政権交代と医療(7)

民主党のマニフェストで最も強調された項目のひとつは、後期高齢者医療制度の廃止です。

もし廃止できなければ政権の信用が一気に失われるであろうくらいにクローズアップされた公約です。

制度廃止は新政権の生命線だといえるでしょう。

しかし、制定理由があって出来た制度ですので、廃止はそう容易ではありません。

廃止前の制度は、健康保険組合や国民健康保険が拠出金を出し合って高齢者の医療費に充てる仕組みでしたが、拠出金の増大に耐えられず、健康保険組合による拠出金不払い運動が起きました。

1999年のことです。

この年の秋から国会で高齢者の医療についての論議が始まっていますので、2008年の制度開始は8年越しの検討の集大成だということもできます。

この間、市町村国保は、拠出金負担の多寡により保険料格差が最大5倍に広がり、社会保障制度としては許容できないほどの不公平状態となりました。

保険料の高騰は保険料の不払いを招き、国民皆保険の根幹が揺らぐ事態となりました。

制度開始により、健保も国保も、負担がずいぶん緩和されています。

保険料の地域間格差も小さくなっています。

この制度を廃止してしまうと、高齢者を多くかかえる健保や国保がたちまち破綻してしまいますので、何らかの財政措置が必要となります。

民主党の政策集では次の措置が記載してあります。

 

○廃止に伴う国民健康保険の財政負担増は国が支援

○国民健康保険を運営する自治体への財政支援を強化し、地域間の格差を是正

○高齢者の保険料負担は現行水準の概ね維持または軽減、若年負担について現行水準の概ね維持

 

医療費を多く要する高齢者は、これからも急増します。

しかし、保険料は現状維持でということです。

そういう制度設計だと、高齢者の医療費の増分はすべて税金で賄われることになります。

税支出が際限なく増え続けます。

消費税率アップなど、増税策を次々に打ち出さなければ維持できない制度となります。

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