報告書では、診療報酬について触れていないわけではありません。
医師の技術料の区分と定額払いの拡大について言及しています。
「基幹病院と周囲の診療所等との連携を強めるために、オープンシステムを拡大するにあたり、医師の技術料(ドクター・フィー)と病院の開設・運営費(ホスピタル・フィー)を分離することが必要と考えられる。
診療報酬体系において、医師の技術料を区分するには、技術評価の方法等について議論を要するが、医療行為の難易度を反映した設定にすることで、医師の技術向上のインセンテ
ィブにもなり得る。
医師が標準医療を行うことを促すためには、定額払いの拡大が求められる」
ドクターフィーとホスピタルフィーの分離は、従前より、主として医師サイドから主張されていたことです。
医師の技術料が(不当に)低く抑えられていることが主張の背景にあり、当然のことながら、ドクターフィーの設定は医師の技術料の再評価により、診療報酬の上昇を誘発します。
また、当然のことながら医師の給与にも反映します。
この十数年の病院経営は、医師の昇給を実質的に凍結することで切り抜けてきた側面があります。
ドクターフィーの分離で歪みが一気に表在化することで、多数の病院が経営危機に陥ってしまうおそれがあります。
医師の過酷な労働環境を改善するためには好ましい提言ですが、チーム医療は、ドクターフィーが明確に分離されていないことでスムーズに発展してきました。
今や、日本の医療は医師だけが実施しているのではなく、難易度が高い医療であればあるほど、多職種の総合力が発揮されています。
チーム医療の時代、ドクターフィーの分離は時代錯誤かもしれません。
定額払いについても、ドクターフィーとホスピタルフィーとを分離しないほうが、クリティカルパスをチームで実現する標準医療の普及のためには良いと思われます。