報告書では、知識集約的産業として医療における国際競争力を発展させること、サービス産業として関連分野も含めた多様なサービスを展開することを主張しています。
国際競争力の向上については、
「世界水準の医療技術、医薬品等を提供し、国内外から、それらを求める患者を受け入れられることが必要である。
医療は、国境を越えて提供されるサービスになっており、わが国で未承認の先端医療技術の適用や医薬品の使用を望む患者が、それらを求め外国に行く例も少なくない。
製薬企業の研究開発拠点が日本国外に移転する動きもあり、研究開発に要するリソースが流出している」
という現状認識が示されています。
海外の患者を受け入れるには自由診療が前提となります。
日本の医療技術は保険診療を前提として発展してきました。
海外の富裕層のみが享受できる先進医療を指して「世界水準」というのであれば、日本の医療技術は世界水準には達していません。
この状況への対応策として、
「医薬品と医療機器の承認期間の短縮・効率化に向けた一層の体制強化と、治験環境の改善や国際共同治験の推進等に向けた基盤整備が求められる。
基礎研究の成果を臨床研究に応用していくトランスレーショナル・リサーチを、研究機関や医療機関と企業とのコラボレーションの促進により強化していくことや、臨床研究を新たな治療等に円滑に結びつける取組みが必要である。
医療サービスの市場がグローバル化する中で、国内外の需要を取り込むためには、高度先進医療を提供できる優秀な医師や、ライフサイエンス分野等の研究者の国外流出を防ぎ、国内への流入を促進するといった人材の確保も重要である」
という提言がなされています。
承認期間の短縮は、日本の市場を狙った海外企業からの要求でもあります。
日本の医療は、その運営財源をほぼ100%国内調達(保険料、税金、窓口負担)で賄っているのに対し、財源の一部が「国際化」によって一方通行で海外へ流出しています。
海外のものを「買う」一方で「売る」ことがない不公平貿易だといえるでしょう。
承認期間の短縮は、このような「国際化」をさらに進めることになります。
一方通行の「国際化」は経済を衰退させる構造的要因です。
この構図を是正するためには、日本の医療技術へ海外へ「売る」努力をする必要があります。
「売れない」現状があるのであれば、「買わない」「買わなくてすむ」医療にして財源が国内に留まるようにしなければ、産業として健全に発展させることは困難でしょう。