政権交代と医療(4)

政権公約(マニフェスト)は、これまでの政権でも100%実現できたわけではありません。

マニフェストに書かれている個々の公約については、これまでは、諸般の事情(たとえば野党の抵抗など)で実現できなかった、という言い訳も寛容されてきました。

法的拘束力はありません。

公約を実現するかしないかは政権の信用度のモノサシですので、実現率が低ければ次の選挙で信用してもらえないだけのことです。

医療については、マニフェストには何十項目もの記載があります。

実現可能性が疑われる項目もありますが、結果として実現できなかった場合、これまで同様、世間は寛容してくれるでしょうか。

新政権は、財源の不明確さからマニフェストの実現可能性が問われ、そのたびにマニフェストを必ず実現すると声高に応戦を続けた末、圧倒的多数の支持を勝ち得ています。

すなわち、「マニフェストを実現する」こと自体が、事実上、最も重要な政権公約となっています。

こういう経緯で誕生した新政権ですので、マニフェストに記載した項目のひとつひとつに重みがあります。

新政権は野党の抵抗を理由にできないくらいの議席数を確保しましたので、実現できなかった場合の言い訳も苦しくなることでしょう。

選挙のたびに、政権は誰がとっても同じ、という醒めた声が巷に囁かれてきましたが、新政権が提示した画期的なマニフェストが実現されるとなると、この選挙結果で国民生活には画期的な変化が訪れることになります。

首相直属機関として設置される「国家戦略局」も、財務省と他省庁との関係を根本から変えようというもので、日本で独自に発展してきた議院内閣制そのものが揺らぎかねない革命的要素を孕んでいます。

行政権の行使に責任を負う、行政権の最高機関は内閣です。

戦前の大日本帝国憲法下では内閣の地位は不安定でした。

外部(枢密院や軍部)の圧力に国政が導かれることもしばしばでした。

そのようなことにならないよう、内閣の地位を確固たるものにしたのが日本国憲法です。

戦後の日本においては、内閣を構成する国務大臣が調整を重ねながら国家戦略を練ってきました。

国家戦略の権限が内閣以外に設けられ、国務大臣間の調整が封じられるようなことがあってはなりません。

厚生労働大臣はしばしば財務大臣と対立します。

マニフェストの記載事項の中には、厚生労働大臣が財務大臣を論駁できなかったような事項も多々あります。

「国家戦略局」の圧力で、財源に責任を持つ財務大臣の発言が封じられ、そのような事項が実現できるようになれば厚生労働大臣としては願ったり叶ったりですが、内閣のありようとしては危険な道に踏み出すことになります。

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