社会問題化しています。

選挙を控え、旧政権では、義務年限の短縮化の方向での見直しに着手しました。

朝令暮改の感が否めません。

民主党政策集では、医師臨床研修制度について、次のように述べています。

具体性には欠きますが、現行制度を廃止して医局主導に逆戻りさせるような着眼ではないので安心できます。

 

○一貫性のある学部教育、前期・後期臨床研修を通じて質の高い専門医を養成し、専門医が研修医の指導医となる臨床研修システムの構築

○質の高い臨床医を養成する臨床研修制度には、専門医制度の確立が不可欠であり、総合医も専門医と位置づけ

○これまでの卒後臨床研修の成果を客観的に評価し、前期臨床研修の全国均てん化

○後期卒後臨床研修については、総合臨床医研修、へき地医療研修、産科・救急・小児・外科医療研修などの分野を中心にインセンティブを付与することによって、偏在を解消

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