政権交代と医療(10)

民主党政策集では、新しい医療技術、医薬品の保険適用の迅速化にも言及しています。

 

製造・輸入の承認や保険適用の判断基準を明確にして、審議や結果をオープンにし、その効果や安全性が確立されたものについて、速やかに保険適用します。

 

保険適用によって従来の医薬品の限界が突破できるのであれば、おおいに推進すべき政策でしょう。

旧政権からの政策そのもので、別に政策転換というわけではありません。

むしろ、民主党政策集に堂々と掲げられていることに、若干の違和感があります。

医薬品の承認審査については、過去の多くの薬害事件に関し、民主党のスタンスは相当に厳しかったはずです。

承認時点での知見では効果や安全性が確認されて迅速に承認されたのだが後になって薬害事件を引き起こした医薬品について、その承認プロセスを相当に問題視してきた政党です。

 

承認に時間を要している申請薬には、安全性や有効性において既承認薬との比較優位の証明が悩ましいものが少なくありません。

製薬メーカーも、開発コストの回収のため、優位性に乏しいからといって申請を取り下げたりはしません。

かろうじて、ごくわずかな優位性をもって承認に漕ぎ着けている医薬品がたくさんあります。

それらは、一旦承認されたら、高い薬価が付けられ、特許権が消滅するまでは後発医薬品に置き換わることもなく、医療費高騰の一因となるのです。

流通後に安全性の問題が浮上してきたものもたくさんあります。

すべての承認について迅速化を謳えば製薬メーカーは大喜びですが、我が国は、医薬品の承認と流通に関し、多くの苦い経験を重ねてきたことを忘れてはなりません。

国民への福音となる画期的新薬に限定して承認・保険適用の迅速化と流通後のモニターの充実を図り、他は承認を焦らない、というのが本来あるべき姿であろうと思います。

新政権の試金石は、新型インフルエンザワクチンの輸入承認です。

1万人に1人しか重篤な副作用をきたさないようなものであっても、1千万人へ接種すれば1千人が重篤となります。

安全性の確認には時間がかかります。

今シーズンは見送って既承認の国産ワクチンだけで乗り切るか、多少の安全性の不安には目を瞑って承認を急ぐか。

従来の民主党のスタンスだと前者でしょうが、新型インフルエンザ対策全般に責任を負う政権党の立場での決断はどうなるでしょう。

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