医療サービスの提供体制(2):経済同友会

疾病構造の変化や患者のニーズに応じた医療サービスの提供については、報告書では、次の2点を主張しています。

 

○地域における医療の質の均一化

「原則として医療機関へのフリーアクセスは制限しないが、初期診療や日頃の健康相談への対応は、基本的には診療所の医師が担うとする。

地域における医療サービスを一定水準の質の下で提供するには、診療所の医師に、総合的な診断能力やかかりつけ医としての能力のさらなる向上が求められる。

医療機関間の機能を集約化することにより、基幹病院等においては、医師の診断能力や技術を高めるとともに、地域の患者を受け入れる充分なキャパシティを確保する。

これらの病院が、地域の患者の受け入れに対し責任を持つことも明かにし、患者の受入れが拒否されるような事態が起きないようにする」

フリーアクセスの制限をせずに初期診療を求める患者の流れを診療所へ向かわせるためには、診療所の医師の能力向上しかありません。

その方法論が示されない限り、机上の空論となります。

患者の受け入れキャパシティについても、現状以上のものを求めようとすれば、経済効率を度外視したコスト投入が必要となります。

 

○医療サービスにおける情報の非対称性の縮小

「医療サービスの特徴として、患者側が、サービスの内容や質を理解し、選択するために必要な知識や情報を充分に持っていないという情報の非対称性がある。

これを縮小していくためには、医療機関のアウトカム情報の公開を義務化していく必要がある。

アウトカム情報の公開における指標について地域でガイドラインを設ける等すれば、患者側の選択の基準にもなると考えられる。

インフォームド・コンセントの一層の促進や、患者のカルテ閲覧権の確保等を通し、患者にとって納得が得られる医療サービスを提供していく。

疾病構造の変化や患者のニーズに応じた医療サービスの提供に地域全体で取組むことで、今後、医療をめぐる地域間競争が展開することも期待される」

情報の非対称性の縮小については、それが医療にかかわる様々な問題の解決につながることは従前より言われています。

しかし、健康食品情報の例にも見られるように、非専門化間で流通する情報については、誤った情報が付加されたり、偏った脚色がなされがちです。

情報が対称化されたとしても、片方の情報が誤った情報や偏った情報であれば、別の問題が生まれてきます。

情報の非対称性が大きすぎる現状を是正する方向性に間違いはありませんが、専門家側に圧倒的な情報があるのは当たり前のことであり、非対称性であること自体は是認して医療体制を構築する必要があります。

特に、誤解や脚色が生じがちな情報については、アウトカム情報も含め、情報公開には慎重な姿勢も必要です。

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