民主党の医療政策を具体的に掘り下げて見てゆきましょう。
まず、「医療」をどうとらえるかの立脚点です。
政策集では「医療は提供する側と受ける側の協働作業」であるという視点が大きく打ち出されています。
現代医療ではごく当たり前の視点ですが、現在の医療制度は、もっぱら提供側の論理が幅を利かせていた時代に設計されたものです。
新政権では、受ける側の論理がよりクローズアップされた制度に再構築されることになるでしょう。
政策集には『医療における患者の尊厳を保障し、安全・納得を得られるための法律』を成立させると明記してあります。
具体的施策として、
○「医療対話仲介者(メディエーター)」を一定規模以上の医療機関に配置
○医療事故発生時の調査委員会の設置を義務付け
○各都道府県に設置される医療安全支援センターが設ける調査チーム(第三者機関)による調査や裁判外紛争処理事業者の紹介
○事故情報については、指定分析機関への届出義務をすべての医療機関に拡大
などが列挙されています。
これらの施策は、医療事故の原因究明と再発防止に役立ちますので、理念的には歓迎すべきところですが、医療経営の視点では、コスト(医療対話仲介者人件費、調査経費など)の投入が必要な施策です。
また、患者側に医事紛争のための材料が入手しやすくなりますので、医療提供側では訴訟や賠償のための経費が大きく膨らむであろうことが予想されます。
医療費の支出構造の中に医事紛争対処費用が大きな割合を占めるような時代が到来します。
増大するコストの手当て策を講じなければ、医療提供側が破綻してしまい、協働作業どころではなくなってしまいます。